医療機器のIT化がめざましい。今に始まったことではないが、医療分野におけるIT技術の革新は、医療関係者、患者の双方に大きな恩恵をもたらしている。そんな医療機器の最前線でテクノロジー開発を続けてきたのが、コニカミノルタ株式会社である。同社のヘルスケア製品の開発現場では、最新のアーキテクチャやITテクノロジーを駆使した様々な角度からの実証実験を行い、そこから得られた精度の高い情報が製品にフィードバックされているという。実験にはハイパフォーマンスなPCを用いる必要があり、株式会社Project Whiteが展開するBTOブランド「G-GEAR」が導入されている。今回、コニカミノルタ株式会社 開発統括本部 第2技術開発センター 加藤美樹氏(以降、加藤氏)に話を伺ったので紹介したい。

東京都八王子に研究拠点のひとつをかまえるコニカミノルタ

常に最新環境が必要な開発業務

光学機器や情報機器、ITソリューションなどで有名なコニカミノルタ株式会社だが、同社では医療画像診断ソリューションも扱っている。日本におけるレントゲンフィルムのパイオニアとしても有名で、X線画像診断システムや超音波画像診断装置を用いた医療診断用の画像処理技術をコアとし、医療のデジタル化、ネットワーク化に寄与する最先端のシステムやICTサービスを提供している。

フィルムからデジタルへと移行したX線撮影。自動的に撮影部位を判別し画像処理を行う技術「インテグラル処理」(写真左)や、撮影写真の中で疑いのある陰影を自動検出し乳がんの早期発見をサポートする「マンモグラフィー診断支援システム」(写真右)など、コニカミノルタでは医師を支援する様々なソリューションが製品化されている

「私が所属する部署では、医療用の画像処理を高速化する実証実験を行っています。近年、CPUのマルチコア化、あるいはグラフィックカードのGPUを活用したGPGPUなど、新しい技術が出てきています。高速化においては、最新技術に合わせたソフトウェア側のアプローチが不可欠であり、パフォーマンスを最適化するためのコード開発などがメインの業務になります」と加藤氏は語る。

コニカミノルタ株式会社 開発統括本部 第2技術開発センター 加藤美樹氏

加藤氏が行っている業務では日々進化を続けるコンピューターテクノロジーの先を見据えることが求められ、その前提のもと、現在の最新アーキテクチャを採用した開発環境を整えていく必要がある。「これまではメーカー製のパソコンを使用していました。しかし、そこへ最新のGPUを組み込もうとしても『マザーボードの規格が合わない』といったことがしばしば起こりました。また、電源不足を見越して新しい電源を購入しても、そもそもケースに入らないといったことも。」と加藤氏は当時を振り返る。進化が著しいPCパーツ業界において、思ったような最新アーキテクチャ環境での実証実験ができないのは苦しいところだといえよう。

最新テクノロジーの導入。重要なのは「透明性」

実はPCの自作が趣味という加藤氏。パーツを求め、秋葉原へ通うこともしばしばあるという。「そういう経緯もあって、BTOパソコンを私達の開発環境に導入したら良いのでは?と考えました。パーツも自由に組み合わせることができますし、将来の拡張性も高い。何よりも、使用しているパーツの詳細が把握できる点が最大のメリットです」と加藤氏は語る。

メーカー製パソコンの場合、マザーボードのチップセットは分かっても、OEM先などの細かな情報は開示されていない。マザーボードの詳細が分かれば、ユーザーフォーラムやメーカーサイトのFAQなどを使ってよりきめ細かい情報も入手できるが、メーカー製の場合それができないことが多いのだという。「実験環境の透明性が、業務の性質上求められます。それを高めたいという理由から、パーツの情報を開示しているTSUKUMOのG-GEARブランドではどうかということになりました。上司にも許可を貰い、TSUKUMOさんに連絡したところ、お取引をお願いできるということになったのです」と、G-GEARを導入した時のことを加藤氏は話す。

「たとえばCPUについて言えば、プログラミングパフォーマンスを最適にする方法はコアごとに違うのです。2世代前のCPUの時にパフォーマンスが出るコードを書いたとしても、新世代では思ったような数値にはならないケースも珍しくありません。研究開発ですから、知見としてそうした状況を把握しておくことが大切なのです」と加藤氏が語るように、最新のアーキテクチャで研究をすることで、それが後の製品化へとフィードバックできる。現状のパフォーマンスの最大値を知ることで、ロードマップ上にあるPCパーツ群の最善の組み合わせもまた見えてくるのだ。

