さて、前回掲載した「“SSD RAID”で快適なPC環境を構築する【設定編】」では、RAID BIOSを設定することによりRAID0ボリュームを構築する手順を紹介したが、今回はどのくらいパフォーマンスが向上するのか検証してみよう。

前回の記事ではSSD RAIDは1GBあたりの単価が上がってしまうと書いた。たとえばM5 Pro 256GB×2だと、22,000×2=44,000円。一方、512GBのM5 Proなら約40,000円と、1GBアタリの単価は512GBのほうがお得となる。ところが、単価が割り増しになってもRAIDのほうが得られるメリットが複数ある。その最たるものがデータ読み書き速度の向上だ。

まず、定番のWindows エクスペリエンス インデックスの数値をみてみよう。マシンはCore i7-4770K、インテルZ87エクスプレス、メモリ8GB、Windows 7 64ビットという構成で、500GBのHDD、M5 Pro 256GB×1、M5 Pro 256GB×2(RAID 0)をそれぞれで比較してみた。ストレージの性能を示しているのが「プライマリハードディスク」の項目で、一番左の500GB HDDと単発SSD(256GB)が「5.9」、SSD RAIDだと「7.9」に跳ね上がった。ちなみにWidows7のエクスペリエンス インデックスのスコアの最高値は「7.9」。SSD RAIDはさらに高いスコアになっている可能性もあるのだ。

左が単発SSDのスコア。右がSSD RAIDのスコア。「プライマリ ハードディスク」のスコアが跳ね上がっている

続いて「CrystalDiskMark」の数値をチェックしてみよう。HDDに比べ単発SSD(256GB)のシーケンシャルリード/ライトは3倍以上、さらにその単発SSDに対してSSD RAIDは約1.5倍の数値となった。また、実際のデータの読み書きに近いテストとなる4KB(QD32)の数値も単発SSDの約1.5倍。いかにSSD RAIDが高速なのかを示している。前述したように、1GBあたりの単価は512GBのほうが約1.1倍お得だが、SSD RAIDは単発SSDの約1.5倍のパフォーマンスを発揮したことになる。これならプラス4,000円を投資しても納得できるだろう。

左からHDD、単発SSD、SSD RAIDのベンチマーク結果。SSD RAIDのスコアが圧倒的に高いのがわかる

さらに、マシンのトータル性能を測る「PCMark 7」と、グラフィック描画性能を計測する「ファイナルファンタジー14:新生エオルゼア キャラクターベンチマーク編」も走らせてみた。結果、PCMark 7では、単発SSDとSSD RAIDには大きな差はみられなかったが、ともにHDDよりも大きくスコアを伸ばしている。単発SSDとSSD RAIDの読み書き速度の差が出づらいテスト内容かと推測できる。一方、新生エオルゼア キャラクターベンチマーク編では、HDD、単発SSD、RAID SSDのスコアにあまり違いはなく、誤差程度といえる。ただし、PCゲームの中には広大なマップを読み込むものもある。そうしたゲームでは、SSD RAIDの高速な読み込み速度が効いてくるだろう。

   
PCMark 7 Basic
HDD SSD SSD RAID
Score 3628 5307 5314
   
新生エオルゼア キャラクターベンチマーク編(最高品質、1280×720)
HDD SSD SSD RAID
Score 9811 9790 9809

さて、このようにSSD RAIDはデータの読み書きにおいて圧倒的に高速になるのは確かだ。だが、これ以外にもRAID 0の場合、もうひとつメリットがある。それはデータ書き込みが2基のSSDに分散されること。一般的にSSDは、書き込み回数が多いと寿命が短くなるといわれている。もちろん、一般的に使用する分には寿命を意識しなくてもよいのだが、ユーザーの中には気になる方もいるだろう。そうした不安を解消する意味でもRAID 0は有効だろう。

今回は、RAIDの中でもっともポピュラーなRAID 0を試したが、予算が許すならストレージ3基以上で組むRAID 5、4基以上で組むRAID 10などを視野に入れてみてはいかがだろう。どちらも高速性と冗長性を向上させるRAID機能だ。

“SSD RAID”で快適なPC環境を構築する【設定編】

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