ソフト名 PocketHTML.Net
作者 I2 Software
区分 フリーウェア
動作確認機種(※) W-ZERO3
Advanced/W-ZERO3 [es]
EM・ONEα
ソフト名 SyncFTP
作者 エスプランニング
区分 フリーウェア
動作確認機種(※) W-ZERO3
Advanced/W-ZERO3 [es]
EM・ONEα
※:記事執筆時点における確認結果であり、これらの製品ですべての機能が確実に動作することを保証するものではありません。また、ここに挙げた以外のWindows Mobile搭載製品でも動作する場合があります。

最近では個人の情報発信手段のひとつとしてブログが普及し、携帯電話や、Windows Mobile端末に代表されるスマートフォンからでも、簡単にWebページを更新できるようになってきている。

テキストデータや写真を、メールやブラウザを使ってアップロードするだけで簡単にサイトを更新できるブログは、とても便利なツールであり、毎日のように新たな項目を追加するなど、日記のような使い方には最適だろう。

しかし、デザインの自由度といった点では、HTMLを自ら記述しFTPでサーバにアップロードする、昔ながらのWebページにはかなわない。特に特定の項目を頻繁に更新するなど、構成を固定したWebサイトの更新では、HTMLで直接記述した方が手っ取り早いことも多い。

今回と次回にわたり、Windows Mobile端末でこうしたスタティックなWebサイトの更新に便利な、「PocketHTML.Net」と「SyncFTP」を紹介しよう。この2つのアプリケーションを使うことで、ホームページの作成からサーバへのアップロードまで、すべてがWindows Mobile端末のみで完結することができる。また、この2つのアプリケーションは、フリーで公開されているので、気軽に試すことができるのも嬉しいことだ。開発者に感謝すべきだろう。

PocketHTMLは直接タグを打ち込んでいくタグエディタ。ひな形も用意されているのでちょっとしたホームページならば簡単に作成可能だ

SyncFTPはFTPクライアントソフト。PC用のFTPクライアントソフトと遜色の無い機能を持つ。ホームページのアップロード以外にも幅広い応用が可能だ

インストールと起動

紹介するアプリケーション、PocketHTMLとSyncFTPは2つとも実行に「.NET Compact Framework」が必要となる。Advanced/W-ZERO3 [es]に代表されるWindows Mobile 6端末には、.NET Compact Framework 2.0が最初からインストールされているため追加の必要はないが、W-ZERO3 [es]やEM・ONE(※)など、Windows Mobile 5.0端末の場合は、.NET Compact Framework 2.0をMicrosoftの公式ページよりダウンロードして、インストールしておこう。

※:EM・ONEαの場合は、Windows Mobile 6搭載であり、新たに.NET Compact Frameworkをインストールする必要はない。また、EM・ONEの場合はWindows Mobile 5.0端末ではあるが、イー・モバイルが提供している「3D Box」をインストール済の場合は、「.NET Compact Framework 2.0」も同時にインストールされているため、改めてインストールする必要はない。

PocketHTML.Net

開発元であるISquared Softwareのサイトには、PCを使ったインストール用のファイル(PocketHTML122Setup.exe)と、端末で直接インストールを実行できるCABファイルが公開されている。拡張子exeのインストール用ファイルを利用する場合は、ActiveSync経由でインストールすることになる。CAB形式のファイルの場合は、Windows Mobile端末にファイルをコピーして、「ファイルエクスプローラ」などから実行するだけで、インストールすることができる。

海外サイトなので英語で記述されているが、サイト自体が分かりやすいレイアウトであるので、特に迷うことはないだろう。「Products」→「PocketHTML.Net」→「Download」とたどっていけばいい。

SyncFTP

開発元(エスプランニング)では、CAB形式のファイルが公開されているので、Windows Mobile端末にコピーし、タップして実行するだけでインストールが完了する。

いずれも、「スタート」→「プログラム」画面にアイコンが作成されているはずだ。アイコンをタップすることでアプリケーションを起動できる。

早速、この2つのアプリケーションを使って、実際にWebサイトのページを作成してみよう。

まずはHTMLファイルの作成

Webページのデザインを担当するHTMLファイルの編集は、「PocketHTML.Net」の役目。ただし、PocketHTML.NetはPC用の一般的なWeb作成用ソフトのように、実際のページデザインを確認しながら、アプリケーションが必要に応じたHTMLタグを自動的に挿入していくタイプではない。自分で直接HTMLタグを記述していくタグエディタとなっている。

それゆえ、基本的なHTMLタグの知識が必要となるが、簡単なページレイアウトであれば、それほど多くのタグは必要ないだろう。また、既に作成済のHTMLファイルの修正であれば、新たにタグを入力することも少ない。とにかく試しに作成してみよう。

まずはメニュー「Tools」→「Options」を開き、Optionsタブの中にある「Default text encoding」でページの文字コードを日本語に設定しよう。ここではJapanese(JIS)を選択した。その際、この横にある「Test」ボタンは押さないように。環境によっては画面表示が乱れてしまう。

PocketHTMLの起動画面。画面下部によく使用するタグが並ぶ。文字を選択しこのボタンをタップするだけでタグが挿入される

まずはメニューのToolsからOptionsを選択する

Default text encodiongでJapanese(JIS)を選択する

メニューから「File」→「New」→「template1.html」を選択して新しいHTMLファイルを作成する

続いてメニュー「File」→「New」→「template1.html」を選択し、新しいHTMLファイルを作成する。ページの雛形を作ってくれるこの機能はなかなか便利だ。表示されたファイルの「<title></title>」タグで囲まれた部分が、ページタイトルとなる。まずは、この部分を自分のページ用に書き換えよう。

ホームページの雛形が作成される

<title>タグ内にタイトルを記入し、ホームページ本文は<body>タグ内に記入する

次に「<body></body>」タグで囲まれた部分が、実際のページの表示内容になる。試しにここでは「テスト用ページ」などといったテキストを入力し、スタイラスで文字をトレースして選択状態にして、「h1」ボタンをタップしてみよう。この選択テキストが「<h1></h1>」で囲まれたはずだ。簡単にタグをセットすることができて便利だ。また、実際にブラウザではどのようにレンダリングされるかを確認する場合は、メニューにある「IE」ボタンを押すと、プレビュー画面が表示される。

タグを付けたいテキストを選択し、タグボタンをタップするとタグが挿入される

メニューにある、「IE」ボタンで実際のブラウザでの表示を確認できる

作成したファイルを保存するには、メニュー「File」→「Save As」でファイル名とフォルダを保存場所として指定する。なお、ファイル名には自動的に拡張子「html」が付加される。これで、テストページ用のHTMLファイルが準備できた。

作成したデータの保存。メニューから「File」→「Save As」を選択する

名前、フォルダ、種類、場所を指定し、保存する

次回はSyncFTPを使い、このファイルをFTPサーバにアップロードしてみよう。