最新のテクノロジーを駆使したゲームを遊べるのは、今も昔もPCだ。PCのコモディティ化が進み、Webブラウジングなどの一般的な用途がタブレットなどに移行し始めている今でもそれは変わらない。ゲームはPCを自作する目的のひとつとして確立している。しかし、ネットワークやサウンドといった機能がマザーボードに集約され、どんな製品でも動作に必要な最低限の機能を保有するようになった今、ゲーマーが求める要素は絶対性能ではなくなってきた。

こういった状況の中、真っ先にオーバークロックとゲーミングのラインナップをハッキリと切り分けたのがMSIだ。先々代のIntel 7シリーズチップセットの頃より、見た目にもわかりやすいドラゴンのエンブレムとレッドのカラーリングを採用し、「GAMINGシリーズ」として展開。イエローを基調とした「OCシリーズ」とは一線を画した機能を提供している。ゲーミングPCを購入するユーザーのニーズは、ギリギリのオーバークロックにはないと早くから見抜いていたと言えるだろう。

そんなMSIが、Intel 9シリーズを搭載したマザーボードラインナップを発売した。今回はその中から、中核モデルとなる「Z97 GAMING 5」をオススメしたい。

ブラックとレッドを基調とした「Z97 GAMING 5」。GAMINGシリーズの象徴ともなっているドラゴンのマークが映える

「Z97 GAMING 5」のパッケージと同梱品一覧。バックパネルや各種ケーブル類、マニュアルのほか、ケーブル用タグシールやオーバークロックマニュアルなどを取り揃える。またドラゴンのバッジやドアハンガーなども同梱している点がニクい

高品質コンポーネントを採用し、Core i7-4790Kも安定動作

「Z97 GAMING 5」は、「Intel Z97 Express」チップセットを搭載したMSIのGAMINGシリーズのミドルレンジモデルだ。ATXフォームファクタを採用し、一般的なミドルタワーケースでの自作に適している。CPUソケットはLGA1150となっており、"Haswell Refresh"や最近発売したばかりの"Devil's Canyon"に正式対応。定格動作クロック4.0GHzを実現したことで話題になっている「Core i7-4790K」でも、その実力をいかんなく発揮してくれるだろう。ヒートシンクはがっしりとした確かな重みのあるもので、竜の爪を思わせるデザインが採用されている。オーバークロック時にもMOSFETを強力に冷却してくれるに違いない。CPU周りには、MSI自慢のSFC(スーパー・フェライト・チョーク)とDARK CAPが確認できる。一般的なフェライトコアと比べ30%ほど高い電流容量と電力効率を誇るというSFCは、CPU周りの温度を下げ、動作の安定に寄与してくれるだろう。またDARK CAPには、マザーボードの寿命を延ばしてくれる効果が期待できる。

CPUソケット周辺には、MSI自慢のSFCとDARK CAPが確認できる。大型のヒートシンクは確かな重量感があり、冷却性能に期待が持てる

メモリスロットは4基、DDR3メモリをデュアルチャネルで動作させることが可能だ。チップセットが対応している1600/1333MHzのほか、独自にDDR3-3300までの動作に対応。Extreme Memory Profile (XMP)に対応したメモリを使用したり、メモリのオーバークロックを行ったりすることで、さらにパフォーマンスを引き上げることができる。拡張スロットはPCI-Express x16形状が3スロット、PCI-Express x1が4スロットという構成。うちPCI-Express x16は、1スロット使用時x16、2スロット使用時x8/x8、3スロット使用時x8/x4/x4で動作する。NVIDIA SLIとAMD CROSSFIREのマルチGPU環境に対応しており、3枚のグラフィックスカードを利用可能だ。

DDR3メモリスロットを4基備えており、独自にDDR3-3300までの対応が謳われている。またテスターなどで直接電圧を計測できるV-Check Pointsも備えており、オーバークロック時や不具合発生時に役立てることが可能だ

拡張スロットは計7基。PCIスロットは搭載されておらず、すべてPCI-Expressスロットだ。最上段のPCI-Express x16スロットの下には、レーンスイッチングチップであるAsmedia「ASM1480」が確認できる

10Gb/sに対応するM.2コネクタを備え、ストレージへの高速アクセスが可能

CPUソケットと拡張スロットの間には、M.2コネクタが確認できる。Intel 8シリーズから9シリーズへの変更点はそれほど多いわけではないが、M.2コネクタは目玉のひとつというべき新機能だ。SATA3.0の理論値6Gb/sを超える10Gb/sでの高速アクセスが行えるため、対応したデバイスを用意すれば、SSDの急速な進化により頭打ちになっているストレージの速度を向上させることが可能。一方、他のマザーボードでは採用が始まっているSATA Expressコネクタは見送られており、従来通りSATA3.0コネクタ6基の構成となっている。SATA Expressコネクタに対応した製品はまだ登場していないため、安定性とコストを重視した現実的な対応を採ったとみることができるだろう。

対応製品が徐々に発売され、そのアクセス速度が話題になっているM.2コネクタ。ストレージの速度を重視するなら、ぜひ活用したい

その他のSATAコネクタはSATA3.0が6基と8シリーズとほぼ同様だ。なお5番はM.2コネクタと共有となる