ブルーライトが目に悪い影響を与えるのは強いエネルギーを持っているからだけではなく、その他の理由も指摘されている。眼科専門医・医学博士で、南青山アイクリニック東京の副院長でもある井手武先生に話を聞いた。

集中しているほど気づかない

眼科専門医・医学博士、南青山アイクリニック東京・副院長の井手武先生。ブルーライトをカットするアイウエアについては、実際に先生もオフィスで活用中。サングラスと違って真っ暗にならないので、夜間の車の運転にも使っているとのことだ。

「宇宙から地球を見ると、全体がぼんやりと青く光っていますね。これは波長の短いブルーライトがいろいろな方向に散らばり、大気中で散乱しているからです。そして光が散乱しやすい、ということは像がぼやけるということでもあります。人間の眼はカメラのオートフォーカスのように、絶えずピントを合わせようと働いています。しかしぼやけた像に対してはなかなかピントが合いません。その結果、ブルーライトの多い液晶ディスプレイを見続けていると、眼の筋肉はピントを合わせるためにずっと動き続けなければなりません。これが眼に負担をかける理由の1つだと考えられています」

PCなどから発せられるブルーライトの眼疾患への影響は、まだ眼科の世界でもきちんと検証されていない。しかし、このような光の性質を持つブルーライトが発する液晶ディスプレイを見ることで眼のピントを合わせる筋力に負担がかかり、その機能が落ち、作業効率が落ちることもあるのではないか。「近くのものを見るときほど、眼の筋肉には負担がかかります。人は楽しくない作業をしているとすぐに疲労に気がつきますが、集中できる仕事やゲーム、インターネットを楽しんでいるときには疲労していることをなかなか自覚できません。結果的に眼に負担をかけ過ぎてしまうことが多いのです」

ブルーライトと呼ばれるのは、紫外線に近い波長の短い部分の可視光線で、角膜や水晶体に吸収されずに網膜まで達してしまう。また、ブルーライトを長時間見続けることで、「VDT症候群(ビジュアルディスプレイターミナル)」や、網膜変性症といった病気を引き起こす原因になるともいわれている。

私たちの眼の中にある水晶体は、カメラでいうところの「ピント調節」の機能を持っている。ピントの調節には周囲の筋肉が使われ、これが頻繁に繰り返されたり、近くのものを長い時間見続けたり、ぼやけた像にピントを合わせようとすることが眼の疲労につながるのだ。

アイウエアで積極的な対策を

井手先生によると、眼に余計な負担がかからないように工夫することで仕事がしやすくなり、結果として仕事の効率がアップするという好循環が生まれるという。「特に長い時間使っている場合や、iPhoneなど眼との距離が近い機器を使っている場合は、より積極的に眼を守る方法を考えたほうがよいでしょう」では、どのような対策をすればいいのだろうか? 井手先生に教えてもらった対策を下にまとめてみたので試してみてほしい。

「携帯電話もパソコンもなかった時代とは違い、眼を取り巻く環境やブルーライトの影響については、一般の方はもとより眼科医の間でもまだ理解があるとはいえない状況です。子どもの頃から眼を守る正しい方法について教育し、また会社組織として社員の眼の健康に気を使うことができるような環境作りが必要になってくるでしょう」ブルーライトだけでなく、紫外線対策にもアイウエアの着用が有効だ。アメリカの高校生にはUVカットのサングラスをかけるのが眼を守るための常識としてすでに定着している。しかし、日本ではサングラス=おしゃれグッズという認識が根強い。「ブルーライトをカットするためのメガネや高機能サングラス、手元を見るために度を合わせたメガネなど、眼の疲れを軽減するためのアイウエアは次々と開発されています。場面に応じて使い分けるようになるのが、ごく普通のことになるといいですね」