「最終的な製品になる前に、私達画像処理担当と機器担当で開発会議を繰り返します。そこで、CPUならこの世代、GPUならこの組み合わせ、メモリは何ギガバイト以上で見込んだ数値が出る、といった情報をやり取りします。医療機器ですから、信頼性、安定性、耐久性はもちろん、素早く画像が表示できるといったパフォーマンスの高さも求められ、数あるコンピューターパーツの組み合わせの中から最適なものを採択しなければなりません。厳しい要件をクリアしていくには、常に最新の環境で研究開発をしなくてはならないのです。先に述べた透明性ももちろんですが、G-GEARはパーツの融通性が高く、最適なパーツを集めやすい点も助かっています」と加藤氏は語る。

研究開発の環境構築においては、柔軟な取引ルートの確保が必要

「常に最新環境を維持する」という難しい課題に対し、G-GEARは有力な選択肢だといえよう。実際、研究開発の環境が変わったことで、出てくる結果にも好影響があるのだという。

「実際の実験の話ですが、例えばあるシミュレーションでは、6コアCPUの製品が出た当時に早速それを取り寄せたところ、2コアCPUで処理に2日半掛かっていたものが、半日で終わったことがありました。もともとCPUの並列処理に対応させたコードだったこともありますが、結果として約5倍のパフォーマンスの向上が実現できたことになります。事前の計算から狙い通りの結果ではあるものの、こうしたことがすぐに実証できたのはうれしいですね」と加藤氏は話す。計算だけでなく、実際の環境上におけるこのような実験結果をリアルタイムに積み重ねられるようになったことで、フィードバックする情報の確度がより高くなったといえるだろう。

「また、HDDの中に入っているデータを読み出すことを想定した研究開発では、HDDのキャッシュ内にデータがあるうちは狙い通りのパフォーマンスが出るものの、フローすると途端に速度が落ちるという現象が起こりました。これでは研究がストップしてしまうので急いでSSDに変更する必要があったのですが、TSUKUMOさんに相談したところ、即日発送で対応していただけたのです」と加藤氏。これまでパーツの入手性が悪く、こうしたケースでは対応に時間が掛かっていたが、TSUKUMOとの連携が可能になったことでパーツ単位の入手性も格段に向上したのだという。

「その他にも(画像処理でいえば)、ネットワーク経由で、X線で撮影した画像を呼び出す実験なども行います。この場合、マザーボードに搭載されているLANチップの種類やそのメーカーによって結果が変わることもあるのです。TSUKUMOさんにお願いしてLANカードを複数枚取り寄せてもらい、それぞれでベンチマークを取ってデータを採取したこともあります。」と加藤氏。品質について尋ねたところ、「初期不良が無いことがまずありがたいですね。それだけでなく、(業務上で)厳しいテストをしていてもマシンが壊れない点も助かっています。」と評価する。TSUKUMOが持つ、PCパーツ販売やBTOパソコンにおける優れたノウハウと実績が最大限に活かされている結果といえるだろう。

研究室の風景。実証実験の環境には、G-GEARが用いられている

医療機器開発に役立つ製品を提供するG-GEAR

近年の医療現場では、医師が扱う専用機器の他、タブレットに画像を呼び出して患者に病状を説明するなど、様々な形でITが活用されるようになってきている。「専用機器であれば、誤診が絶対に無いように突き詰める必要がありますし、タブレットに画像を呼び出すのであれば、そちらでは速度が求められます。医療の現場でのITの使われ方はこれからも細分化していくでしょうし、そうなるとアルゴリズムは本当に複雑になる。あらゆるケースを想定して、最高のパフォーマンスが出せるよう、研究開発を進めなくてはなりません」と加藤氏は語る。

ところで、G-GEARはゲーミングPCのブランドだ。TSUKUMOのPCの中でも、なぜG-GEARブランドを選定したのかを尋ねたところ、「ゲーミングPCと医療用機器。対極にあるようなイメージがありますが、長時間のフル稼働にも耐えられる、高速処理が求められる、高い描画性能が必須であるなど、共通点は多いのです。今ある最新技術を使って最高のパフォーマンスを求めていくという部分では、この両者は同じということもいえるのではないでしょうか」と回答してくれた。G-GEARがゲーミングPCとしてだけでなく、こういった新しい分野でも十分対応していける品質の高さがあり、それを体感した加藤氏ならではの感想といえる。

「業務の性質上、自分にとって必要な道具は自ら探し出しています。エンジニアでいうコンピューターは、武士にとっての刀のような存在です。仕事で結果を出すには自分で選んで戦えるように出来なければいけないと思っていますから、そういう意味でもG-GEARを選んで良かったなと思っています」と最後に加藤氏は語ってくれた。今後の医療機器の技術革新を担う研究開発。そこに活かされているG-GEAR。これからも進化を続ける最新アーキテクチャを身にまとい、研究者にとって必要な製品を届けてくれるはずだ。

加藤氏をはじめとしたコニカミノルタの研究開発は、今後の医療現場におけるIT活用をさらに加速していくだろう

(マイナビニュース広告企画)

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