2014年8月末に企業のパソコンやネットワーク機器を始めとした、IT機器を管理するツール「IT資産管理ツール」の導入状況に関するアンケートを行った。その結果からは、IT資産管理に対する認知度など、IT資産に対するユーザの率直な意見を目にすることができた。

今回はこのアンケート結果を元に、まだツールを導入していない企業に向け、IT資産が管理できていない場合のリスクと、管理の重要性について解説したいと思う。

1:全体の約60%の企業がツール未導入

「自社でIT資産管理ツールを導入しているか?」という質問項目では、約60%の企業がツール未導入という結果だった。また導入していない理由としては、次のような意見が挙げられた。

  • コストがかかる
  • 費用対効果が不明瞭
  • 必要性を感じない

このように「費用に対するメリットが分からない」「必要性を感じられていない」という理由で、ツール導入まで至らないという声が寄せられた。

また興味深い点としては、導入している製品は全て国産メーカーという特徴も見られた。ツールに関する満足度については、いずれのツールでも、操作の煩雑さに対する不満が少数見られるものの、機能に関しては概ね満足しているという結果だった。

2:「IT資産管理ツール」未導入企業に起こり得るリスク

社員が使っているパソコン、どんな状態か分かりますか?

会社で使っているパソコンが何台あり、誰が使用していて、どのようなアプリケーションがインストールされているのか、持出し用のパソコンなのか……など、社員のパソコン利用状況は把握できているのだろうか。

会社内で使用しているパソコンが数台であれば、Excelでの管理で把握できる場合もあるが、数百台、数千台となると、さすがにExcel上では管理しきれない。そして、社内のIT資産利用状況が把握できていないと、次のようなケースが起こり得る。

  • 新入社員用のパソコンを調達する際、社内に未使用端末があることを知らず、新たにパソコンをリースし、思わぬ追加コストが発生……
  • OSやアプリケーションに、最新のセキュリティパッチが適用されておらず、脆弱性を放置……、知らぬ間に脆弱性を経由したウイルスに感染、被害が会社全体に拡大!
  • 知らない間に、社員が持ち出し禁止の重要ファイルにアクセス……、情報漏えい事件発生!

このように利用状況が分からないだけで、これだけのリスクが存在する。現状を把握できていない企業は、明日にでも同じような状況に陥る可能性があるのだ。

3:IT資産管理を行うメリットとは

先程説明した、パソコンの利用状況が分からないために起こるリスクは、パソコンを含む「IT資産」を管理することで回避できる。これについて前述した3つのケースに合わせて説明していこう。

【端末情報の収集/把握】で、使用状況を把握し無駄なコストを削減!

まずIT資産管理の基本として、【端末情報の収集/把握】が挙げられる。ツールを活用すれば、パソコン自体のハードウェア名・利用者・インストール済みのソフトウェアなど、さまざまな情報を自動で収集し台帳化できる。これは世の「IT資産管理ツール」と呼ばれているものには、ほとんど搭載されている基本機能だ。これを活用すれば、社内に資産として存在するパソコン・IT機器の情報を一覧で簡単に把握できる。結果、各パソコンの現在の利用状況が分かり、ハードウェアを始めとしたIT資産を間違って追加購入してしまい無駄なコストが発生する、ということもなくなるわけだ。

【セキュリティパッチ適用状況】の把握で、ウイルス感染を未然に防止!

端末の情報が把握できれば、パソコンのセキュリティ対策の状態が、危険か安全かという部分も調べられる。つまり、セキュリティ診断機能が搭載されているツールを活用すれば、最新のセキュリティパッチ適用状況や、脆弱性のある危険な端末を簡単に特定可能だ。そしてパッチ未適用の危険な端末を発見したら、即座に最新パッチの配布などの是正処置を行う。これで、脆弱性を経由したウイルス感染を未然に防ぐことができる。

【パソコンの操作ログ取得】で、禁止行為を検知し即座に是正処置!

社員がパソコン上でどのような操作を行っているかが分かれば、情報漏えいに繋がる行為も未然に防ぐことができる。そこで活用したいのがログ取得ツールだ。社員の業務中のWEB閲覧履歴やメール送信、ファイル操作状況など、さまざまな操作履歴を確認できる。

ほかにもツールには、「サーバー側のアクセスログが取得できるもの」「クライアント側の操作ログが取得できるもの」などさまざまなものがある。さらに、あらかじめ社内での禁止行為を設定しておけば、該当する操作が行われたタイミングでアラートが通知され、抑止効果も期待できる。

4:まだまだ認知度が低い! 「IT資産」と「資産」

今回は、「IT資産管理ツール」の導入状況に関するアンケート結果を元に、ツール未導入におけるリスクや、管理することのメリットについてお伝えした。なかには、会計上の「資産」と勘違いされている回答もいくつかあったが、今回の資産は「IT(パソコン・周辺機器)」の「資産」という意味なので、ぜひこの機会に覚えていただきたい。

また、導入検討中の方、未導入の方に向けて無料の「製品評価版」を用意しているので、下記リンクからぜひ試していただきたい。

次回は、導入済みのツールに対する要望や不満点などを中心に、「IT資産管理ツール」に求められているものと、今後の展開について紹介する予定だ。