【特別企画】

(前編)肥満だけじゃない! 睡眠時無呼吸症候群患者に共通の"ある特徴"とは

 

ときには死に至る合併症を引き起こすおそれもある怖い病気として、メディアで紹介されることも多い「睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)」。この疾患は、”いびき”が主な症状として挙げられることから、肥満の中年男性のものという印象を持つ人が多いかもしれない。

しかし、SAS研究と治療のエキスパートである、筑波大学 睡眠医学講座教授・筑波大学附属病院 睡眠障害診療グループ長の佐藤誠氏は、SASは必ずしも体型や性別に限定されるものではないと語る。「SASになる人には”ある共通の特徴”がある」。その共通の特徴とはどのようなものなのか。 自覚症状が乏しく、本人には気付きにくいSASを見過ごさないためのヒントを紹介していこう。

4人に1人!?SASは他人事ではない

「治療が必要なレベルの重症者に限定しても、国内のSAS患者は推定約300万人とされています。軽症の患者も含めると、その数はグッと引き上がります。成人の女性で10人に1人、男性なら4人に1人が“いびき”をかいて息が止まっていると言われています」

取材の冒頭、佐藤氏はこのように語り、SASが非常に身近な病気であることを強調した。

過去に筑波大学で行われた研究によると、男性トラック運転手5,247人に対して睡眠中の検査を実施したところ、記録1時間あたりの無呼吸と低呼吸の数の和(以下、RDI)が5以上の人が全体の約54%にも上ったという。さらに、「SAS中等度/重症」に該当するRDIが20以上の人も約10%を占めた【図1】。

SASにかかると、本人がよく眠ったつもりでも、脳と身体が休まらない状況が続く。その結果、日中でも極度の眠気に襲われるようになる。もしも、走行中に耐え難い眠気に襲われてしまったら……。これは運転手に限られた危険ではない。日常の仕事や休日の行楽も含めて、車を運転する機会のある人なら、放っておけない病気である。

では、どのような人にSASを患うリスクがあるのだろうか。

一般に、肥満の中年男性がかかるというイメージが強いSASだが、肥満度の目安となる『BMI(Body Mass Index)指数』でSAS患者を分類すると、BMI指数25未満の『普通』もしくは『痩せ型』の人が43%を占めるという【図2】。肥満の人が患う確率が高いのは事実だが、肥満でなくてもSASになる可能性は十分にある。

肥満ではないSAS患者に共通する大きな特徴の1つとして佐藤氏が挙げたのが「顔の形」である。面長、小顎の人が多いという【図3】。

「顔が面長の人や顎の小さい人は、多くの場合、上気道が細い。このため、少し脂肪がついただけでも、すぐに上気道がふさがってしまう傾向にあります。こうした特徴を持つ人はとりわけ注意が必要と言えるでしょう」。

いびきは、熟睡の証しではなく、身体の悲鳴

数年前、新幹線の運転士が居眠りするという事件が大々的に報道された。当時、居眠りを誘発した病気として喧伝されたのがSASである。その影響もあってか、SASには昼間の眠気や倦怠感といった症状と深く結びついている印象が強い。

たしかに眠気や倦怠感は、SASの主な症状ではある。しかし、前述のトラック運転手の調査では、治療が必要と診断された中等度/重症SAS患者507人の中で眠気を感じていたのは、わずか45人で、10人中9人は眠気を感じていなかったという。

「感覚には個人差もあるでしょうから、眠気や倦怠感の有無だけでSASを判断するのは危険です。注目すべき症状は、やはり"いびき"でしょう」(佐藤氏)

SASは大きく、呼吸中枢の異常によっておこる「中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)」と、上気道の閉塞が原因となる「閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)」の2つに分類されるが、SAS患者の約9割を占めるのが後者のOSAである。OSAは、寝ている間に舌根や口蓋(こうがい)が垂れ下がることが主な原因で、これにより上気道がふさがれてしまい、無呼吸状態に陥ってしまう。

上気道がふさがれる前に現れる現象が、”いびき”である。無呼吸は上気道が完全にふさがった状態だが、わずかな隙間が空いていると呼吸をした時の空気抵抗が大きくなって“いびき”が生じる。佐藤氏は「”いびき”をかくのは、上気道が狭くなって無呼吸が起こる前触れ。熟睡の証しではなく、身体の悲鳴だと考えてほしい」と警鐘を鳴らす。

ここまで見てきた通り、SASになるリスクは多くの人々にとって決して無縁なものではない。佐藤氏は「SASはデスクワークが増えて太り始めた頃から発症者が急激に増えます。誰にでもかかる可能性のある病気と認識し、一度検査を受けてほしいですね。少なくとも”いびき”を指摘された経験のある人には、検査を勧めたい」と語った。

皆さんは眠っている間に”いびき”をかいていないだろうか? 一度、家族に聞いてみてほしい。もし、いびきをかいているなら、SASという病気の可能性を疑ってみることも大切だ。

■睡眠時無呼吸(SAS)検査促進プロジェクト「グリーンピロー」

佐藤 誠 氏
筑波大学 医学医療系 睡眠医学講座教授
筑波大学附属病院 睡眠障害診療グループ長

1955年生まれ
1982年新潟大学医学部医学科卒業
1992年医学博士
筑波大学 医学医療系 睡眠医学講座教授(現職)
筑波大学附属病院 睡眠障害診療グループ長(現職)

【主な著書】
『睡眠呼吸障害(SDB)を見逃さないために』(診断と治療社)ほか

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