「SDI ShowCase」に設置されたアレイ・ネットワークス社ブース

6月10~12日に幕張メッセで開催された日本最大規模のネットワークイベントInterop Tokyo 2015。同イベントではネットワークやアプリケーションの利用形態が高度化するのに従って注目が高まっている「Software Defined Infrastructure(SDI)」をテーマとしたブース「SDI ShowCase」が設けられ、多くのベンダがデモを交えた自社ソリューションの紹介を行った。

一般的にネットワーク機器の筐体といえば、白や黒の単色、あるいはシルバーといった、単調なものが多いが、このSDI ShowCaseのデモ用ラックの中で「オレンジ」を大胆に取り入れた印象的なデザインのアプライアンスで異彩を放っていたのがアレイ・ネットワークスだ。同社は、SSL-VPN機能およびADC機能を提供するマルチテナント型アプライアンス「Array AVXシリーズ」を中心とした展示とデモを行っていた。

アレイ・ネットワークスは、ロードバランサーを提供する企業として米国で2000年に設立。日本法人は翌2001年に開設され、既に15年近いビジネス実績がある。その後、ロードバランシング機能、SSLアクセラレータ機能を備えたADC(アプリケーション・デリバリ・コントローラ)アプライアンスである「APVシリーズ」、SSL-VPNを核としたセキュアゲートウェイアプライアンス「AGシリーズ」などの製品を中心とした事業展開を行ってきた。同社のADCおよびSSL-VPN製品については、近年クラウド事業者からのニーズも増えつつあり、現在世界最大規模となったIaaSサービスにも、その黎明期より採用されてきた実績もあるという。
(採用事例はこちらを参照)

同社のコーポレートカラーであるオレンジをまとった「Array AVXシリーズ」の筐体

新製品は「仮想アプライアンス」と「専用ハード」の「いいとこどり」

今回の展示で中心となっていた「AVXシリーズ」は、仮想化技術を活用し、同社の「AGシリーズ」「APVシリーズ」と同等の機能を持つ仮想アプライアンスを複数同時に稼働させることを可能とする。主に、ADC、SSLオフロード、リモートアクセスといった機能を提供することで、サービスの付加価値を高めたいクラウド事業者や通信事業者をターゲットとしている製品だ。

一般的に仮想アプライアンスは、必要なときに必要なリソースを迅速に導入できるといったメリットがある反面、実はハードウェア型のアプライアンスと比較してパフォーマンス面で不利だったり、複数のインスタンスがリソースを共有している場合、性能保証が難しくなったりといったデメリットがあるとされている。一方、ハードウェア型アプライアンスは、パフォーマンスに優れるものの、クラウド事業者のように多くの台数を配備するとなれば、導入時の手間やコスト、設置スペースの確保、消費電力の増大、ユニットの遊休時間の発生、メンテナンスなどのランニングコストが嵩むといった課題がある。

同社プロダクトマーケティング部マネージャ 原田雄一郎氏

アレイ・ネットワークス、プロダクトマーケティング部マネージャの原田雄一郎氏は「AVXシリーズは、仮想アプライアンスとハードウェア型アプライアンス、双方のメリットを得られる製品だ」と説明する。

AVXシリーズでは、仮想化プラットフォームで、「AGシリーズ」「APVシリーズ」と同等の機能を持ったインスタンスを稼働させる。各インスタンスには、AVXシリーズ本体が持つプロセッサ、メモリ、SSLアクセラレータといったリソースの利用量を個別に割り当て、そのインスタンス専用のハードウェアとして使用することができるため、「他の一般的な仮想化環境上で仮想アプライアンスを稼働させる場合に比べ、インスタンスごとの性能保証がしやすい」(原田氏)という。

専用ハードウェア型のアプライアンスと比較して、導入コスト、ランニングコストを抑えられるのもAVXシリーズの大きなメリットだ。AVXシリーズでは、各インスタンスが確保するリソースの規模を「Large」「Medium」「Small」「Entry」の4段階で設定できる(混在も可能)。上位版の「AVX 10650」では、1台あたり2Uサイズのアプライアンスに、「Large」で4インスタンス分(「Entry」で32インスタンス分相当)のリソースが搭載されている。ただし、ライセンスについては「Large」1インスタンス分からの購入が可能であり、利用規模の拡大に応じて利用可能なリソースを増強できる「Pay-As-You-Grow」のライセンス形式を採用している。

原田氏によれば「およそ、全体の45%程度のリソースをコンスタントに利用するようになった段階で、同程度の性能を満たす複数台の専用ハードウェアを購入した場合よりも安くなる価格設定になっている」という。

「Pay-As-You-Grow」が特長のAVXシリーズ

クラウドとの親和性の高さでスモールスタートも可能の柔軟さ

AVXシリーズのADC機能(APVシリーズのインスタンスで実現)は、各種クラウド・オーケストレータからSOAP-API、XML-RPCなどを通じた連携が可能で、自動的に構成変更を行える。OSSのクラウドフレームワークとして人気の高いOpenStackの「OpenStack LBaaS」にも対応しており、同社ブースでは、OpenStackの管理コンソール上でサーバインスタンスの追加/削除を行うと、それに合わせて「AVX 10650」上のAPVインスタンスの設定に自動的に反映される様子や、OpenStack上のテナントにAPVインスタンスの追加を行う様子などが実演されていた。

従来の「AGシリーズ」「APVシリーズ」は、主にエンタープライズを中心としてユーザを増やしてきたが、今回のAVXシリーズについては、サービス事業者をターゲットとしている。「仮想アプライアンスとしての集約効率の高さに加えて、マルチテナント環境でありながら性能保証が容易な点、スモールスタートが可能な柔軟さといったメリットを前面に打ち出し、ネットサービス事業者やクラウド事業者、通信事業者にもこれまで以上に積極的にアピールしていきたい」(原田氏)という。

(マイナビニュース広告企画:提供 アレイ・ネットワークス)

[PR]提供:アレイ・ネットワークス