日本人の多くが愛する “からあげ”。成人男女にとっては、ビールのお供の定番でもある。そんなからあげを、最もおいしくするのは、チューハイであることが、専門機関による科学的分析結果で明らかになった。

その分析結果を明らかにしたのは、味覚分析機関 AISSY。2008年に設立され、味覚に関するデータ分析やコンサルティングなどを行っている、慶應義塾大学発のベンチャー企業だ。分析では同社が開発した味覚センサー「レオ」を用い、からあげとビールの相性度、からあげとチューハイの相性度をそれぞれ数値化し比べている。

基本五味とコク、まろやかさで比較

味覚分析機関 AISSYの味博士 鈴木隆一氏

調査ではまず、食品や食材の「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」、「旨味」の生理学的基本五味に加えて、「コク」、「まろやかさ」を数値化。これらを5つの対称軸にして、それぞれのバランスを比較するという手法で、飲料と食材との相性を見ていく。

まずは、からあげとビールの相性を見ることに。からあげは一般的な「鶏もも肉のからあげ」を用意。ビールは大手ビール4社の缶ビールの平均値を用いた。

からあげの数値は、甘味1.35、塩味3.18、酸味1.34、苦味1.15、旨味3.22、コク5.04、まろやかさ1.12。これに対し、大手ビール4社の缶ビールの平均値は、甘味1.37、塩味1.14、酸味3.66、苦味3.87、旨味1.65、コク5.85、まろやかさ0.72で、全体的に味が強いという傾向が示された。

からあげ+大手ビール4社の缶ビールの平均値

左から「大手ビール4社の缶ビールの平均値」、「もも肉からあげ」、「食べ合わせ値」

相性度:84.6ポイント

AISSYの味博士鈴木隆一氏によると、相性度84.6ポイントのからあげとビールの組み合わせは、「味覚的に合っている」そうだ。

対する、からあげとチューハイの相性度だが、チューハイは2014年に発売された大人のビターチューハイ「キリン ビターズ」をセレクト。からあげとビターズとの相性度の分析結果は次のようになった。

からあげ+ビターズ ほろにがグレープフルーツ

左から「ビターズ ほろにがグレープフルーツ」、「もも肉からあげ」、「食べ合わせ値」

相性度:98.7ポイント

味覚バランスを見ると、ほろにがグレーフルーツの酸味とからあげの旨味の強さがほぼ同じレベルである。ゆえに、ほろにがグレープフルーツの酸味がからあげの後味をすっきりさせてくれる。また、味全体の強さも近いレベルのため、双方が主張しすぎない。ゆえに抜群の相性と言える。(味覚分析機関 AISSYの味博士 鈴木隆一氏)

からあげ+ビターズ ほろにがレモンライム

左から「ビターズ ほろにがレモンライム」、「もも肉からあげ」、「食べ合わせ値」

相性度:95.3ポイント

味覚バランスを見ると、ビターズ ほろにがレモンライムの酸味はからあげの旨味に比べると少しだけ強いため、後味をさっぱりさせたい人にはお勧めの味覚バランスをしている。一方で、味全体の強さのバランスは取れているため、総合的にみて双方の味わいを邪魔することはなく相性はとてもいいと言える。(味覚分析機関 AISSYの味博士 鈴木隆一氏)

からあげ+ビターズ スパイシージンジャー

左から「ビターズ スパイシージンジャー」、「もも肉からあげ」、「食べ合わせ値」

相性度:96.0ポイント

味覚バランスを見ると、他の2種類に比べてビターズ スパイシージンジャーの苦味とからあげの旨味のバランスが取れている。ゆえに、ビターズ スパイシージンジャーのほろにがさが、からあげの旨味を引き立てている。また、味全体のバランスがとれているため、これも抜群の相性と言える。(味覚分析機関 AISSYの味博士 鈴木隆一氏)

からあげと、チューハイ代表のビターズとの相性度はどれも90ポイントを超えており、味博士 鈴木隆一氏によると「とても合う」とのこと。今回の分析結果から、からあげにはチューハイの方がビールよりも合うという結果が導き出された。