大量の紙の文書をまとめてデジタル化できるドキュメントスキャナは、いまやビジネスはもちろんプライベートでも欠かせない存在となっている。かさばる書籍や資料を取り込むことで収納場所が不要となるほか、読み取った資料をテキストデータ付きのPDFに出力できるため素早く検索することができる。デジタル化した資料をスマートフォンやタブレットに転送すれば、移動中の電車の中や外出先のカフェでも確認可能だ。あふれかえる資料をスマートに管理、活用するには手軽に使えて高性能なドキュメントスキャナが必須だと言える。これから新たに導入を考えている人や旧機種からの買い替えを検討している人もいるだろう。

そこでおすすめしたいのが、キヤノンから発表されたドキュメントスキャナの新モデル「imageFORMULA DR-C225W」(以下、DR-C225W)だ。片面なら毎分25ページ、両面なら毎分50ページの高速なスキャンが可能なほか、読み取り時の重送(2枚以上の紙が重なること)エラーを抑える「ダブらんスキャン」やワイヤレスで使えるWi-Fi機能など豊富な機能と優れた使い勝手を兼ね備えている。今回はそんなDR-C225Wの特徴や新機能の紹介を交えながら、発売前に借りることができた実機を試用したユーザーの感想をお届けしよう。

キヤノンの新型ドキュメントスキャナ「imageFORMULA DR-C225W」

■主な仕様 [イメージセンサー] CIS [光学解像度] 600dpi [ADF容量] 約30枚(80g/m2紙) [原稿サイズ] W50.8~216mm、D70~356mm(ラウンド排紙)、D53.9~356mm(ストレート排紙) [読み取り面] 片面/両面 [読み取りスピード] 25枚/分(A4カラー片面、200dpi) [本体サイズ] 未使用時(用紙トレイ収納) W300×D156×H220mm、使用時(用紙トレイ全開) W300×D235×H339mm [重量] 約2.8kg

省スペースで人気のモデルがWi-Fiに対応!

DR-C225Wは、優れた省スペース性で人気を博した同社のドキュメントスキャナ「imageFORMULA DR-C125」(以下、DR-C125)の後継モデルだ。実用性の高い本体デザインと基本性能はそのままに、ハードウェアとソフトウェアの両面でパワーアップしている。新モデルの変更点は後述するとして、まずは最大の特徴である省スペース性と用紙の搬送方式について見てみよう。

トレイを閉じた状態の本体前面。右側には電源ボタン(上)とワンプッシュでスキャンを開始できるスタートボタン(下)が配置されている。社名と製品名のロゴの色が変わった点を除いて、デザイン的には前モデル「imageFORMULA DR-C125」と同じだ

本体右側面には電源コネクタとUSB2.0端子に加え、給紙方法や用紙の搬送方法を変更するレバー類が用意されている

本体そのもののサイズは、同種のドキュメントスキャナとさほど変わらない。だがDR-C225Wが他社モデルと大きく異なるのは、本体上部にセットした原稿が「U字」型に搬送されるため排紙スペースが必要ない「ラウンドスキャン」方式を採用している点だ。一般的なドキュメントスキャナでは本体の前面に原稿が排紙されるため、実際には本体サイズよりもかなり大きめのスペースが必要となる。それに対してDR-C225Wでは、読み取った原稿がUターンして本体前面のトレイに縦向きに排紙される。この特殊な搬送方式により、実際の運用に必要なスペースを大幅に縮小しているのだ。デスクの脇に置いても邪魔にならず、家庭でもわずかなスペースに設置できる点がうれしい。

原稿をスキャンする際は、本体上部の給紙トレイを開き用紙ガイドを展開する

本体上部にセットした原稿がUターンして本体前部に排紙されるため、排紙のためのスペースが必要ない

対応する原稿サイズはカードサイズからA4サイズまで。さらに長尺用紙なら最大3mまで読み取ることが可能だ。読み取り速度は片面なら毎分25ページ、両面なら毎分50ページ(A4カラー、200dpi)で、一度にA4用紙を30枚までセットできる。書籍や大量の紙資料でも作業を素早く終わらせられる高いスキャン性能だ。

読み取りには、付属のスキャンソフト「CaptureOnTouch」を利用する。原稿をセットした後、前面のスタートボタンを押すだけで自動的にソフトが起動。スキャン結果表示後に「完了」ボタンをクリックするだけで、PCのフォルダーやクラウドサービスに保存されるので作業はとても簡単だ。前モデルにも同じスキャンソフトが付属されていたが、新モデルではユーザーインターフェースが大幅に改善されている。新旧インターフェースを比較すると、画面が非常にわかりやすくなり直感的に操作できるようになっているのがわかるだろう。

付属のスキャンソフト「CaptureOnTouch」(写真左)。旧バージョン(写真右)と比べるとインターフェースが格段にわかりやすくなっている

メニュー画面(写真左)を使えば、本体のスタートボタンを押さずにソフトからスキャンを開始できる。目的に応じてボタンを選択する「3ステップスキャン」や、よく使う機能を素早く呼び出せる「お気に入り」など、旧バージョン(写真右)よりも直感的な操作が可能だ

DR-C225Wは原稿の状態やサイズに応じて自動的に最適な状態でスキャンを行なうため、基本的に取り込み後の調整は必要ない。だが場合によっては、調整したほうが資料がより見やすくなる場合もあるだろう。そんなときはスキャン結果の画面から、原稿の明るさや傾き具合などを微調整できる。

スキャン結果の微調整を行なう場合は、編集メニューを利用する。画面の色や明かるさ(写真左)、傾きや取り込み範囲(写真中)、ページの向き(写真右)を変更可能だ

取り込んだ原稿はPDF、JPEG、TIFF、PNG、BMP、PPTX(PowerPoint)の6種類のファイル形式で保存できるほか、プリンタ/複合機で印刷したり、各種クラウドサービスやインストール済みのアプリケーションに転送することが可能だ。対応するクラウドサービスはEvernoteやDropbox、Googleドライブ、OneDriveなど全部で5種類。それぞれのアカウントにログインしておくことで、保存先やタグなどを細かく設定することもできる。

各種クラウドサービスやアプリケーションと連携して、取り込んだ資料を転送することができる。標準で用意されている出力先も豊富だ

Wi-Fi機能に対応した点も大きな変更点だ。接続方法はDR-C225Wをアクセスポイント(無線LAN親機)として使う「APモード」と、DR-C225Wから無線LAN親機に接続する「STモード」の2種類。どちらも接続手順は簡単で、すぐにワイヤレス環境を構築できる。クラウド連携と同様、特にビジネスシーンで活用できるだろう。

本体背面には無線機能用のスイッチとランプが配置されている

ふたつのスイッチのうち、右側を押してWi-Fi機能を有効にする。左側は「APモード」を有効化する「APスイッチ」

無線LAN親機に接続する「STモード」は、ウィザード形式で簡単に接続できる