中堅・中小規模の企業を中心とした業務システムの運用基盤として、「IBM System i/Power Systems(AS/400)」は根強い人気を誇っており、さまざまな業界・業種で実績を重ねてきた。RPGやCOBOLなどのプログラミング言語で開発された多くのアプリケーションが、いまなお現役で稼働を続けている。

しかし、システムの運用形態が従来のホスト型やクライアント/サーバー型からWebコンピューティングへ推移していくなかで、レガシー化しつつある既存資産をいかにモダナイゼーション(近代化)していくのかという課題が顕在化している。

アプリケーションを全面改修するには多大なコストと時間がかかることから、中堅以の企業にとっては負担が重過ぎる。そもそも、RPGやCOBOLを扱えるエンジニアが高齢化や退職によって、その数が激減している。若手へのスキルの継承も難しい。パッケージに切り替えるにしても、既存システム以上に自社の業務要件にぴったり合ったものはなかなか見当たらず、結局のところ膨大なカスタマイズ作業に追われることになる。

どうにも身動きが取れない状況に、多くの企業が直面しているのだ。

基幹業務システムのベース部分に手を加えずフロントのユーザー画面をWeb化

パルシス 営業部 マネージャー 阿部哲司氏

1987年にIBMのメインフレームOS(MVS)および関連製品の導入・カスタマイズ業務を開始して以来、パルシスは大型ホストからオフコン、PCサーバーにいたるまで、さまざまなプラットフォーム上でのシステム構築やSI案件を手がけて実績を上げてきた。IBMのソフト開発部門のビジネスパートナーとしての技術力は、業界内でもきわめて高く評価されており、既存資産のモダナイゼーションという課題の解決策を求めて多くの企業が訪れてくる。

パルシスの営業部マネージャー、阿部哲司氏はこのように語る。「じっくり話を聞いてみると、基幹業務システムのベース部分のプロセスやロジックに大幅な変更が迫られているわけではありません。求めているのは、フロント部分のWeb化による操作環境の改善やマルチデバイス対応といったことがほとんどなのです」

この要請に応えるべく、パルシスが目をつけたのが、「IBM WebSphere Application Server(以下、WAS)」の活用である。

WASは、全世界1万9,000社以上に採用され、国内でもトップクラスの市場シェアを誇っているアプリケーションサーバーだ。最大の特長は、基幹業務システムでも安心して利用することができる優れた性能と信頼性にある。実際、銀行のオンラインバンキングシステムや証券会社のトレーディングシステムなど、ミッションクリティカルなシステムにおいても豊富な導入実績を有している。

パルシス第三技術部の部長である森川義昭氏はこう語る。「IBM System i(AS/400)で稼働している基幹業務システムとWASを連携させ、両者でデータベース(IBM DB2)を共有することにより、フロントのユーザー画面をWeb化することができます」

Webベースのアプリケーションをノンプログラミングで開発

パルシス 第三技術部 部長 森川義昭氏

もっとも、WAS上でフロント部のWebアプリケーションを開発するためにはJavaによるプログラミングが必要で、それなりに手間はかかる。この開発作業の工数と時間、コストを削減するため、パルシスがもう1つのキーテクノロジーに位置づけたのが、「Wagby(ワグビィ)」という超高速開発ツールである。

Wagbyは、Webベースのエンタープライズアプリケーションをノンプログラミングで開発するもので、設計情報から業務ルールやユーザーの操作画面、データベーススキーマなど、Javaソースコードを100%自動生成する。詳細設計から単体テストまでの工数を大幅に削減することに加え、実際に動作するシステムを使ってレビューを行い、修正要求をその場で反映していくラピッド・プロトタイピングを容易に実現できる。

また、データの基本操作(登録・更新・削除・検索・一覧表示・詳細表示)はもとより、「複合キー」「枝番」「ルックアップ(何層にもまたがったモデル参照関係)」「明細(繰り返し)」といった複雑な操作についても、すべてWebブラウザベースの開発環境から行えるのが大きなメリットである。

「他にも優れた機能を備えた超高速開発ツールはあるのですが、Wagbyであれば業務部門のエンドユーザーでも基本的な開発は可能。そこにJavaやデータベースの知識を持ったIT部門の人材が加われば、細かなカスタマイズ要件にも対応できます。WASをターゲットとし、中堅・中小規模の企業でも持て余すことなく扱っていける超高速開発ツールとして、Wagbyが最適と判断しました」(森川氏)

最新バージョンのWagby R7でついにWASサポートが実現

当初、Wagbyはアプリケーションサーバーとしては「Apache Tomcat」にしか対応していなかったのだが、開発元のジャスミンソフトに対するパルシスの積極的な働きかけが実を結んだ。最新バージョンの「Wagby R7」で、ついにWASがサポートされることになった。現在、開発作業を進めており、2014年9月頃を目途に対応完了する予定である。

ちなみに、Webアプリケーション開発にWagbyを適用することで、パルシスでは定量的にどの程度の工数削減やコスト削減が可能になると見込んでいるのだろうか。

「Wagbyが効果を発揮するのは、要件定義、基本設計から詳細設計、Javaプログラミング、ユーザーテスト、データ移行も含む全開発プロセスで、通常の開発と比較した当社実績では32%の工数削減となります。当然、その分のコスト削減となります」(阿部氏)

もちろん、効果は定量的なものだけではない。Javaソースコードを自動生成するため、人間系によるケアレスミスが排除されて品質が安定する。また、多人数のプログラマーを投入することなく開発メンバーを少数に絞り込むことができ、意思疎通が緊密になることで、さらに品質が向上する。こうした定性的な効果によって、システム開発そのもののリスクを低減することが可能となるのである。

パルシスでは、この開発モデルをレガシーシステムのマイグレーションや部分的なWeb化にとどまることなく、IBMの多種多彩なソリューションと組み合わせた新規システムの開発案件にも適用していく考えだ。

(マイナビニュース広告企画)

[PR]提供:IBM