アデコ株式会社シニアコンサルタントの木口衛氏(左)と、同社コンサルタントの山口孝之氏(右)は、双方ともIT業界を専門分野としている

IT業界は慢性的な人手不足でありながら、一方で企業は人材の“量”ではなく“質”、つまりスキルの高い人材を求める傾向が強くなってきているといわれている。では、実際のところ、今、IT業界の求人状況はどうなっていて、どんな人材が求められているのだろうか。また、将来的にこの業界で生き続けていくためにはどんなキャリアを目指し、どのようにしてそのキャリアを形成していけばよいのだろうか。

国内外問わず正社員・新卒・派遣などのさまざまなワークスタイル、さらに業界・職種別での紹介を国内160の拠点から幅広くフォローし、IT、エンジニアリングといった高度に専門化された分野にも強いアデコ株式会社の転職コンサルタントに伺ってみた。

お話をしていただいたのはIT業界・インターネット業界の転職に精通し、年間400人以上の転職者をサポートする木口衛氏と山口孝之氏だ。

プロフィール(左)
名前:木口 衛(きぐち・まもる)
専門分野:IT業界、インターネット業界、電気電子、機械系メーカー全般 出身:大阪府 コンサルタント歴:11年 経歴:飲料メーカーに就職し、経理など管理業務を経験。その後某大手生命保険会社に入社し、法人・個人への営業職として活躍。2001年、エンジニアに特化したスカウト型の人材紹介会社に転職し、キャリアコンサルタントとしてのキャリアをスタート。アデコでも前職時代から企業との深いパイプ作を生かし、IT、エンジニアリング分野を中心に担当している。

プロフィール(右)
名前:山口 孝之(やまぐち・たかゆき)
専門分野:IT業界、インターネット業界、IT・エンジニア業界、メディカル業界、管理系専門職 出身:千葉県 コンサルタント歴:10年 経歴:大学を卒業後、建設会社に就職し、人事、経理など管理業務を経験。2001年、スカウト型の人材紹介会社に転職しキャリアアドバイザーに従事する。その後、アデコに転職し現在に至る。前職でも現職でも一貫してIT業界、インターネット業界を担当している。

■IT業界、特にインターネット業界の市場が活発

――まず、いまIT業界の転職状況はどうなっているのでしょうか。

山口氏「他業界に比べて活発な状況で、特にここ数年はITの中でもインターネット業界が市場を牽引していますね。2008年の金融危機で一時期転職市場全体が落ち込みましたが、他業界に比べてインターネット業界はその落ち込みが少なかったんです。それに、景気が上向いてきても一番伸びていますね」

木口氏「でも、最近は情報システム業界も盛り返してきましたよね。景気が落ち込んでからしばらくは人の動きがありませんでしたが、昨年の後半くらいから徐々に求人も求職者も増えてきました。景気が上向きになり、企業が情報システムに投資し始めたからでしょう。

あと、最近はコンサル系の大量募集が目立ちますよね。それから、一時期に比べると若干減ってはきましたが、第二新卒採用も活発で、若い人が大手に就職できるチャンスも増えていると思います」

■転職で大切なことは“どうなりたいのか”を自覚すること

――スムーズに転職できる人とそうでない人の違いはどこにあるのでしょうか。

木口氏「自分がどうなりたいかという希望が明確になっている方はスムーズに転職できますよね。しかし、実際のところ勤務している会社への不満がきっかけになっているものの、どうなりたいかというところまで考えて転職の相談にいらっしゃる方は少ないですね。

ただ、不満に思っていることと、“こうなりたい”という希望はリンクしていますから、希望が明確になっていない場合は、不満の中から希望を導き出すようにしています」

“相談相手”として転職者に寄り添うのが、木口氏のスタイルだという

山口氏「そうですよね。私も、まずは “こうなりたい”という希望を引きすことから始めます。それが出てこないとなかなか前に進めないんですよ。逆に希望が明確になってくるとあとはスムーズですけどね。

あと、頑固な方は難しいですよね。希望にそぐわない話をすると、なかなか聞いてくださらなかったり、怒ってしまわれたり……。これが一番困りますね」

IT業界で目指すべき価値ある人材とは……?