世界のIT工場である中国の深セン。スマートフォンのケースからアクセサリーまで様々な商品を扱う問屋が密集しているが、そこにあるのは「売れるもの」。つまり今世界で流行しているものや、これから流行りそうなものが売られているのだ。たとえば今年になって各国でブレイクした「ハンドスピナー」は、夏頃に深センを訪れるとバッテリー専門店などハンドスピナーと全く関係ないショップでも売られていた。ところが2017年11月に訪れてみると、もはや投げ売り状態になっていた。つまりブームはすでに過ぎ去ってしまったのである。

高級品ですら100円以下のハンドスピナー

それに代わるように急激に取り扱い店舗が増えているのがワイヤレス充電台だ。数年前から様々な製品があったが、iPhone 8とXが対応したことで種類がここにきて増えている。Android端末は、たとえばGalaxy S5が2014年からワイヤレス充電に対応していた。しかし街中のカフェへ行っても充電台を設置しているところは多くない。やはりこの手の技術はiPhoneに搭載されるようになってから大々的に普及するのだろう。

Qi方式対応のワイヤレス充電台の種類が急増

深センで販売されている充電台の形状やデザインはいろいろなものがある。平らに置くものよりスタンド型のほうがコイルの位置がずれず、確実に充電できるようだ。だがスタンド型はそもそも台とスマートフォン背面のコイルの位置が合わなければ充電できない。今後「iPhone用」として出てくるものを他の機種で使う場合は、スタンドタイプならば位置が合うかどうかを確認したほうが良いだろう。

スタンド型は位置が合うかを確認したほうがよい

こちらの製品はマウスパッド一体型。左側にQiのコイルが入っており、右側をマウスパッドとして利用できる。でもよく見るとどこかの企業名のようなものがエンボス加工で入っているのがみえる。恐らく過去にノベルティーとして配られたもののようで、ちょっと古い製品だろうか。もしかしたら出力が弱く充電に時間がかかるかもしれない。

マウスパッド一体型は便利。ただしこの製品はやや古そう

深センの問屋には無名メーカーの製品も多く、それらの中には性能が記載されていないものもあるので買うときは注意が必要だ。またできれば造りがしっかりしたものを選んだ方がよいだろう。値段と性能は比例するので、安物よりも高いものの方がしっかりしている。もちろんいくつかの店で価格を聞いて相場を確認するのは言うまでもない。

2つの端末を同時充電可能な製品。背面には各5Wと出力がきちんと記載されている

ところで最近の深センの問屋は小ぎれいな店が増えている。バルク品を売る店が減り、パッケージ入りの「製品」を売る店が多くなっているのだ。そのような店にあるワイヤレス充電台は最近製品化されたものがほとんどなので、安心して使えるだろう。

綺麗なパッケージに入った製品も増えている

このパッドはスマートフォンの裏に貼り付けるワイヤレス充電のコイル。下の端子をスマートフォンの充電端子に挿すことで、スマートフォンの背面をワイヤレス充電対応にしてしまうというものだ。LightningとmicroUSBの2タイプがあり、ワイヤレス充電非対応のiPhoneやAndroidスマートフォンで利用できる。これも実は数年前から細々と売られていたのだが、ここにきてワイヤレス充電台の普及が始まることを見越してかあちこちの店で見かけるようになっていた。

ワイヤレス充電非対応のスマホを対応させてしまう貼り付け型のコイル

さてこれから普及が進みそうなのが、このモバイルバッテリーにQi充電台を内蔵した製品だ。外出先のカフェなどでスマートフォンを充電するとき、これがあればケーブルを接続する必要が無い。またカバンの中でうまくスマートフォンと重ね合わせて充電することもできるだろう。もちろんケーブルを使ってもいいが、ケーブルを忘れてしまった時でもスマートフォンの充電が行えるわけだ。

ワイヤレス充電台内蔵のモバイルバッテリーがこれから増えそう

インテリア製品融合タイプもいろいろなものが出てきそうだ。数年前、ホテルに行くとiPhoneを充電できるスタンドが上部に取り付けられたデジタル時計やBluetoothスピーカーが部屋に置いてあることが多かった。しかしiPhone専用ということで使い勝手はやや悪かったようだ。これがワイヤレス充電台であれば、幅広い端末が対応する。自宅のベッドの枕元においておくのも便利だろう。

時計とスピーカー内蔵タイプ。スマホの音楽を再生できる

深センの問屋街は行くたびに面白いものが発見できる玉手箱のような場所だ。またこれからどんなものが流行るのか、世界の動きを各店舗の店頭に見ることもできる。日本からのバイヤーも多く、いくつかの製品はすぐに日本でも発売されるだろう。次回の訪問時はどんな製品に出会えるのか楽しみだ。

自撮りに必須のLEDライト。この手の製品も新しいものが次々と登場している