1月23日、Nokiaは同社のタッチパネル端末「Nokia 5800 XpressMusic」の出荷台数が100万台を突破したと発表した。AppleのiPhoneや他社に出遅れていた同社のタッチパネル端末だが、出だしは好調のようだ。

クリスマス商戦に売れまくった5800XM

昨年11月末の発売から3カ月、Nokiaのタッチパネル端末「Nokia 5800 XpressMusic」(5800XM)の販売台数が100万台に到達した。ちなみに最初の30日間には50万台が売れたという。ロシアや香港などごく一部の地域のみの発売にもかかわらずこれだけの台数が売れたということは、同社のタッチUIが消費者から高い評価を受けたということにもなるだろう。

例えば香港では発売日の11月26日に異例の深夜販売が行われ、その夜だけでも数百台以上が販売されたという。ちなみにNokiaが話題作りともいえる深夜販売を行うことはこれまでには無く、あのiPhoneですら香港では昼間発売であったのだ。朝になってからはNokiaの直営ストアや家電店などでも5800XMを買い求める客が殺到し、夜には完売となる店が続出していた。この勢いはクリスマス商戦に入ってもそのまま続き、この冬最も話題の端末はこの5800XMであったのだ。

香港では街中あちこちに5800XMの広告を見かける

同じタッチパネルを搭載していることから何かとiPhoneとの比較が行われるが、単純に機能を比較すればiPhoneのほうが優れた点が多い。しかし「携帯電話」として比較すれば、5800XMはより小型で電池も持ち、安定性も高い。また日常利用するには十分すぎる機能をそなえている。誤操作しにくいように設計されたタッチパネルUIも実用的だ。モバイルインターネットも音楽も「そこそこ」利用の一般消費者にとっては、小型のスマートフォンである5800XMは使いやすい端末として評価されているのだろう。

100万台突破のニュースが発表された同日にはイギリスでも販売が開始され、Nokiaの音楽配信サービス「Comes With Music」対応のフラッグシップ端末として登場。こちらでも販売初日には各地で完売・品切れとなったようである。

iPhoneを売りながらも5800XMのPOPを並べる香港の事業者ショップ

オンラインサービスの本格開始に弾み

同じタッチパネル搭載のiPhoneは昨年、販売後2カ月で100万台を突破している。数字だけみればiPhoneのほうに出だしの勢いがあるようにも見えるだろう。しかしiPhoneの購入には通信事業者との固定契約が必要だ。一方Nokia 5800XMは単体での購入が可能であり、事業者の販売価格もiPhoneのようにメーカーにコントロールされない。そのため実質無料で購入可能な事業者も存在している。iPhone同様に5800XMも今後販売国が順次拡大されていくが、自由な価格設定が可能なことから販売台数の伸びはiPhoneを超える可能性もある。

Nokiaはすでにタッチパネルにフルキーボードを備えたNokia N97を発表している。こちらは5800XMと同じタッチUIに収納式のフルキーボードを備えた端末だ。発売は4月前後が予定されており、「小型の5800XM」「キーボードで文字入力も容易なN97」とNokiaのタッチパネル端末は用途別に2種類が用意されることになる。他社に出遅れていたNokiaのタッチパネル端末もようやくラインナップが出揃うわけだ。

またNokiaはOviブランドでオンラインサービスを着々と開始している。オンラインサービスの利用には大画面+タッチパネルUIを搭載した端末が適しており、そのためにもタッチパネル端末の拡充はNokiaにとって必須だろう。5800XMが市場に受け入れられたことは、同社のオンラインサービスの本格的な提供開始にも弾みがつくものになりそうである。