連載『今度こそ続くシンプル家計術』では、オンライン家計簿アプリ「Zaim」の綿島琴美氏が、初心者の方でも続けられるシンプルな家計管理術をお届けします。

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ムダを見つけるのは実は難しい

家計管理をする上でできるだけなくしたいことの1つが、"お金のムダ使い"。でも、これを乗り越えることはなかなかの難題です。そもそも、お財布を出したその瞬間は「これは良い買い物」と思っているはず! 何がムダで何が良い買い物かの判断は、どのようにすればよいのでしょうか?

振り返ってみると「お金をムダ使いしないようにね」と、おこづかいをもらっていた幼い頃、それを何に使ってどんなふうに楽しむのかをワクワクしたことを覚えています。でも、熟考の上で結局大半がおやつに消えてしまっていたような……。

大人になった今だと、こういった"コンビニお菓子"はムダ使い候補のひとつになりそうなもの。でも、当時としては大満足の使い方だったはずです。つまり、今の私にとって"お菓子=ムダ"ですが、そうではない毎日のときもあったということです。

他にも、"ビールは毎日のエネルギー源だ! "という人もいれば、"おいしいお水が1番のぜいたく"と考える人もいるように、人それぞれ「何が大切で何がムダか」は全く異なるものです。つまり、家計簿の中の「ムダ」の基準は「じぶん自身」。暮らしに合わせて、どんどん変わっていくべきもの、とも言えます。

「3つの視点」で支出を振り返る

とはいっても、何か客観的な判断軸が欲しいところ。そのときに便利なのが"消費・浪費・投資"という3つの視点です。これはじぶんのお金の使い方をシンプルに見直すのに、とっても便利なキーワード!

ざっくりと説明すると……

・消費=毎日気持ちよく過ごすために必要な支出
・浪費=過剰なぜいたく、不必要な支出
・投資=これからの暮らしに役立ちそうな支出

大きくこんな感じの考え方になります。

使ったお金をこの視点で整理してみると、ふだんのお金の管理とは別の見方でお金と向き合えるのでオススメ。是非活用してみてください!

例えば同じ"外食"でもシチュエーションや気持ちによって、それがもたらす意味は変わってきますよね。【居酒屋でご飯】でも、「1週間楽しみにしていた!」であれば"消費"でしょうし、「自宅に食品はあるけど、何となく飲みに来た」なら"浪費"かもしれません。こんなふうに、お金の使い方はその動機で大きく価値が変わります。

他にも、小説や雑誌なども、毎日の暮らしの楽しみであれば"消費"としてオッケーでしょうし、何となくの習慣で購入しているなら"浪費"となる場合もあります。仕事に役立つ内容であれば、もちろん"投資"と言えます。

つまり、"買ったもの"そのものではなく、「何でそれを買ったのかな?」「どんなふうに役立てたかな?」という「目的」の部分にスポットを当て改めて評価をするということです。そうすることで、ひとつひとつの支出に対して価値を理解できるようになります。お金を使うことに目的意識を持つようになることが、この視点の最大のいいところ! ムダ使い防止に効果大です。

ムダじゃないところは伸ばしてもいい

もちろんお金は、使ってこそ価値のあるもの。そして、お金を使うのはとっても楽しいことでもありますよね! だからこそ、節約や予算を縛るだけでなく、今の自分や将来の自分に思いっきり役立てる使い方を見つけていきましょう。

たとえ人から見たときに「それはムダだから浪費だね」と言われても、じぶんにとって大切な支出なら問題ありません。「思ったより高価だったな」と感じても、それが狙い通りなら自信を持って使って良し! なのです。逆に「毎日使うものだから」と、低価格の日用品を思いっきり買い込んでしまったり……後から考えると「?」となるような買い物に浪費は潜んでいることが多いのです。

お金の「ムダ」はその内容でもその値段でもありません。「自分の暮らしに価値が生まれたかどうか」、そこが大切なポイントになります。

実は、家計簿はそんな振り返りをするのにこそ、もってこいのツールになります。使ったお金を改めて整頓するのにとっても便利です。使い方の傾向やバランスを知っていくことで、自然と自分自身にぴったりな"賢いお金の使い方"を身につけることができます。

執筆者プロフィール : 綿島琴美(わたじま ことみ)

家計プランナー、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。Android, iPhone, iPad や Webから利用できる日本最大級の家計簿サービス「Zaim」にて、としてユーザーへの家計サポートを行う。レシート自動読取り機能や銀行とのデータ連携など、アプリを活用した家計の仕組みづくりを提案。初の監修本『Zaimのシンプル家計術』(ナチュラルライフ編集部編、税込み842円)が学研プラスより好評発売中。