数々のヒット作を手掛けていることで知られるSOLA DIGITAL ARTS Inc.(以降、SOLA)。中でも、2012年7月に公開された映画『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』では、トップクリエイター 荒牧伸志氏を先頭に最新技術と豊かな表現力でCGムービーに大きな足跡を残すことになった。

そんなSOLAが次に世界へ送り出す作品が映画『アップルシード アルファ』である。どのような作品になるかはこれからのお楽しみとなるが、これまで以上に新しい試みや新技術を盛り込んで作られているという。

Motion picture (c) 2014 Lucent Pictures Entertainment Inc./Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc., All Rights Reserved.Comic book (c) 2014 Shirow Masamune/Crossroad

SOLAの作品創りを陰で支えたのが、eX.computerのワークステーションだ。高いスペックはもちろん、プロの現場でも安定した稼働を実現する高い品質で、スムーズな作業環境を提供したのだという。同社のCTO/CGプロデューサー 河田成人氏(以下、河田氏)、CGディレクター 松本勝氏(以下、松本氏)に話を伺った。

CGディレクター 松本勝氏(写真左)、SOLA CTO/CGプロデューサー 河田成人氏(写真右)

前作よりも少ないスタッフ数で、充実した制作環境を構築

SOLAが手掛けた映画『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』が各方面で高い評価を受ける中、同社にとって次の作品となる映画『アップルシード アルファ』の制作が進んでいた。「構想から数えると2年になりますね。『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』の制作終盤からデザインなどは始めていましたが、制作完了後になって作業が本格化していったことになります」と話すのは松本氏だ。「監督は同じ荒牧伸志ということもあって、『アップルシード アルファ』ではこういうことがやりたいんだというものを具体的にして、それに対してスタッフがどのように実現していくか議論するというやり方でした」と河田氏も言葉を続ける。

監督と制作スタッフ間でこうした議論の場が持たれることは珍しく、SOLAにとっても新しい試みとして作品創りに好影響を与えると期待していたのだ。「監督のプランに対して、これは難しい、これはもっと良く出来るといった議論がありましたね。そこで大きな方向性として、『アップルシード アルファ』では、映像をフォトリアルにしていこうと決まったのです」と河田氏は語る。

『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』での制作スタッフは一番多い時期で300人を数えたという。しかし、同じように約2年という制作期間だったにも関わらず、今回は約100人のスタッフによって制作されることになる。「制作を進めるにはいくつかのセクションがそれぞれに作業を行うことになります。そのセクションでやるべき事をコントロールできる人間が必要なのです。前作ではそれが足りずに上手くコントロールできなかった部分も確かにあったので、まずは各セクションのキーとなる人材を確保することを重要視しました」と松本氏は語る。キーとなるスタッフがそれぞれ明確な指示をすることで、無駄な時間や過分人材を排除し、作業を行うスタッフも最小限にできたのだ。

制作過程や技術にも新しい試みを取り入れる

今回の作品でSOLAが取り入れた技術に「リニアワークフロー」がある。現実世界の光はリニア(直線)に降り注ぐが、これを人間が見た場合生理的な反応もあって視覚的には自動調整された形で感じている。それをCGの世界に応用する技術がリニアワークフローで、簡単にいえば、より「自然な光」を見た人に感じさせることができるのだ。「フォトリアルにするのであれば、光の減衰の仕方や見せ方も大切になります。それを実現するには最適だと判断して選択しました」と松本氏。ゲーム業界で使われることが多かった技術だが、これをCGムービーに採用することで、理想としているフォトリアルを実現していったというわけだ。

また、現代から続く近未来という設定のため、登場する武器や乗り物にもこだわったのだという。「現在の武器が進化したらこういう形になるだろうといったことを想像しながらデザインし、映像化しました。そこを含めてのリアルなのです」と河田氏。正式な年代は設定されていないが、こうした設定は武器マニアにはうれしいはずだ。

今作で採用されている細部へのこだわりはそれだけではない。CGムービーではモーションキャプチャを使って人間などの動きを再現する手法が取り入れられているが、今回はガンアクションの専門家・細川雅人氏(以下、細川氏)をアドバイザーとして招集したのだ。「銃を持ち慣れているというだけで、たたずまいからして違います。ましてや、劇中に出てくるキャラクターも訓練を受けた兵士ですから、その動きも一般人とはかけ離れているのです。そこで、元フランス外国人部隊に所属していた細川氏にアドバイザーをお願いしたのです」と河田氏は語る。

フォトリアルにこだわったという今作について語る両氏

こだわりを形にするために必須のワークステーション

リニアワークフローの採用なども含め、細部へのこだわりをイメージ通りに再現していくには、ストレス無く作業に打ち込めるハイスペックなマシンが必要になる。SOLAが今回導入したのはeX.computerのワークステーションのカスタマイズモデルだ。同社が通常使用しているアプリケーションを快適に動作させるための、ハイエンドCPU インテル(R) Core(TM) i7-4770 プロセッサー をはじめ、ストレージもサイズの大きなファイルへのアクセスを高速にするインテル(R) SSD DC S3500 シリーズ 480GB、メモリも余裕の32GBと、プロが扱うのにふさわしい、バランスのとれたハイスペックが詰め込まれたマシンだ。

