液晶を見続ける現代人

仕事や趣味でのパソコンはもちろん、移動時間中のiPhoneやiPad、携帯ゲーム機、そしてリラックスタイムのテレビ鑑賞など、我々現代人は生活の中で液晶ディスプレイを眺めている時間が非常に多くなってきている。しかし、その一方で、液晶ディスプレイを長時間見続ける生活が人にどのような影響を与えるかははっきりと解明されていない。

現在、液晶ディスプレイは光源に蛍光管を採用したものから、LEDを採用したもの(LED液晶ディスプレイ)にシフトしつつある。そして、最近になってLED液晶ディスプレイが発する光の中の青い部分「ブルーライト」が眼に悪い影響を与えている、ということが指摘され始めている。紫外線が眼に有害なのはもはや常識だが、この紫外線の次に波長が短く(380nm~495nm)、可視光線の中でもっとも高エネルギーなのがブルーライトなのだ。特に最近さまざまな機器に利用されるLED液晶ディスプレイは光の直進性が強く、青色の成分が多いため、長時間眺め続けることで眼(網膜)への負担がより大きくなるといわれる。それが眼のかすみや疲れ、ドライアイ、そして頭痛や肩こりなどの眼精疲労の原因と考えられているのだ。

また、ブルーライトは「サーカディアンリズム(昼夜の体内リズム)」に影響するとされ、夜間に青色光を見続けることは体内リズムを狂わす原因ともいわれる。

アップルに多いブルーライト

もちろん、ブルーライト=有害というわけではない。ブルーライト自体は自然光にも含まれ、色を表現するために欠かせない要素でもある。問題なのは、その「量」だ。LED液晶ディスプレイが普及する以前に使われていた古いブラウン管テレビやディスプレイからも、蛍光灯や白熱灯といった環境光からも一定量のブルーライトは発せられている。しかし、LED液晶ディスプレイはその構造上、ブルーライト成分がブラウン管に比べて非常に多く含まれている。

ディスプレイの輝度を最大にして、分光器によってブルーライトの量がもっとも多いときの値を測定(絶対値)。380nm ~ 495nmの部分がブルーライトで、光の量が強いほどグラフの数値が高くなる。

実際に普段使っているMacやiPhone、iPadなどから発せられるブルーライトの量を「分光器」と呼ばれる機器を使って測定してみると、もっとも大量のブルーライトを発していたのはiPhone4Sで、続いてiPad2、ウィンドウズのデスクトップ機、iMac、MacBookエア、アンドロイド搭載のスマートフォンという結果だった。一方、一昔前のブラウン管ディスプレイは非常に低い数値だった。搭載される液晶パネルや液晶パネルの駆動方式によって発せられるブルーライトの量は異なるので一概にはいえないものの、比較的新しいモバイルデバイス、中でもアップル製品は多くのブルーライトを発していることがわかる。