世界トップのPCメーカーとして著名なレノボは、2014年10月にもIBMからx86サーバー(System x)事業およびネットワーク機器事業を買収し、強力なサーバーメーカーとしての印象も高まりつつある。元々レノボでは、PC分野に加え、スマートデバイス分野やエンタープライズ分野にも注力しているところで、それぞれ高い世界シェアを獲得している。

2015年8月5日、日本発のオブジェクトストレージソフトウェア「CLOUDIAN HyperStore」を提供するクラウディアンとレノボ・ジャパンとが、共同で動作検証を行い、両社製品の組み合わせで高性能なストレージ環境を構築できることが発表された。

レノボ・ジャパン エンタープライズ・ビジネス・グループ ソリューション・スペシャリスト部 部長でレノボ・サーバー・エバンジェリストを務める早川哲郎氏と、ビジネス開発 グループリーダーでビジネスデベロップメントマネージャーの星雅貴氏、クラウディアン 取締役 COOの本橋信也氏に話を伺った。

ハイエンドからローエンドまで幅広いニーズに対応

── レノボのサーバー製品にはどのような特徴がありますか

レノボ・ジャパン株式会社
ビジネス開発 グループリーダー/ビジネスデベロップメントマネージャー 星雅貴氏

星氏 当社は2005年にIBMからPC事業を買収して以来、グローバルでも日本においても、高いシェアを獲得しています。しかし近年、市場ではICTの活用が加速し、労働生産性の向上とワークスタイルの変革が益々求められています。そこで最近では、お客様にエンド・ツー・エンドのソリューションをご提供できるように、スマートデバイス分野からエンタープライズ分野まで事業を拡大しており、IBMからx86サーバー事業を買収したのもその戦略の一環です。最も重要なところは、技術・製品だけでなく、ヒトもノウハウも生産ラインも、IBMとして積んできた経験をすべて吸収したところです。早川も私も、IBMのスタッフとしてサーバーの販売活動に従事していました。

早川氏 当社では、ハイエンドサーバーやブレードサーバー、タワー/ラック型サーバー、ストレージやネットワークスイッチなど、エンタープライズ向けにさまざまな製品を提供しています。IBMで取り扱っていたx86サーバー製品は、ほとんどが大企業向けのものでした。レノボの顧客はもっと幅広いため、買収後に製品ラインアップも中小企業にも適した製品ラインアップを追加しています。現在のところ、サーバー分野のシェアは世界第3位と言われています。

── SDI(Software Defined Infrastructure)についてどのように捉えているか

レノボ・ジャパン株式会社
エンタープライズ・ビジネス・グループ ソリューション・スペシャリスト部 部長/レノボ・サーバー・エバンジェリスト 早川哲郎氏

早川氏 SDIは、サーバーハードウェアが“主役”となる重要な分野です。現在は、コンピューティング、ストレージ、ネットワークでSDI化が進められていますが、それぞれ発展段階が大きく異なります。

サーバー、つまりSDC(Computer)の分野は、すでにデファクトと化して幅広く使われています。SDN(Networking)やSDS(Storage)の分野は発展途上ですが、徐々に具体化されていますね。さまざまなプレイヤー、ソリューションが出てきており、ハードウェアメーカーとしてもさまざまな対応をしていく必要があると考えています。

ストレージに関して、私たちが重要視しているのは、ユーザーの多くも重視している「容量単価」です。例えば28本のハードディスクを搭載できる2Uサイズのサーバー製品があげられます。これはSDSにも適した製品と言えるでしょう。

また、SDSを既存のストレージと同様に利用できるようにするため「性能」にも注目しています。そのカギをにぎるのがフラッシュストレージへの対応で、当社は非常に高性能なものから、容量単価の低いものまで8種類のSSDを用意しています。これらとSDSソフトウェアを組み合わせることで、容量単価と性能の最適なバランスのソリューションを提供できると考えています。

さらにレノボは、IBM時代からHPC分野向けの製品も数多く提供してきました。つまり、できるだけ小さな面積でなるべく発熱の低いサーバーです。SDIを特に必要とするサービスプロバイダーやコンテンツ事業者などでも、同じニーズを持っています。そうした用途向けのハイパースケール型の製品を提供できるのも、私たちの特長と言えるでしょう。水冷マシンで特注の高速なXeonプロセッサーを販売することも出来ますよ(笑)

