【コラム】

行った気になる世界遺産

31 2016年の干支「申」に関係する世界遺産を考えてみた

 

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2016年は申年です。災いが"去る"=サル、という言い伝えが日本各地に古くからあるそうです。毎年年始になると、「今年の干支と関係のある世界遺産って何かな~」と考えます。

サルがお湯でくつろぐ姿に癒やされます。冬の風物詩ですね。(写真はイメージ)

これまで、と関係する世界遺産を思いつくのに四苦八苦していましたが(そこで頑張る必要があるのかどうかよく分かりませんが)、2016年はラクです。なぜなら、サルが生息している自然遺産はいくらでもあるからです! 例えば『屋久島』に生息するのはヤクザル。ニホンザルと比べて小柄なんですが、外敵のいない離島の環境では、動物が小型化する傾向にあるようです。

「屋久島」のヤクザルはニホンザルの亜種で、最も南に生息するニホンザルです

ところ変わって中国の秘境とも言われる『九寨溝』。童話世界とも称される、宝石のような大小100余りの青く澄んだ湖が連なっています。ここには、"幻の珍獣"とも言われるキンシコウが生息しているとか。金色の毛をもつサルで、中国語では"金絲猴"と書きます。ごくたまに、群れが川辺で水を飲んでいる姿などが目撃されるようです。

愛らしい顔つきのキンシコウをぜひ紹介したかったのですが、写真がありません。「九寨溝」で許してください……

う~ん、自然遺産をこうして列挙しても「当たり前」な感じが否めません。では、文化遺産からひとつ。『日光東照宮』の「三猿」は有名ですよね。ご神馬をつなぐ厩(うまや)に施された彫刻で、「見ざる・言わざる・聞かざる」を表しています。

実はここには「三猿」を含む8面の彫刻が彫られていて、人の生き方と重ね合わせた8つのストーリーとなっています。3匹の猿というモチーフ自体は古代エジプトやアンコールワットにも見られるのですが、どのように日本に伝わったのかははっきりしていません。

「日光東照宮」の「三猿」には、素直な心のまま成長せよという教えが暗示されています。2面目にあります

世界遺産から見えてくるそうした各地の文化のつながりを、また2016年もご紹介できればと思います。

世界遺産データ

『屋久島』(自然遺産)。鹿児島県。1993年登録。
『九寨溝』(自然遺産)。中国。1992年登録。
「東照宮」(『日光の社寺』)(文化遺産)。栃木県。1999年登録。

「九寨溝」の地図

筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)

「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。

世界遺産検定とは?

世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。
主催:世界遺産アカデミー
開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)
開催地:全国主要都市
受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円
解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)
申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込み
その他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて

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連載目次
第42回 コルビュジエは登録なのにライトはだめ? 一筋縄ではいかない建築物の登録
第41回 1万人都市が大噴火で一夜で消滅、その後発掘された遺跡が今では世界遺産に
第40回 オリンピックの聖火が採火される場所って? その地は今では世界遺産に
第39回 連休なのにノープラン……今からでも間に合う世界遺産めぐりの旅
第38回 ケリー米国務長官の提案でG7も訪問した「原爆ドーム」はもともと何の建物?
第37回 世界遺産に登録されている大学って? その壁画の意味が深い
第36回 桜にちなんだ"女神様"がいる世界遺産の神社をご存知?
第35回 「長崎の教会群」取り下げで揺れる中、都内のあの美術館が世界遺産に!?
第34回 ベトナム最後の王朝の街は戦争の足跡を残す街 - 目にもおいしい料理も健在
第33回 「中欧3都市周遊」で寄り道! "世界一美しい町"は石畳の坂道にご注意を
第32回 なぜ人々は1,700年もの間、心の拠り所として「歯」に祈りを捧げているのか
第31回 2016年の干支「申」に関係する世界遺産を考えてみた
第30回 世界遺産のお寺で除夜の鐘を! 藤原清衡が「中尊寺」の鐘に託した想いとは?
第29回 「20世紀最大の考古学的発見」の当事者は農民のおじさんだった
第28回 ガウディと並ぶ建築の巨匠モンタネルが残した世界遺産の病院が美しすぎる
第27回 「明治日本の産業革命遺産」は静岡にも! この遺産、日本初のパンと関係が!?
第26回 『顔のないヒトラーたち』から思う、「負の遺産」の意義
第25回 世界遺産の街・ウィーンで「美術史美術館」巡り - "世界一美しいカフェ"も
第24回 化石出土地は文化遺産か自然遺産か? 「ジャワ原人」のルーツがここに!
第23回 かつて世界の銀産出量の半分を担った銀山のあるラテンアメリカの街は今……
第22回 入国はメコン川を越えて - 世界遺産の古都は名物の托鉢で夜が明ける
第21回 ケルン駅舎そばで誰もが見上げるゴシック建築! 確かにそれは天にも届きそう
第20回 先住民が名づけたその世界遺産は、その時々で"顔"が変わる
第19回 公開できない日本の世界遺産! 中には日本の近代化を支えた赤レンガ建造物も
第18回 ジブリファンの聖地! アドリア海の宝石「ドゥブロヴニク」に残る傷跡
第17回 首都全体が巨大な飛行機に!? 南米に建築界の巨匠が壮大な"近未来"を具現化
第16回 モーツァルトを生んだ美しい歴史地区は今日も音楽に包まれていた
第15回 モロッコで最もパワフルで猥雑なマラケシュ、世界遺産の広場は夜が楽しい
第14回 世界初の世界遺産、「シンドラーのリスト」の古街には欧州一広大な広場も
第13回 「明治日本の産業革命遺産」になぜ住宅? 中には坂本龍馬の隠し部屋も??
第12回 文明の息吹を残す天空都市! そこは確かに一生に一度は行くべき世界遺産
第11回 龍がはいた真珠が何千もの奇岩に!? エメラルドグリーンの海に広がる奇景
第10回 300年構想の超絶美な贖罪聖堂、実はガウディが設計したわけではない!?
第9回 細く長い階段の先で"屋根のない美術館"を眺望! 今もルネサンスの風が吹く街
第8回 まさに生きた氷河! 光で変化する巨大な氷河は崩落時の音もスゴい
第7回 中世の空気が今も漂う、そこは絵本から抜け出したような街だった
第6回 目の前には水墨画で見た風景が! 中国の原風景のそばで名物のお茶を一杯
第5回 欧州とアジアが混在した街で歴史の変遷を知る、そして僧は祈るために回る
第4回 ジャングルの奥には「悪魔ののど笛」が待っている! 壮大過ぎる自然がそこに
第3回 街がそのまま「建築の博物館」に! 数百の歴史的建造物による絶妙な美しさ
第2回 独創過ぎるデザインで「構造設計上実現不可能」とも言われた世界遺産
第1回 その壮大さにきっと誰もが興奮!「アンコールワット」は一日の中で変化する

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