LOOX Rシリーズ
(写真はFMV-BIBLO LOOX R70YN ピンクゴールドモデル)

ビジネスモバイルPCを求めるユーザーは多い。それだけに各社が魅力的な製品を投入している分野だが、実際に選ぼうとすると意外に自分に合ったモバイルPCを見付けるのは難しいものだ。ビジネスが目的である以上、キーボードや液晶ディスプレイの品質に妥協したくはないし、バッテリ稼働時間も充分に確保したい。そのためにはある程度の大きさが必要なので、モバイル性能を犠牲にしがちだ。要するにビジネスモバイルPCには究極のバランスが求められるわけで、それだけに製品選びが難しい分野といえる。

富士通LOOX Rは、そのバランスが取れた、ビジネスモバイルPCの第一候補に上げたい製品の一つ。LOOX Rの特徴を紹介していくことにしよう。

本体幅いっぱいの液晶ディスプレイと入力デバイス

LOOX Rは一見すると地味なノートPCだ。B5サイズのボディは取り立てて薄くはなく(27.3~37.4mm)、重量も約1.27kg(オプションの内蔵バッテリパック(L)装着時。標準の内蔵バッテリパック搭載時は約1.18kg)と、2スピンドルノートとして特別に軽さが強調できるほどの数値ではない。だが、手にとって使ってみると印象はがらりと変わる。見た目の印象よりも実感としては軽く、しかもビジネスモバイルPCとしてのツボを実に的確に抑えているノートなのである。

LOOX Rの液晶を開いてみよう。その大きさに目が奪われるはずだ。LOOX Rは12.1型ワイド、WXGA(1,280×800ドット)の液晶パネルを搭載している。このサイズのノートPCとしては大型だ。写真からも一目瞭然だろうが、液晶両サイドの枠がスリム化(約5.4mm)されているため、液晶パネルが本体幅いっぱいに見えるほど広いのである。

横1,280ドットの広さはビジネス用途で威力を発揮するだろう。XGAサイズと比較すると画面に表示される情報量がまるで違うからだ。Excelのような情報量を必要とするアプリケーションも快適に使える。もちろんワイド画面は、サイドバーを備えるWindows Vistaとの相性もいい。

WXGAの圧倒的な情報量。サイドバーを表示した状態でもWebブラウジングなら楽にこなせる

液晶枠の幅は5.4mmとスリム。そのため画面が横幅一杯に広がっている印象だ

スリムな液晶枠の見た目から脆弱な印象を受けるかもしれないが、まったくそんなことはない。液晶の端を持ち上げてもタワむようなことはなく頑丈だ。それもそのはず、LOOX Rは天板方向から約200kgfの全面加圧を加える試験にパスしているという(一点加圧でも約35kgfの加圧試験にパス)。ビジネスモバイルに要求される堅牢さを十分に備えているわけだ。
※kgf = キログラム重(力の大きさを表す単位。1kgfは重量1kgの物体を支える力の大きさ。 )

液晶と並んでユーザビリティを大きく左右する入力デバイスにも注目したい。これもあまり目立たないポイントだが、キーボードが実にいいのだ。LOOX Rのキーボードはキーピッチ約18mm、ストロークはおよそ2mmという仕様だ。ストロークはやや浅めながら、キーピッチはA4ノート機並みが確保されている。

それだけではなく、記号キーを含めて一定のキーピッチが確保されている点に注目だろう。小型モバイルノートではキーボードスペースの制限から記号キーのキーピッチを狭くしている機種が多い。記号キーはあまり使わないということだろうが、実際にキーをタイプしていると記号キーを使わなければならないケースは頻繁にある。ノートPCで記号キーを打とうとするたびにタイプミスを連発、という経験を持つ読者も多いだろうが、LOOX Rならそのようなことは起こらないわけだ。

キーピッチは余裕の約18mm。小型ノートとしては珍しく記号キーも同じピッチが確保されている

大型のフラットポイントを採用。同じ2スピンドルノートの従来製品LOOX Tと比べて約160%に拡大し、使いやすさが増している。キーボードと並んでユーザーインタフェースが極めて充実したノートPCだ

冒頭で重量に触れたが、この大きさのキーボードと液晶を備えるノートとしてはむしろ軽いといえるだろう。また、富士通直販サイトWEB MARTのカスタムメイドモデルでは光学ドライブなしを選択でき、その場合は約1.05kgにまで軽量化できる。光学ドライブはUSB経由の外付けで十分というユーザーならモバイル性能重視で軽くできるわけだ。
※ 約1.05kgは、標準内蔵バッテリパック搭載時の重量。

バッテリ運用時間は充分

もうひとつ、モバイルで重要なのがバッテリ運用時間だ。筆者が試用した機体に搭載されていたオプションの内蔵バッテリパック(L)は公称11.7時間の運用時間を誇る。仕事で一日中使い続けることを考えても、この位の運用時間があれば充分だろう。実際のところ、無線LANをオンにした状態でフル充電状態から8時間以上利用し続けたが、バッテリ残量にはまだ余裕があった。これなら、まる1日外出する時でも安心して利用できる。

しかも、LOOX RのLバッテリは本体からはみ出さない。Lサイズのバッテリだからといってかさばることはなく、気兼ねなく搭載できるのも魅力だろう。外出前にフル充電しておけば、ほぼ丸1日の運用が可能。バッテリがなくなるのではと心配したり、ACコンセントを探し回ったりする必要はほとんどないわけだ。実に心強いビジネスモバイルPCである。

約11.7時間のロングライフを誇る内蔵バッテリパック(L)。取り付けても本体からはみ出すようなことはない

プリインストールされているバッテリユーティリティに「80%充電モード」という設定があるのもポイントの一つ。バッテリの充電を80%で終える設定で、常時この設定で利用し続けた場合、運用時間は8割ほどに低下するが寿命は約1.5倍延びるという。

ビジネス用途のノートPCは外出先でバッテリ、机上ではACアダプタという利用パターンが繰り返され、そのたびに充放電が繰り替えされる。これはバッテリにとって過酷な利用形態で、寿命も短くなりがちだ。ビジネスモバイルの特性を考慮して敢えて80%充電という設定を加えているあたりにメーカーの細かい配慮が感じられる。

バッテリユーティリティ