ベンキューが9月に発売を開始した27型液晶ディスプレイ「GW2765HT」は、眼精疲労のリスクを軽減する「Eye-care(アイケア)機能」が搭載されていることが特徴となっている。本稿ではこのEye-care機能を中心に、このディスプレイの試用レポートをお伝えしよう。

WQHD(2560×1440ドット)という高解像度の27型液晶ディスプレイ

液晶ディスプレイの定番解像度と言えばフルHD(1920×1080ドット)だが、GW2765HTはWQHD(2560×1440ドット)という高解像度パネルを採用しているため、より広い作業空間を利用できる。また、画面サイズは27型となるため、拡大表示を行わずとも、その解像度をそのままデスクトップ領域として活用可能だ。

眼精疲労のリスク軽減対策機能を搭載したベンキューの27型・WQHD(2560×1440ドット)液晶ディスプレイ「GW2765HT」

とはいえ、液晶パネルの高解像度化が進み、ちまたでは4Kやそれ以上の解像度を誇るディスプレイも珍しくはなくなってきている。そのような状況の中で発売されたGW2765HTの特徴は、日々PCユーザーを悩ませている眼精疲労に着目したEye-care(アイケア)機能だ。今回はこの点を中心に試用レポートをお届けしよう。

2560×1440ドットの解像度が実現する作業空間

GW2765HTの解像度は、前述の通り2560×1440ドットという解像度を備えている。画素数で表すと約368万画素となり、約207万画素である1920×1080ドットと比較するとその空間の広大さがわかるだろう。実際にWindowsでExcelを表示させると、下のような差となって表れる。

解像度別にExcalを開いた様子。左からWQHD(2560×1440)、フルHD(1920×1080)、HD(1280×720)

縮小画像で見比べると、セルや文字などが小さくなりすぎているようにも見えるが、表示サイズは596.70×335.60mmの27型であり、画素ピッチは0.233mm。同社の21.5型フルHDディスプレイの画素ピッチは0.248mmであるため、実際はそれより多少表示が小さいという程度だ。1つの画面に表示できる情報量が増えるということは、ウィンドウを切り換えたり、表示画面をスクロールさせたりする必要性が減るということ。作業効率アップはもちろんのこと、眼への負担を減らす要素にもなるだろう。

有機EL並みの高視野角を実現するIPSパネル

「BCN AWARD 2015」の液晶ディスプレイ部門 No.1のベンキューが、近年とりわけ注力しているのがアイケアだ。特にこのGW2765HTでは眼精疲労軽減のために多数の新要素を追加している。

1つはベンキューグループのパネル製造会社 AUOが開発したIPSパネルを採用していること。IPSパネルはその名のとおり非常に視野角が広く、上下左右・178度という広範囲で色調の変化を生じさせることなく映像を確認できる。27型という大きめのディスプレイを利用する場合、画面中央と端の眼からの焦点距離に比較的大きな差が生まれてしまう。

視野角が狭い場合は、その焦点距離から生じる、わずかな色調の差が目に負担を与えてしまうが、IPSパネルなら、その疲労が少ないというわけだ。このIPSパネルにさらにノングレア(非光沢)処理を施すことで反射を抑え、眼に優しい表示を実現している。また、このIPSパネルは高い色再現性も同時に実現しており、DisplayPort接続時には約10億7000万色を再現可能で、sRGB比100%をカバーする色域を備えている。

視野角が非常に広いIPSパネルを採用。横から眺めてもほとんど色調の変化を感じさせない