UMPCやネットPCはPC市場を底辺から拡大させる存在


──UMPCの販売をさらに広めていく予定はありますでしょうか

UMPC自体に、いくつかの方向性があるかなと考えています。例えば、SSDを採用し、より高速性や消費電力を追求していくのもひとつの形ですね。極端な話をすると、HDDをなくしシンクライアントのような形で使うという方向性もあるかと思います。また特殊な用途に向けてOSを変えたい、といった需要も出始めています。そういった需要に対応できる製品展開、BTO、それからカスタムメニューの充実といった方向性を打ち出し、モバイル・低価格といったコンセプトを基に、新しい法人需要なども開拓できればと考えています。さらに、UMPCの次のステップとして、11~12インチなどのさらに大きなディスプレイを備えたものの製品化も検討しています。

小松氏自身もPCに対して深い造詣を有しており、Windows Home Serverなども自ら真っ先に導入している

──11~12インチのUMPCとモバイルノートPCの差別化は?

今後のノートPC市場をどういう風に見ていくかという話にもなるかと思うのですが、私どもでは大きくわけると4つの市場があるかなと考えています。現在は、14~15インチで15万円前後のスタンダードなノートPC市場、ゲーム向けなどで利用される15万円を超えるハイパフォーマンスなCPU・VGAを搭載した15~17インチのハイエンド市場、そして日本のメーカーさんが強い分野である15万円以上のビジネス向けモバイルPC市場、そして10万円を切るコンシューマ向けの12~13インチのモバイル市場、以上の4つです。

14インチ以上の市場については、12インチのUMPCが登場することにより、よりPCらしさが出てくるのではないかと思います。より高速なCPU、そして大容量のHDDやメモリーを搭載し、拡張性を高めたモデルが登場し、よりハイエンドに移行するでしょう。ビジネス向けモバイルPC市場はもともと高いパフォーマンスとモバイル性を両立させたモデルが多いため、それほど大きな影響はないと思いますが、コンシューマ向けモバイルPC市場にはやはり若干の影響力があるのではないでしょうか。

しかし、UMPCはやはり通常のノートPCと比べるとCPUやメモリといったスペック部分に大きな差がありますので、より「PCでなにをするか」によって購入の選択を考えていかなければならない場面が増えるでしょう。UMPCはたしかにインターネットを利用したり、ファイルを閲覧したりといったビュアー的な用途においては全く問題のないスペックを誇っています。しかし、凝ったプレゼンテーションを行ったり、動画などのリッチコンテンツを備えたWebページを再生したりといった用途では、残念なことに使い勝手では一歩劣るところがあります。そういった「PCとしての用途」を重視される方は従来のノートPCを、「どこでも使えるビュアー用途」を求める方はUMPCを選択していただければと思います。

9月現在のマウスコンピューターのノートPCラインナップ。UMPCからハイエンドまで幅広く扱っている

──今後のノートPC市場はどのように推移すると考えていますか?

ノートPC市場自体は、ゆるやかにデスクトップからノートへの以降が順調に伸びていくと思います。弊社でも扱っているデスクトップPC、ノートPCといったスタンダードなPC市場に加え、今年UMPCやネットPCなどが新たにPC市場に登場しました。これにより、PC市場の底辺の拡大が急速に進むと考えています。ですので、UMPCが登場したからといって現在のノートPC市場に極端な影響が出るとはと思っていません。UMPCの分がそのまま数字として上乗せとなってくるのではないかと予想しています。


「スピード」をモットーに新しいテクノロジーをいち早く届けていきたい


──ビジネスにおけるモットーのようなものがあったら教えてください

そうですね、今ですと「スピード」でしょうか。コンピューター業界は非常に動きの速い業界ですので、スピードが一番重要じゃないかなと思います。すべてのことを待ちではなく、自らが迅速に動いていくこと、そして意思決定を含めて早く物事を動かしていく、ビジネスのスピード感が重要だと考えています。今回の「LuvbookU100」 の販売についても社内で色々とディスカッションしました。「初回の台数を十分に確保するのが難しいので、もう少し待ってから入れようか?」といった意見もやはりあったのですが、こういった製品をマウスコンピューターも出せるんだ、出していくんだという意志表明と、そして世の中の流れにしっかりと対応していくという意味で、販売を決めました。今後も、新しいテクノロジーをいち早くお客様に届けていきたいと考えています。

──マウスコンピューターの今後の展開について教えてください

今一番の課題は、急激に需要が伸びているBTO市場、UMPC市場に向けて、全体的な供給量を確保していくことですね。また、モニターカンパニーとして有名な「iiyama」と合併を果たしましたので、今後モニター+PCという形でさらに事業を拡大していけると考えています。「iiyama」ブランドと「マウスコンピューター」ブランドのセット商品ももっと積極的に展開していく予定です。

──ユーザーへ向けてメッセージがありましたらお願いします

CPUをはじめとした優れたテクノロジーを備えた最新のパーツをいち早くお客様に提供するという弊社の方向性を今後も維持していきたいと思います。すべての製品においてBTOを実現し、お客様自身が選んだ、お客様に必要な機能を今後も確実にお届けいたします。そして、買っていただいた後も安心して使用していただけるよう、今後もサポートの充実に力を入れて行きたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

──本日はありがとうございました。


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