【コラム】

住まいと安全とお金

25 資産としての住まい(4) - "長期優良住宅"とは!?

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連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。


長期優良住宅とは - 今後の日本の社会に不可欠な長持ち住宅

平成19年5月の自由民主党政務調査会報告書によると、長期優良住宅制度を設ける経緯は下記の図のような流れとなっています。住宅を長持ちさせることは、これからの時代に不可欠な事が分かると思います。

(C)佐藤章子

長期優良住宅が生涯収支を改善する理由

今までの戸建住宅の平均耐用年数は30年足らずです。これを200年間維持できる住まいを建てるとすると、確かに建設費は多少割高になります。しかし、何代にも渡って住み続けられるとしたら、全体としてのコストは著しく低くなり、これからの厳しい社会を生きている子供世代の負担を軽減できます。資源の無駄使いもなくなります。

200年間ということは、次の木が生育するに充分な時間なのです。グローバル化の時代、日本の若者だけが生涯に一度は多大な(しかも欧米と比較してコストの高い)住まいを取得しなければならないのは、著しく不利です。代々住み続けられる住まいや、適正な評価と良質な中古住宅の流通市場があれば、日本人の生涯収支は大きく改善されると思います。

  1. 多大な投資を行う住まいという資産が、中古住宅になると不当に価値が低減するのを防げる

  2. 初期投資は大きいが、一世代分の維持管理費は少なくて済む

  3. 老後に老朽化による建替えや大幅な修繕費用を費やすことなしに、生涯住み続けられる

  4. 図書や記録の保管と維持管理が義務付けられるので、老後になってもまだ長い耐用年数を残す資産が維持確保でき、適正な価格で売却が可能

  5. 次世代以降は既に住まいが確保されているので、大幅に生涯収支を改善できる。親がより小規模の住まいに転居するか、高齢者施設に入居した場合、子供が譲り受けて家賃などとして初期投資を行った親の老後の生活も確保できる

長期優良住宅のコストイメージ

(C)佐藤章子

長期優良住宅の認定基準の概要

住まいを長持ちさせるために政府は、性能の高い住まいには様々な制度を設けています。その一つに長期優良住宅の認定制度があります。長期優良住宅は住まいの性能の向上だけでなく、下記の事項を遂行するための住み手の取り組みも重要で、設計図書の保管や維持管理記録の作成保存等が求められます。長期優良住宅として売却する場合は、これらの記録も添付して譲渡することになります。

(C)佐藤章子

主な長期優良住宅の税制の特例 - 優遇措置を見ると政府の狙いが分かる

建物の耐用年数を高めて地球資源を保全するほかに、関連産業の裾野が広い住宅産業は政府にとって景気のテコ入れの格好のターゲットです。一般的な住宅に対する優遇措置に加えて、長期優良住宅は特別に様々な上乗せ優遇措置を設けています。住宅ローン控除も一般住宅よりも優遇され、また政府は住替えなどで住宅ローンを借入しないで住まいを取得する人々や資産がある階層に長期優良住宅を建ててもらい、子供世代の負担を軽減したり、金融資産を住宅に誘導し経済を活性化させたりすることを狙いとしています。

  • 住宅ローン減税とは…住宅ローン減税とは、直接所得税から差引かれる「減税」です。長期優良住宅として認定された住宅は一般住宅より控除額が拡大されています。

住宅ローン減税の概要

※認定住宅とは認定長期優良住宅および認定低酸素住宅をいいます。(C)佐藤章子

  • 長期優良住宅に関する特別控除とは(平成29年12月31日まで)…長期優良住宅にするための性能強化費用の10%相当額をその年の所得税から控除する制度です。性能評価費用が650万円を超える場合は、650万円が限度で、その場合の控除額は65万円です。

(※住宅ローン控除とは重複できません)

(※その年に減税しきらなかった場合は翌年に繰越して減税できます)

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

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インデックス

連載目次
第29回 住まいに関する節約術(4) - 女性でもできるDIYの薦め
第28回 住まいに関する節約術(3) - 一挙3得! 住まいに関する日々の節約
第27回 住まいに関する節約術(2) - その家具、本当に必要?
第26回 住まいに関する節約術(1) - 誰も教えてくれない"間取り"の経済学
第25回 資産としての住まい(4) - "長期優良住宅"とは!?
第24回 資産としての住まい(3) - 住まいの資産価値は次世代の人生設計に大きく関与
第23回 資産としての住まい(2) - 資産価値の高い住まいとは?
第22回 資産としての住まい(1) - 持ち家、賃貸、どちらが有利?
第21回 耐震リフォーム(4)--「家具の転倒」から家族を守るリフォーム
第20回 耐震リフォーム(3)--耐震診断・耐震リフォームの支援制度
第19回 耐震リフォーム(2)--耐震リフォームにはどんな種類がある?
第18回 耐震リフォーム(1)--耐震リフォームはなぜ必要なのか?
第17回 住宅ローンとの賢い付き合い方(4) - 住宅ローンアラカルト
第16回 住宅ローンとの賢い付き合い方(3) - リフォームローンにもある減税制度
第15回 住宅ローンとの賢い付き合い方(2) - ローンの組み方と返済方法
第14回 住宅ローンとの賢い付き合い方(1) - 住宅ローンの種類と仕組み
第13回 マイホームのための街選び(4) - 「2地域居住」も視野に入れてみては?
第12回 マイホームのための街選び(3)--"資産としての住まい"を考えての街選びが重要
第11回 マイホームのための街選び(2)-「街選びはふるさと選び」の心構えを!
第10回 マイホームのための街選び(1) - 街選びのポイント
第9回 「相続時精算課税制度」って何? その狙いとは?
第8回 「贈与税」と「相続税」の関係 - セットで初めて生きる"相続と贈与"の知識
第7回 相続税、知っているのと知らないのとでは大違い! 「小規模宅地等の特例」とは?
第6回 「相続税」が増税されるって、知っていますか?--政府の財源確保策!
第4回 いつ起きても不思議ではない大地震--知っていますか? 地震保険の仕組み
第3回 災害に強い住まいとは?--「地盤」を考えない住まいは、まさに"砂上の楼閣"
第2回 住まいと防災(2)--地域を知る~「釜石の奇跡」は"奇跡"ではなかった~
第1回 住まいと防災(1)-- 考えなければならない災害とは?

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