私事で大変恐縮なのだが、このたびMacBook Airの11インチモデルを購入した。外出先で利用するモバイルノートが必要だったのと、仕事でMacが必要な機会が度々あったからだ。MS-DOSの時代から数えると筆者は20年以上マイクロソフト製のOSをメインで使っていたのだが、ついにMac OS搭載マシンを購入することになったかと思うと、いろいろと感慨深いものがある。

筆者が購入したMacBook Airの11インチモデル。メモリは8GB、ストレージは256GB SSDを選択している

実際にMacBook Airを使ってみたところ、重量は1.08kgと軽くて持ち運びやすく、キーボードも非常に扱いやすい。外出先でも快適に利用することができた。まだMac OSの操作に慣れていない部分はあるものの、システムやアプリをカスタマイズすることでよりストレスなく使うことができるだろう。Boot Campを利用して、Windowsをインストールすることも検討している。

だがMacBook Air 11インチモデルの液晶ディスプレイは、解像度がわずか1366×768ドット。大量の情報を扱う作業や、複数のウィンドウを用いた作業には向いていない。たとえば情報収集のためにブラウザを開いても表示される情報量が少なく、ページのすべてを確認するにはスクロール操作を何度も行なう必要がある。そのほか文書作成、画像編集などでも作業効率は落ちてしまうだろう。

1366×768ドットの液晶ディスプレイは画面あたりの情報量が少なく、作業内容によっては効率が下がってしまう

もっとも液晶ディスプレイの解像度が低いことは、購入前からわかっていたこと。外出先ではメールの確認と原稿執筆中心と割り切り、情報収集や画像編集などデスクで行なう作業については外付け液晶ディスプレイの利用を前提としている。そこで筆者がMacBook Airと合わせて選んだのが、ベンキュージャパンの27型液晶ディスプレイ「BL2710PT」だ。

2,560×1,440ドットのWQHD表示に対応する27型液晶ディスプレイ「BL2710PT」

筆者がCAD/CAM向けの「BL2710PT」を選んだ3つの理由

そもそも「BL2710PT」は、画面上で緻密な作業を行なうCAD/CAM(設計やメカニカルデザインを行なうためのシステム)ユーザー向けの液晶ディスプレイだ。メカニカルデザインの経験もないITライターである筆者が、このプロ向けの液晶ディスプレイを選んだのには3つの理由がある。

1つ目の理由は、27インチでフルHD(1,920×1,080ドット)よりも解像度が高い点。これまではWindowsマシンで24インチのフルHD液晶ディスプレイを使っていたのだが、1,920×1,080ドットのデスクトップでは複数の資料や作業ウィンドウを大きく表示することができず、限界を感じていた。また仕事で撮影した写真を確認する際も、フルHDでは細部のディティールを高精細に映し出すことができない。確認のために部分的に拡大すると、全体像を把握しづらくなるという欠点もある。

最近出回っている15.6型クラスでWQHD表示対応のノートPCの導入も検討したが、単に解像度が向上するだけでは文字が小さくて読みづらくなってしまう。1画面あたりの情報量と画面の視認性を考慮すると、筆者には27インチのWQHD表示がちょうどいいと判断したのだ。MacBook Airは最大2,560×1,600ドットの外部出力に標準対応しているので、高解像度の液晶ディスプレイと相性がいい。実際に「BL2710PT」を使ってみると映像は細部まで高精細に表示されるため、写真確認時に拡大縮小を繰り返す必要もなく作業をスムーズに行なえるようになった。

2,560×1,440ドットの液晶ディスプレイは1画面のあたりの情報量が多く、資料を素早く確認することができる

2つ目は、コストパフォーマンスに優れている点。アップル製品を使い出すとなぜか周辺機器も純正品を使いたくなるものだが、27インチの純正ディスプレイは約9万円と非常に高価だ。それに対して「BL2710PT」は、ショップによって多少値段のバラつきはあるものの、うまくすれば6万円代前半で購入できる場合もある(2014年7月現在)。純正品はさすがにデザインはピッタリ合うものの、液晶表示のスペックは同じ程度であることを考えると、2万円以上安く買える「BL2710PT」のほうがお得だ。

3つ目の理由は、目の疲れを抑える「フリッカーフリー」に対応している点。フリッカーとは液晶ディスプレイで生じる画面のチラつきのことで、目の疲れを促進する原因のひとつだと言われている。とても高速に明滅を繰り返すので普段の作業では感じることはないが、気が付かないうちに目へのストレスが貯まり、その結果として目の疲れや肩や首のコリといった症状が表われるとのことだ。フリッカーが発生する原因にはさまざまな理由があるが、通常の液晶ディスプレイであれば画面の輝度を落としたときに発生しやすい。

このようにフリッカーはやっかいな存在だが、「BL2710PT」を始めとするベンキュージャパンのフリッカーフリー対応製品は、フリッカーが発生しない仕組みを採用している。そのため、液晶ディスプレイを長時間見続けても目が疲れにくいのだ。

【特別企画】フリッカーフリーで目の負担を軽減、ブルーライト対策も搭載 - ベンキュージャパンの27型ワイド液晶ディスプレイ「GW2760HS」』より。フリッカーフリー非対応の「VW2424H」(写真左)では、フリッカーと扇風機の羽の回転が干渉してモアレが生じている。一方のフリッカーフリー対応の「GW2760HS」ではモアレが見られず、フリッカーが発生していないことがわかる

実際に「BL2710PT」の映像を間近で見てもフリッカーが発生していないことは実感できなかったが、心なしか普段よりも目の疲れが少ないようにも感じた。毎日12時間以上液晶ディスプレイを見続けている筆者は日常的に目の疲れやコリに悩まされているが、このわずらわしさから開放されるなら、試してみる価値はあると思い「BL2710PT」を選んだのだ。

また「ブルーライトカット」に対応している点もポイントだ。ブルーライトとは液晶ディスプレイが発する青色成分の光のことで、長時間この光を見続けると目に大きな負担をかけると言われている。ブルーライトと眼精疲労の因果関係はまだはっきりしていないが、目の疲れを減らす可能性があるのなら使ってみようと考えている。「BL2710PT」はOSDから画面モードを「閲覧モード」に切り替えることで、通常時よりもブルーライトを30%抑えられることが可能。あくまでも個人的な感想ではあるが、実際に使ってみたところ普段から時折感じるまぶしさを感じることはなかった。

sRGBモード(写真左)と閲覧モード(写真右)の画面の色合いの違い。閲覧モードでは色温度と輝度が下がっていることがわかる

以上の3点が、筆者が「BL2710PT」を選んだ理由だ。メーカーはCAD/CAMユーザー向けと謳ってはいるものの、高精細で眼に優しく、しかもコストパフォーマンスがいいとなれば、一般ユーザーでも「BL2710PT」を選ぶ意味はある。ビジネスシーンだけでなく、趣味で写真の閲覧や加工を行なったり、動画を長時間観る機会の多い人にもおすすめだ。スマートフォンや薄型テレビなど液晶ディスプレイを長時間見続けて眼が疲れることの多い現代において、眼への負担を減らす「フリッカーフリー」や「ブルーライトカット」に対応していることは特に重要ではないだろうか。実際に使ってみた筆者自身も、かなり満足している。