メーカー製パソコン本体を購入する人にはもちろん、PC自作をする人にもおなじみのPCショップ「ツクモ」。それらの製品の個別販売の他に、同社では自社ブランドでのPC販売も行っている。その中の1つが、今回紹介する静音性と冷却性能にこだわった「エアロストリーム」シリーズだ。

試用機の主な仕様 [CPU] Intel Core i5-2400 [チップセット] Intel H67 Express [メモリ] 4GB [HDD] 1TB [グラフィックス] Intel HD グラフィックス(CPU内蔵) [OS] Windows7 Professional 64bit

シンプルかつ機能的なケース

ツクモのオリジナルPCブランド「eX.computer」には、OpenGL系アプリに特化したモデル、動画編集に特化したモデルなど機能によったものと、低コストであることが魅力の「Sencia」、各種ゲームタイトル向けに推奨モデルを用意している「G-GEAR」シリーズなどもある。その中で静音性と冷却性能にこだわったメインストリーム向け主力シリーズが「Aero」シリーズ。そして今回取り上げるのが、最新ミニタワーモデルの「エアロストリーム RM5J-B31/S (BTOカスタマイズモデル)」だ。

まずは外観だが、黒を基調にシルバーをあしらった、ごく一般的なミドルタワーケースの形状をとっている。最近では大手メーカーがこうしたタワー型ケースのマシンを扱うことは少なくなっているが、昔からのユーザーにはおなじみのスタイルだと言えるだろう。電源ボタン付近には通電をしめすLEDランプがあるが、この青色も少々抑えめの光り方。部屋の中で浮かない、シンプルですわりの良いデザインだ。

フロントパネル中央にはUSB 2.0ポート×2とオーディオポート、電源スイッチが集められている

エアフローにこだわった内部構造

静音や冷却にこだわったケースというのは、自作PC向けでは数多く存在する。ただ、そうしたケースは、一般的にサイドや天面を利用していくつもの開口部をとったり、非常にがっちりとした組み合わせになっていたり、内部に静音用の防音シートが貼り付けられたりと、ゴテゴテしているものだ。しかし「エアロストリーム」のケースにそういったゴテゴテ感はない。

冷却のための仕掛けは、前後に設けられた大口径のファンと、こだわった内部基本設計にある。フロントのファンはフロントパネルの下半分を開いたところに設置されており、ここから吸い込まれた空気が背面のファンに向けて抜け、内部パーツを冷やす。

ドライブベイはフロントファンの吸気を妨げない位置にまとめられている。ケース上部に設けられているのは5インチベイ2つと3.5インチベイ2つで、標準構成では1つずつ開いている。3.5インチベイはもう1つ、底面にも設けられている。エアフローを上下に避けた配置だ。内部ケーブルは空気の流れを避けるようにがっちりとまとめられている。

また、熱がこもらないように使われていない拡張スロットのインタフェース部をふさぐブラケットにもエアホールが開けられている。熱による内部パーツの劣化を防ぐことに、とても気をつかっている構造だ。

すっきりとまとめられた内部構造。ケース底面にも3.5インチベイが設けられている

ドライブベイは1つずつ空きがある

ケーブルがしっかりまとめられ、空気の流れを妨げない

背面のブラケットも空気が抜ける構造になっている

防塵フィルタもついて静音性もしっかり

静音性についても見てみよう。まず、フロントファンがパネルに隠されているのが1つの工夫だ。ファンの音が直接外に出ないようになっているため、本体前に座った状態で電源を入れても音が気になるということはない。フロントパネルを閉じた状態でどうやって吸気をしているのかといえば、両サイドのスリットと本体底部側の口からだ。十分な吸気のためには、本体を床置きにするより、フロントパネル分だけはみ出させるような机の下棚などに置けると良さそうだ。

吸い込まれた空気は、ケース内部に取り込む前に防塵フィルタを通る仕組みになっている。フロントパネル下部を開いたところにフィルタが設置されており、ホコリを内部に吸い込まないようにしてあるのだ。フィルタカバーには結束バンドが持ち手として取り付けられており、指をかけて簡単に取り外すことができる。引き抜くようにカバーをはずすと、シート状のフィルタが分離されるため、汚れたら洗ってメンテナンスすることも可能だ。

前後のファンをよく見ると、羽の部分がでこぼこしている。これは空気抵抗を減らして風きり音を少なくするための工夫だ。ファンの回転数は温度や負荷に応じて自動的に制御されており、ムダに高速回転するということもない。羽の工夫と回し方の工夫で耳障りな音を軽減しているのだ。

フロントカバーをはずすと防塵フィルターが露出する

空気はフロントのサイド部分とパネル下部分から取り入れる

防塵フィルタは取り外して掃除するのも簡単だ

風きり音を低減するディンプルファンを採用