ファイルサーバーと遜色ない高性能なオブジェクトストレージを構築

── CLOUDIAN HyperStoreとLenovo System xシリーズを組み合わせた動作検証で、非常によい結果が得られたと聞いています

星氏 レノボ・ジャパンの秋葉原オフィスには、「レノボ・エンタープライズ・ソリューション・センター」と呼ばれる検証センターを設置し、さまざまな製品の動作確認や接続性のテストなどを行うことができます。CLOUDIAN HyperStoreの実証実験も、このセンターで実施しました。

今回私たちは、SASハードディスクとSSDを組み合わせた「System x3650 M4」にCLOUDIAN HyperStoreをインストールし、3ノード構成でジオ・クラスターを形成しました。CLOUDIAN HyperStoreは、SATAディスクを用いるのが一般的なようですが、SATAとSSDの組み合わせでも問題なく稼働しました。むしろSASの性能が十分に発揮され、非常に高速なストレージシステムを構築できることがわかりました。

レノボ・エンタープライズ・ソリューション・センター

本橋氏 CLOUDIAN HyperStoreとLenovo System xの組合せで、一般的なファイルサーバーと同等のパフォーマンスが得られたことに、私たちも驚きました。従来のオブジェクトストレージは、セカンダリストレージやバックアップ・アーカイブなど利用頻度の低いコールドデータを保存するために使われることが想定されていました。しかし、適切なサーバーと組み合わせることによって、プライマリのファイルサーバーとしての活用など、用途の幅を広げられることが証明されました。ここまで細かな結果を示した資料は、他にはありません。ぜひ参考にしていただきたいと思います。

早川氏 私たちにとって、SASやSSDも問題なく利用できるというのは、重要なデータです。ペタバイト級のオブジェクトストレージシステムを構築する場合、少なくとも数千本のハードディスクが必要となります。故障率を考えれば、毎日数本のディスクを交換しなければなりません。SSDであれば、ほとんど壊れることはありませんので、運用費用を大幅に削減できます。

クラウディアン株式会社
取締役 COO 本橋信也氏

本橋氏 CLOUDIAN HyperStoreは、ハードウェアが“壊れてもだいじょうぶ”ということが特長の1つですが、“ハードウェアも壊れないオブジェクトストレージ”というのは非常に興味深いですね。しかし、フルSSDでオブジェクトストレージを構築するのは、まだ現実的ではないと感じます。

早川氏 私たちは、2.5インチサイズに4TBの容量を持ったSSDも取り扱っています。この容量密度は、SATAやSASのハードディスクを超えるものです。SASとSSDの容量単価も近づいていますので、近い将来、大容量かつ高性能で、高い省電力性を示すサーバーを提供できるようになるでしょう。

本橋氏 SSDのオブジェクトストレージをフロントエンドに、HDDのオブジェクトストレージをバックエンドに階層化する、などというソリューションも可能になりますね。期待したいところです。

日本が主体となるワールドワイドのパートナーシップ

── クラウディアンとはどのような協業体制を敷いているのでしょうか

星氏 レノボはグローバル企業ですが、実際の事業そのものは各国の特色に合わせるという特徴を持っています。私たちレノボ・ジャパンも、日本の市場に合わせた事業を展開しています。

当社は純粋なハードウェアメーカーですから、ソフトウェアベンダーやソリューションベンダーとのパートナーシップを非常に重要視しています。最近ではクラウドベンダーなどとの協業も進められており、非常にチャレンジングでおもしろいことだと感じています。

クラウディアンとの協業は、ワールドワイドで平行して実施されており、各リージョンで協力体制を敷いています。しかし、より重要な技術的な検証や情報共有などは、レノボ・ジャパンが日本のクラウディアンと共に行っています。その意味で“日本発のパートナーシップ”と捉えてよいでしょう。

当社は、ネットワーク製品も持っていますし、HPCのノウハウも蓄積しています。これらのソリューションや知見がCLOUDIAN HyperStoreと組み合わさることによって、すぐれたストレージシステムを提供できるはずです。クラウディアンとは、今後も強力なパートナーとして全面的に協力していきたいと考えています。

(マイナビニュース広告企画:提供 クラウディアン株式会社)

[PR]提供:クラウディアン