8月1日から日本でも個人向けにBlackBerryの販売が開始された。一方、海外では今月発売予定の最新機種「BlackBerry Bold」に大きな注目が集まっている。最新のBlackBerry端末はどこまで進化しているのだろうか?

高い信頼を得ているBlackBerry

ドコモが個人向けにも提供を開始した「BlackBerry 8707h」

BlackBerryとは、セキュリティーに優れたプッシュメールを提供するサービスと端末のセットの総称だ。端末は、BlackBerryを提供するRIM(Research In Motion)からBlackBerryブランドの製品が提供される。なお、Windows MobileやSymbian S60の対応端末に専用ソフト「BlackBerry Connect」をインストールして、BlackBerry端末同様にプッシュメールサービスを利用することもできる。

最近ではAppleのiPhoneがMicrosoft Exchange Serverなどのプッシュメールソリューションに対応したことからBlackBerryのライバルになったと言われるが、ビジネス市場でのBlackBerryの優位性はiPhone発売後も全く揺るいでいない。端末の安定性なども含め、BlackBerryがこれまでにビジネス市場で築き上げてきた信頼性はそう簡単に打ち崩すことはできないだろう。ビジネスの最前線においては「メールが遅れて届いた」だけでも大問題になるのが現実だ。ましてや端末が不調でメールが取れなかった、などというのは言い訳にもならない。携帯型デバイスで最も信頼性の高いメールシステムがBlackBerryであることは、ビジネスの世界で実証されているのだ。

このようにビジネスユーザーを中心に圧倒的な人気を誇るBlackBerryだが、ユーザーが広がるにつれビジネス用途以外への要求も高まってきている。特に女性を意識したスタイリッシュな機種「BlackBerry Pearl」の登場により、プッシュメールをそれほど利用しなくとも、ファッションとしてBlackBerryを利用するユーザーも増えているほどだ。RIMによると昨年度のBlackBerry端末の出荷台数は約1,400万台で、これは一昨年度の約640万台から倍増と急激に増えている。

マルチメディアスマートフォン化するBlackBerry

BlackBerry端末の現在の主力機種は、前述したスタイリッシュなPearlとQWERTYキーボードを備えた従来型スタイルの「Curve」、この2ラインである。そして両シリーズにGPSや無線LAN搭載の有無で複数のモデルが展開されている。しかし搭載される機能は比較的ベーシックなものであり、音楽や動画再生にも対応するが使い勝手はそれなりのものだ。BlackBerry端末をマルチメディアプレイヤーとして使うには両モデルはやや非力であろう。

現行の主力モデルはCurve(左)とPearl(右)の2シリーズ。なおBlackBerryといえば側面のジョグホイール操作が有名だが、Pearl以降はディスプレイ下のトラックボールで操作を行う

しかし今月から各国で発売予定のBlackBerry9000は、これまでのBlackBerry端末にはない強力な機能を備えている。端末の愛称は「Bold」で、外観もより高級感を備えたものになっている。ディスプレイは480×320ピクセルのハーフVGA、メモリは内蔵1GBに加えmicroSDカードスロットを搭載。音楽や動画は主要なフォーマットに対応するのはもちろん、動画はDivXやH.264フォーマットにも対応する。さらに3.5mmヘッドフォンジャックも備えており、市販の高音質のヘッドフォンも利用可能だ。カメラは2メガピクセルと標準的だが、ビデオ録画にも対応している。

最新モデルのBoldは他社の現行ハイエンドスマートフォンに劣らぬハイスペック仕様だ

ここまでのスペックを見ると、Boldがただのビジネス向けスマートフォンではないことがわかるだろう。さらにPC向けのアプリケーション「BlackBerry Media Sync」を利用して各種メディアファイルをBlackBerry端末に簡単に転送できるほか、iTunesとの連携も可能になっている。iPhoneがビジネス用途への対応を目指している動きにあわせるかのように、BlackBerryがエンターテイメント機能を強化しつつあるのが面白いところ。すなわちBlackBerryは「メール用途のビジネス端末」だけではなく、「マルチメディアにも対応したハイエンドスマートフォン」へと機能と用途を拡大しつつあるのだ。

なおBoldはBlackBerry端末として初めてHSDPAに対応している。実は、日本で発売される端末が最新のCurveやPearlではなく「BlackBerry 8707h」であるのは、3Gに対応したモデルがこの8707シリーズだけであったからだ。プッシュメールの利用では3Gの高速回線の必要性は低く、BlackBerry端末での高速Webブラウジングはこれまで無線LANの搭載で対応されていた。マルチメディア対応だけではなくHSDPAに対応したことで、Boldは名実ともに「ハイエンド3Gスマートフォン」と呼べる端末に仕上がっているわけだ。

このBoldはもちろん日本でも利用可能だ。ドコモからも発売されるという情報もあるが、もし発売されればビジネスユーザー以外にもBlackBerryの利用者が増えるかもしれない。日本でも海外メーカー端末が増えてきているが、BlackBerryもBoldの投入で、一定のシェアを獲得する可能性もありうるだろう。