中国の新興スマホメーカー、Xiaomi(小米、シャオミ)は7月22日に北京で新製品発表会を開催し、フラッグシップモデル『Xiaomi Mi4』を発表した。同社がこれまで出してきたスマホは抜群のコストパフォーマンスを誇る。その最新モデルはどのように進化したのだろうか。

ハイスペック+プレミアなXiaomi Mi4

Xiaomiの最新モデル『Xiaomi Mi4』は過去の同社のフラッグシップモデル同様、堂々たるフルスペックで登場した。CPUにはSnapdragon 801、2.5GHzを採用。メインカメラは1300万画素でソニー製の最新モジュールを採用、暗闇に強くまた0.3秒以下でオートフォーカスが作動する。しかもフロントにも800万画素のカメラを搭載しアジアで需要の高いセルフィー(自分撮り)にも対応。ディスプレイは5インチフルHDだが、左右のベゼル幅を狭めたことで横幅はわずか67.5ミリに抑えられている。

Xiaomiの新しいフラッグシップモデル『Xiaomi Mi4』

CPUやカメラも最新のものを搭載している

『Mi4』のこれら機能は確かに他社のハイエンドスマホと同等で、同社のフラッグシップとして文句ない仕上がりになっている。だが性能は他社より抜きんでているというほどでもない。今までのXiaomiのスマホの新製品が出るたびに感じられた驚きにはやや届かないようにも感じられる。それもそのはずで、実は『Mi4』はスペック以外の部分でも大きな進化が見られているのである。それは本体の質感・仕上げだ。

これまで3モデルが発売されたXiaomiのフラッグシップモデルは樹脂製のボディーを採用していた。『Mi4』ではそれを取りやめステンレス鋼(SUS304)を削り出したボディーを採用している。CNC加工を8回繰り返すことで精度高く鋼材を削り出し、コンマ・数ミリの細かい仕上げも行われている。金属素材の採用により強度は高まるのはもちろんのこと、手に持った時も高級感を感じることができる。コストパフォーマンスの高さを売りにしてきたXiaomiも、いよいよプレミアム感という、本体の仕上げにも力をいれてきたわけだ。

さらには通信方式はようやく4Gに対応した。『Mi4』は中国の3事業者向けにTD-LTE版、W-CDMA版、CDMA2000版の3モデルが用意され、2014年7月末から1か月おきに販売が開始されるとのこと。また日本やアメリカなど世界で主流のFDD-LTEに対応したモデルも年末をめどに発売される。価格は16GBモデルが1999人民元(約3万2700円)、64GBモデルが2499元(約4万900円))と前モデルと据え置きだ。

ステンレス鋼材を削り出したボディー

通信方式はLTEにも対応する

先進国への進出がいよいよ始まるか

Xiaomiのスマホは今やアジアを中心に販路を国外に広げている。台湾などでは通信事業者とも提携し店頭販売も始めており、2年契約で無料販売されるなど購入の敷居も下がっている。通信事業者側としてもXiaomiの端末価格ならば補助金を出して無料販売することは難しいことではなく、新規顧客の呼び込みにも一役買っている。

一方欧米の先進国への展開はまだ進んでいない。わずか数年で急成長したXiaomiは海外進出するにも人材が足りないという問題を抱えているが、それだけが先進国進出の障害ではなかった。先進国では通信方式として4G/LTEが主流となりつつあり、消費者も最新の4G端末を好む傾向にある。だがXiaomiのスマホは今まで3G対応品しかなかったのだ。

それに加え、先進国ではすでに大手メーカーの低価格スマホが多数販売されている。たとえXiaomiが低価格高品質であったとしても、所詮は「聞いたことも見たことも無い無名メーカー」の製品なのだ。例えば今、昨年のフラッグシップモデル「Xiaomi Mi3」を日本で販売したとしたらどうなるだろうか? 3Gのみに対応、しかもよくわからないメーカーということで日本の消費者の目を引き付けることは難しいだろう。

このように先進国へ展開するにはLTEへの対応は必須であり、またブランド力が弱い点を品質で補う必要があったが、今回発表された『Mi4』はLTE+プレミアムな仕上げで先進国の消費者にも十分受け入れられるだけの製品になっている。まだまだブランドが知られていないというハンディはあるものの、『Mi4』を今先進国に投入しても問題なく消費者に受け入れられるのではないだろうか。

アジアでは通信事業者の店舗でも販売がはじまった

スペックとプレミアム品質で先進国への拡販を狙う

今年は秋にiPhoneのフルモデルチェンジが予定されている。新型iPhoneは過去の製品以上に大きな人気になると市場関係者は誰もが予想していることだろう。だが低価格で高スペックに加え、高品質と三拍子そろった『Xiaomi Mi4』はもしかすると一部の国ではiPhoneのライバルとしてしてその販売数に影響を与えるかもしれない。Xiaomiが『Mi4』をひっさげどのように国際展開を図るのか、注目したい。