あなたは、「撮り鉄」という言葉をご存じだろうか。撮り鉄とは、趣味として鉄道写真を撮る人たちのこと。鉄道写真は男性の趣味、というイメージをお持ちの方も多いと思うが、最近はデジカメの普及によって裾野が広がり、女性の撮り鉄も増えてきているという。

この撮り鉄たちの注目を集めているのが、コンテンツ配信サイト「Fan+(ファンプラス)」の「鉄動館」で開催されている「鉄動館 撮り鉄グランプリ 2013」。グランプリには、なんと100万円の賞金が用意されているという。今回、「鉄動館 撮り鉄グランプリ2013」審査委員である株式会社ネコ・パブリッシング鉄道・模型事業本部の名取紀之編集局長に、審査のポイントについて話を伺った。

ポイントは「被写体に対する愛情」を表現すること

―昨年度のコンテストの反響について教えてください。

株式会社ネコ・パブリッシング鉄道・模型事業本部 名取紀之編集局長

非常に反響が大きかったですね。老若男女問わず、幅広い年代の方からの応募がありました。これは、デジカメの性能がアップし、これまではプロでも難しかった技術が簡単に撮れるようになったということも理由としてあるでしょう。だからこそ、技術力だけでなくほかにも求められることが増えてきています。

反響が大きかった理由には、賞金額の大きさというのもありますが、それよりも質の高い写真が集まり始めると、これがまた呼び水になり、「自分も負けていられない」と、それ以上のレベルの写真が来るという相乗効果が起こったようです。前回の「鉄動館 撮り鉄グランプリ」はもちろん、われわれが協力しているほかの写真コンテストでも、ここのところ作品のレベルがかなり上がっているのは事実です。10年前だったら特選が取れた作品でも、今は普通……というぐらいにアップしていますね。

―では、初心者には入賞は難しいのでしょうか。

いえ、そうとは限りません。基本的には、被写体に対する愛情が、どれ位写真に表現されているかを見ています。例えば第1回受賞の女性の方。 この受賞作に関しては、ずっと見ていても飽きない空気感を持っています。東北のこの季節ならではの独特の空気感も良いですし、仙台出身の「C61形20番」という機関車が震災後に復活をした。そんな、東北への「がんばろう!」というメッセージも映しだされていると思いますね。

反対にインパクトのみで勝負している写真や、技術のみに走っている作品というのは、その場では引き込まれるんですけども、面白みがなく、見ているうちに飽きてしまう感があるのは事実です。 他にもこの作品は、非常に技巧的な特長も持ち合わせていますが、それだけではない。愛情や熱意がそれ以上に入っています。根底には本当に鉄道が好きで、自分の写真を撮りたい、自分の写真として手元に残したい、という思いを感じますね。 撮影者の濱田さんには、授賞式で初めてお会いしましたが、新幹線に対して非常に愛情を持って撮られている方でした。特に流し撮り、印象的な薄暮の流し撮りにかけてずっとこだわっておられた方なんですよ。審査員としても、選考を間違えていなかったと、うれしかったですね。

―自分ならではの「思い」を入れ込むのですね。

そうですね。それも無理やりてんこ盛りに盛ろうというのではなくて、「好きな鉄道をちゃんと愛情を持って写してやる」という姿勢がぶれないことが大切です。面白いことに、その姿勢って写真にちゃんとあらわれるんですよ。

―2013年度版のテーマやポイントを教えてください。

第1回から5回までテーマは決まっています。例えば蒸気機関車であり、ディーゼルカーの「キハ40系」、それから寝台特急で残っている「あけぼの」などもテーマにしています。

トピックスとして、今回より中井精也さんという今新進気鋭で一番売れっ子のプロカメラマンに審査委員長をお願いしました。「ゆる鉄」という写真で時代の先端を走っておられる方ですので、非常に独自の感覚のセレクトをされると思います。

―読者の皆さんへメッセージをお願いします。

これは、サイトには掲載していませんが、電車の外観だけでなく、車内の風景でもかまわないのです。デジカメについても機種は問いません。条件が整えば、高性能なカメラ機能が付いたケータイでの撮影もかまいません。

応募していただいた作品が、もしかしたらグランプリを取るかもしれません。また、そうじゃなくても、新たな趣味としてフィールドが広がるかもしれません。今まで鉄道写真を撮ったことがない方も、ぜひ臆せずに撮っていただきトライしてください。撮影の際には、くれぐれも安全には気を付けてくださいね。皆さんのご投稿、お待ちしています。

撮り鉄グランプリ2013の各テーマ

第1回 応募期間2012年9月1日~9月30日
C57 1/C57 180で、JR西日本とJR東日本で活躍する蒸気機関車
第2回 応募期間2012年10月1日~10月31日
EF66形電気機関車で、JR化後に新製された100番代も対象
第3回 応募期間2012年11月1日~11月30日
日本の非電化路線で活躍するキハ40系
第4回 応募期間2012年12月1日~12月31日
交直流電機のEF510。JR貨物の0番代、JR東日本の500番代の両番代が対象
第5回 応募期間2013年1月1日~1月31日
寝台特急〈あけぼの〉。国鉄時代から残る唯一の定期寝台特急

※未発表の作品に限る。各回とも撮影時期は不問。詳細は 撮り鉄グランプリ2013サイトをご覧ください。

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