企業の参考になる大学導入事例を紹介

6月24日から3日間、東京ビッグサイトにおいて「日本ものづくりワールド2015」が開催された。複数のカテゴリで構成されるこの展示会の「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS)」にローランド ディー.ジー.が出展した。

ローランド ディー.ジー.国内マーケティング課 伊藤智昭氏

近隣には3Dプリンターを扱うブースが立ち並ぶ中、ローランド ディー.ジー.のブースでは大型試作に対応できる切削加工機「MDX-540S」を展示。実際に稼働させ加工の様子が見えるようにされていた。また、コンパクトでデスクトップでの加工が行えるmonoFabシリーズ切削加工機「SRM-20」と3Dプリンター「ARM-10」の展示も行われていた。

長く切削加工機を扱ってきたローランド ディー.ジー.が、初となる3Dプリンター「ARM-10」をリリースしてから1年。企業での導入も進む中、この展示会で特に大きく取り上げたのは大学での導入事例の数々だ。

「大学の研究用途での事例を紹介することにより企業で応用が利く事例もあります。そのアイデアをお客さまに伝えて技術の認知に努めたいと考えました」とローランド ディー.ジー.国内マーケティング課 伊藤智昭氏は展示の意図を語った。

大型かつ高精度な加工が行える切削加工機「MDX-540S」を展示、大学での導入事例も多い人気機種だ

実素材で可動モデルまで作れる切削加工機のポイントは「使いやすさ」

「昨年はmonoFabシリーズの発表がありイメージモデルの展示にとどまりましたが、今年は具体的な実用事例を紹介することができました。サンプルも最終工程まで行っているものも多いのが特徴です」と伊藤氏。展示されたモデルの多くは、NC加工(numerical control machining)ではない切削加工で製作されたものだ。

たとえば札幌市立大学のデザイン学部デザイン学科 三谷研究室では、手加工のスタディーモデルを元に3Dモデルを作成し、ローランド ディー.ジー.の切削加工機「MDX-40A」を利用してモックアップ(検討レベルで用いられる模型)を制作しているという。素材はケミカルウッドやABSなどを利用。展示されたサンプルは、ケミカルウッドを利用した外装パーツの他、内部の基盤もオリジナル切削加工したものだった。

「切削加工することで外側の強度が保てることと、基盤もオリジナルを削り出すことでいろいろな制御ができる他、さまざまな形にはめ込むことも可能になります。3Dプリンターでは専用の樹脂を使いますが、切削加工機なら実際に使いたい素材を選べるのもメリットです」と伊藤氏は語る。

強度を持った外装とオリジナル基盤に切削加工機を用いた札幌市立大学製作のモックアップ

この他に、芸術、工学、医学の導入事例と、大学内で機器を自由に使えるように設置された「大阪産業大学クリエイトセンター」や「大阪工業大学MONOLAB.」の事例などを紹介。3Dプリンターを併用したものも見られた。強度や精度が必要な部分には切削加工機を利用し、中空等の複雑な形状を必要とする場合には3Dプリンターを利用するという使い分けはローランド ディー.ジー.が推奨しているものでもある。

作られたものは試作品ばかりではなく、実験に必要となるワンオフのパーツや、医学研究用のワーキングモデルなども含まれている。3Dプリンターのみでは強度や精度を妥協せざるを得ないものも、切削加工機で補うことが可能だ。

3Dプリンターでは作れない精密な流路の製作に東京大学が切削加工機を採用

医学分野では東京大学が切削加工機と3Dプリンターを組み合わせてワーキングモデルの製作に活用している

大阪工業大学は学生が自由に使える「MONOLAB.」に設置。ロボットコンテストへの出場等に利用されている

そして、多くの事例で導入のポイントとして挙げられたのが、機器の扱いやすさだ。「NC加工(numerical control machining)等の場合は数値制御(NC)の知識と技術が必要ですが、切削加工機や3Dプリンターにはそれが不要です。本来欲しいのは成果物なので、機械を使うという工程をいかに簡単にできるかがポイントになります」と伊藤氏は大学における採用例が多い理由を語った。

「削る/盛る」の違いと効果を理解して活用するためのアカデミーをネットで開催

展示がより具体的成果物になったため、来場者はどこまでが切削でどこからが3Dプリンターによるものなのか、どの程度の加工が行えるのかなど細かい部分に注目して具体的な手応えをつかんで帰る人が多いようだった。実際に削りたい素材を挙げての相談も多くあったという。

monoFabシリーズ、切削加工機「SRM-20」と3Dプリンター「ARM-10」をリリースして1年、導入したユーザーからの評判は上々だという。「切削加工機はこの値段で加工できる素材の幅広さが認められていますし、光造形のプリンターも低価格に加え国内でのサポートがしっかりしていると評価していただいています」と伊藤氏。そのサポートの一貫としてこの夏から展開するのが10周年を迎えた「ローランド ディー.ジー.アカデミー」によるイベントの数々だ。

7月には「Experience Day3」と名付けられたセミナーを、東京、大阪、福岡、名古屋で開催。AutodeskFusion 360を利用してのCADの使い方講座から、3Dスキャナを活用した設計事例、そして「monoFabシリーズ」の紹介などを行うセミナーとなっている。さらに「オンラインアカデミー」として、7月から定期的にWebを通して学習できる機会も提供する。

「日々、一般の方からの3D加工に対する関心が高まっています。しかし、切削加工機で「削る」ことと、3Dプリンターで「盛る」ことの違いなどはそれほど理解されていないと感じます。その違いや良い部分の組み合わせを、両方提案している強みを持つ当社としてはもっと発信して行きたいですね」と伊藤氏。

7月からは「monoFab」シリーズ発売1周年を記念したキャンペーンも実施、さらに年内には導入事例を5件程度紹介するなど積極的な展開を予定している。「国内のメーカーとして、お客さまに安心のサポートと情報を提供して行きたいと考えています」と伊藤氏は結んだ。

3Dプリンター、切削加工機の違いがわかるセミナーや、3DCAD・3Dスキャナーについてのセミナーを全国4会場にて開催

・7/10(金)~受付開始
・7/23(木)実施 ・申込方法:Webサイトより受付(先着、事前申込制)
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(マイナビニュース広告企画:提供 ローランド ディー.ジー.)

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