「ドカベン」や「ちびまる子ちゃん」など、誰からも愛されるアニメ作品を世に送り出し、今年で設立40周年を迎えるアニメ制作会社、日本アニメーション。そんな彼らの代表作とも言うべきシリーズ「世界名作劇場」22作品が、キッズステーション、アニマックス、ファミ劇で一挙上映される。その放送を記念し、アニメ世界名作劇場の魅力を徹底解剖! 7月26日の「親子の日」に向けて、子どもと一緒に楽しみたい作品を選ぼう。

今なお多くの人を惹きつけてやまない世界名作劇場とは?

世界名作劇場とは、海外の児童文学を家族向けにアニメーション化し、毎週日曜にフジテレビ系列で放送していたシリーズ。1975年の「フランダースの犬」、1976年の「母をたずねて三千里」など、誰もが一度は見たことのある名作を数多く生み出してきた。少年少女が主人公である場合が多く、彼らの成長や家族との絆、友情といった物語が紡がれていく。

設定は大きく以下の3つのパターンに分類される。

大自然と家族の絆に感動編

ライフスタイルが変化し、家族のコミュニケーションが希薄になりがちな現代。 そんな時代だからこそ、家族の絆を見つめ直したい! そんなアナタにオススメの2作品を紹介しよう。

「トラップ一家物語」(C)NIPPON ANIMATION CO., LTD.

まず一本目は、1981年の「家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ」。移住先のオーストラリアへ向かう途中、海難事故に巻き込まれ、無人島に漂着したロビンソン一家。船もなく脱出できない家族は、木の上に家を作ったり、塩や燃料も自分たちで作ったりと、力を合わせてサバイバルしていく。全50話にわたって、生きるために“創造”することの喜び、どんな状況にあっても家族と笑って過ごすことの大切さが、島の美しい景色と共に描かれる。

もう一本は、1991年放映の「トラップ一家物語」。母を亡くした7人の子どもたちの家へ家庭教師として派遣された18歳の修道女マリアが、彼らの父であるトラップ男爵から突然プロポーズされる。最初はマリアに反抗していた子どもたちだが、彼女の歌と真心に癒され、心を開いていく。たとえ血がつながらなくても、家族のような絆で結ばれる過程が、見る者の涙腺を優しく刺激する。

不幸な生い立ちに号泣編

名作劇場が放送された日曜夕方と言えば、家族団らんの時間。できれば明るいアニメを見たいところだが、名作劇場の中でもとりわけ人気を集めたのは、子どもたちのシビアな現実を描いた作品だ。

一本目は、1985年に放送された「小公女セーラ」。裕福な生活から一転、父の死で身寄りをなくし、使用人生活を始めることになったセーラ。彼女を待ち受けていたのは、過酷な労働と壮絶ないじめだった。名作劇場の中でも悲惨度が高く、まさに無間地獄!? とも言うべき苦境でも、思いやりの心を忘れずに生き抜くセーラの姿が絶大な共感を呼んだ。苦楽を共にした使用人ベッキーとの友情も泣きポイントのひとつ。主題歌の「明日はきっと 今日よりはいい日」というポジティブな歌詞は、子どもはもちろん、悩み多き大人にこそ口ずさんで元気になって欲しい魔法のフレーズ!

もう一本は、少年マルコが出稼ぎに出たまま音信不通となった母を捜す旅に出る「母をたずねて三千里」。スリ被害や親戚の裏切りなどマルコを襲う数々のトラブル。道中で出会う人々との交流。そして“果たして母親と会えるのか?”というある種のサスペンス要素が三位一体となって、多くの視聴者を釘付けにさせた。

2作品に共通するのは、主人公たちの波乱万丈すぎる人生。容赦ない不幸描写が続く中、彼らはそのたびに手を差し伸べてくれる人のありがたみを学んでいく。そして、どんな状況でも諦めずに生きる彼らの健気な姿に、見る者も明日を生きる活力をもらえるのだ。