「必要なときに必要な台数だけ導入したいので、eX.computerのようなBTOワークステーションの存在はありがたいです。コンピューターは買った翌日から古くなるものだと思っていますから、なるべく最新のものを使いたいという理由もあります」と河田氏。制作期間中の繁忙期にクリエイターを増やすことはよくある。その場合、何名のスタッフが増え、何台のコンピューターが必要か、さらには必要なスペックはどのようなものかを事前に判断することは難しい。「例えばエフェクトアーティストを呼ぶのであれば、彼らの作業には32GB以上のメモリが必須になります。なので、そこを基準に必要なコンピューターを決めるのです」と河田氏は言葉を続ける。eX.computerのBTO製品なら、そうした個々の要望にも柔軟に対応できるというわけだ。

コンポジットのような負荷の高い作業にはインテル SSD DC S3500 シリーズ 480GBのRAID構成が効果的だったという。「圧縮しない生データをリアルタイムに見られる仕組みが欲しかったのです。それをSSDのRAIDにすることで出来るか不安でしたが、実際にはストレス無く動きましたね」と河田氏。レンダリングに関してもSOLAではCPUパワーを使う方法を選択しているが、レンダーマシンをインテル(R) Core(TM) i7 プロセッサーにすることで速度の向上を果たしている。「CPUのコア数が増え、裏でレンダリングを実行しながら仕事ができてしまうんです。クリエイター達は休む時間が無くなったようで困ってますね」と笑顔で語る河田氏。

また、Mayaや3DSMAXといった3DCGを作成するソフトウェアはGPUによる並列処理を行うことで効率化することができる。「そこもプロ用グラフィックボードを搭載したので、劇的に早くなりましたね」と松本氏は語る。多重レイヤーにおいてその効果は特に現れるので、今作品のフォトリアルというテーマに大きく貢献したようだ。

同じようなサービスを提供しているBTOメーカーはいくつもあるが、どのような理由からeX.computerを選んだのだろう?「昔から実店舗へはよくお邪魔していたのです。そうした実態のあるショップのブランドであることも一つの理由ですが、実際に使ってみて検証されたパーツをしっかり組んでいることがわかりました。コンピューターの購入資金も抑えることができますし、故障もほとんど無く、非常に信頼しています」と河田氏は語る。同氏は続けて「それとケースのデザインがかっこいいんですよね。だから机の上に置きたくなる」と笑顔で話してくれた。

SOLAの作品制作を支えたeX.computerのワークステーション

高い品質の映像を生み出すフットワーク

SOLAでは、Adobe Premiere(R) Proや、After Effects(R)を制作に活用しているが、それらのバージョンはすべてCS6としている。Adobe社製品を使う多くのクリエイターが、バージョンに関して割と保守的な姿勢を持つことは多い。「例えば、頻繁にコンピューターを変えていく際に、自分はCS5を使っているからそれで合わせたいと思っても、現状で購入することはできません。ですから、素早く環境を構築するには、常に最新バージョンを導入しておくほうがよいのです」と松本氏。

勿論、気を配らなければならないのはソフトウェアだけではない。ハードウェアであるワークステーションにも相応のハイスペックが求められる。加えて、動画編集とエフェクト処理では求められる性能も変わってくるので、使用するソフトウェアに応じたCPUやグラフィックスカードをそれぞれ搭載する必要がある。その点、eX.computerのワークステーションならば、BTOによって個々の用途に合わせて必要なスペックを選択できるので、オーバースペックやアンダースペックが出ることは無い。

現在、Adobe(R) Creative Cloud(TM)への移行こそ準備中だが、こうした考え方があるからこそ、厳しい作業の中でもフットワークの軽い管理がおこなえるのだろう。

他のCGムービーは制作に5年といった期間を設けていることが多いが、SOLAが手掛けた作品はここ4年で2本だ。各方面からの高い評価はいうまでもないが、このスピード感については「スタッフが優秀なんですよ。それに監督もCGをよく理解しているので出来たことです」と河田氏。適材適所で人材を配置する手腕と、それを指揮する監督以下各スタッフが、うまく連携することが、優れた作品の中に息づいているのだろう。もちろん、そのスピード感を支えるのは、ハイパフォーマンスを安定した状態で提供できるeX.computerのワークステーションも存分に寄与しているといえる。

「まだ公開前なので気が早いですが、『アップルシード アルファ』の続編も手掛けたいですね」と声を揃えて話してくれた河田氏と松本氏。SOLAではすでに次回作へ向けての始動が始まっているのだろう。同社とスタッフ一同、それにeX.computerのワークステーションによって描かれる次回作にも大いに期待したいと思う。

進化を続けるCG業界を牽引するSOLA。今後の作品もきっと私達を楽しませてくれるはずだ

eX.computer Quadroモデル QA7J-C52/S
OS Windows(R) 7 Professional (64bit)
CPU インテル(R) Core(TM) i7-4770 プロセッサー
マザーボード インテル H87 Expressマザーボード(ASUS製 H87-PLUS)
メモリ 32GB DDR3-1600
グラフィック NVIDIA(R) Quadro(R) K4000 グラフィックボード
SSD インテル(R) SSD DC S3500 シリーズ 480GB
ハードディスク 3TB Serial ATA ハードディスク
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
電源 650W 80PLUS BRONZE 電源

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