このプロジェクターが“Cloud”という愛称を持っているのにはわけがある。WiFi接続機能が標準で用意されているのだ。それもInternetからデータをダウンロードしたり、簡易ブラウザでサイトを表示させたりといったことがこの小さな本体で完結する。下の図にあるようにオンラインストレージサービス「ServersMan@Disk」にダイレクトに接続できる機能も標準で装備。操作も投影画像を見ながらカーソルを移動させ、クリックするという、ユーザーがPCで慣れた操作体系を踏襲している。

パソコンライクなコントロールで高い操作性

背面の電源ボタンを押すと、投写した画面にトップメニューが現れる。インタフェースはグラフィカルなアイコン表示になっておりわかりやすい。投影画像上のマウスカーソルは、本体の上部に組み込まれているタッチパネルを使って操作できる。もちろん、付属のトラベルマウスやワイヤレスキーボードのタッチパネルを使うことも可能だ。実はこの製品はOSにWindows Embedded CE 6.0を採用。LinuxベースのOSでは、十字キーでのメニュー操作が主流だが、よりパソコンらしいコントロールが可能になっている。

ロゴ周辺がタッチパネルになっており、マウスを接続しなくてもカーソル操作が可能

ソフトウェアキーボードにより、キーボードを接続しなくても文字入力ができる

プロジェクターのトップメニュー画面。上段左から「外部入力」「デスクトップ」「ServerMan@Disk」、下段左から「Wi-Fiの設定」「環境設定」と並ぶ

外部入力を選択すると接続したパソコンやAV機器の映像を投写できる。PCの解像度は「XGA(1024×768)」「SVGA(800×600)」の2モードを用意。AV機器からの入力は「NTSC」「PAL」を用意。日本のAV機器はほぼNTSCでOKだ

トップメニューのデスクトップアイコンをクリックすると、OSのデスクトップ画面が現れる。USBメモリやマイクロSDカード内を表示する際は、デスクトップ上の「マイデバイス」アイコンを開いて探す

ServerMan@Diskアイコンをクリックすると、オンラインストレージにアクセスできる。PCからクラウド上にアップロードしたファイルを、プロジェクターにダウンロードして投影できる。営業先に持って行くファイルをうっかり忘れてしまっても、オフィスからクラウドにアップロードしておけば、会社にわざわざ戻る必要はない

Windows OSが採用されているので、個別にプログラムをインストールすることが可能だ。内蔵メモリは2GB、システム領域は約200MBで、残りの約1.8GBでファイルを保管したりプログラムを追加したりできる。また、同製品にはマイクロソフトオフィスとの互換性がある「SoftMaker Office」のプロダクトキーが付与されている。製品を購入したら、真っ先にこのオフィスソフトをインターネット経由でライセンス登録しておこう。なお、ネット接続には無線LAN環境が必要だ。

PCの遠隔コントロールもOK

VNCのクライアントソフト。IPアドレスをお気に入りとして登録できる。PC側でリモート接続時にパスワード認証を設定しておけば、セキュリティ対策も可能

VNCを使ったクライアントソフトがプリインストールされているのもポイント。パソコンにVNCサーバーソフトをインストールすれば、同一の無線LAN内において対象パソコンを遠隔操作できる。モバイルルーターを所持しているユーザーなら、外出先でもケーブルレスでパソコンを操れる。


盛りだくさんなインタフェース

背面には各種インタフェースを装備。映像出力を持つ機器の大半をカバーできる。またUSBメモリやマイクロSDカードに対応しているのも便利

コンパクトながらインタフェースも豊富だ。本体背面には電源入力端子、VGA入力端子(付属変換ケーブルを使用)、イヤフォン出力端子、映像・音声入力端子、マイクロSDカード対応のカードスロット、USB mini B接続端子、USBポート×2が搭載されている。パソコン内のファイルを投写する場合はVGA入力端子、ビデオカメラなどの場合は映像・音声入力端子に接続すればよい。もちろんUSBメモリやマイクロSDカード内のファイルを表示したい場合は、USBポートやカードスロットにそれぞれを挿せばOKだ。また2GBのメモリを内蔵しており、ここに投写するファイルを保管しておける。さらには無線LANも内蔵しており、後述するオンラインストレージに保管したファイルをダウンロードして投写することも可能。PCやスマートフォン内のファイルをオンラインストレージや本体メモリにコピーしておけば、プロジェクター単体での投写もできる。