ソフト名 Eval 1.0
作者 Jonathan Sachs氏
区分 フリーウェア
動作確認機種(※) W-ZERO3
Advanced/W-ZERO3 [es]
※:記事執筆時点における確認結果であり、これらの製品ですべての機能が確実に動作することを保証するものではありません。また、ここに挙げた以外のWindows Mobile搭載製品でも動作する場合があります。

関数電卓といえば、Windows Mobileにインストールして常に持ち歩きたい定番アプリケーションのひとつだ。もちろん、ちょっとした加減乗除を行う電卓は用意されているのだが、標準搭載品ゆえ高機能とは言いがたい。

ネットを探してみても高機能な関数電卓はシェアウェアとして提供されていることが多く、それほど使用頻度が高くなくとりあえず入れておきたいといった場合には、ソフトの購入をためらうケースもあるだろう。

そんな時、フリーで公開されている「Eval」はいかがだろう。フリーで公開されているとはいえ、高度な関数計算からソフトウェアエンジニアにとって便利な16進数計算もこなし、スキンによりデザインも変更できる。使い勝手のよい高機能関数電卓だ。今回はこの「Eval」を紹介しよう。

10進数、16進数、8進数、2進数の計算も可能

インストールと起動

作者のサイトからインストーラーの「Eval.exe」をダウンロードし、PCとWindows MobileデバイスをUSBケーブルで接続し、ActiveSyncされている状態でPC上でインストーラを実行する。残念ながら、Windows Mobileデバイス上で直接インストールできるCABファイルの公開は行われていない(「Eval.zip」で公開されているのはPC版のバイナリなので間違えないように)。

インストールに成功すると、「スタート」→「プログラム」メニューの中にアイコンが作成される。まずはここから起動してみよう。

機能と特徴

特に設定は必要なく、起動するだけですぐに関数電卓として使用できるが、まずは自分好みのスキンに変えてみよう。

メニューの「File」→「Skin」で表示されるサブメニューの中にある、「Dark Textured」「Low Contrast」「High Contrast」の3種類の中から好みのデザインを選ぶだけだ。選択したスキンは直ちに反映され、次回起動時からは選択したスキンで起動する。

3種類のスキンが用意されており、この中から好みのデザインを選択する。左から「Dark Textured」「Low Contrast」「High Contrast」

実際の計算方法だが、基本的には数式を入力して「=」を押すことで演算結果が表示される。また、メニューの「File」→「Recalc」→「Automatic」を選択しておくと「=」を押さなくても自動的に再計算されていく。入力した式の修正は「clr」キーで一括削除することもできるが、画面下部のメニュー「←」「→」で修正箇所までカーソルを移動させて、部分的に修正することも可能だ。

16進数などの計算の場合は、計算窓の右側にあるステータスアイコン「d」をタップすると、「Decimal」(10進数)、「Hexadecimal」(16進数)、「Octal」(8進数)、「Binary」(2進数)とサブメニューが表示される。例えば16進数の場合は、この中から「Hexadecimal」を選択する。選択後、ステータスアイコンが「h」に変われば16進数の計算モードとなる。

ステータスアイコンから、各進数の計算モードに変更できる

その他にも、計算過程を記憶する機能も搭載されている。

メニューの「Expression」→「Save in List」で現在計算窓にある計算式が記憶される。 記憶されている計算式を呼び出す場合は、計算窓の右側にある下矢印アイコンをタップすれば一覧表示される。ここから目的の計算を選択するだけだ。記憶された計算式はアプリケーションを終了しても保存されている。消去するにはメニューの「Expression」→「Clear All」を実行しよう。

計算窓にある計算式を記憶することが可能

記憶されている計算式を呼び出すには、計算窓の右側の下矢印アイコンをタップすると、ドロップダウンリストが表示される

フリーながらも高機能で使いやすい関数電卓

Windows Mobileデバイス上のアプリケーションゆえに、各キーは専用キーが用意することは不可能であり、タッチパネルによる操作は、専用の関数電卓と比べてしまうと、使い勝手が良いとは言えないかもしれない。しかし、「Eval」をインストールしておけば、いざと言うときに十分使える実用性を備えている。

また、Windows Mobileのアプリケーションであることから、他のアプリケーションからの数値のコピーや、計算結果を他のアプリケーションにコピーすることができるなど、アプリケーション間で連携可能な点も大きなメリットだ。

なお、Advanced/W-ZERO3 [es]で使用した場合、ワイド液晶のために描画エリア外で表示されない部分が残ってしまうのと、高精細な小型画面が災いして、キーが小さく押しにくいのが残念だが、それ以外の動作には特に問題はない。

また、作者のページにはWindows Mobile版とほとんど同じ機能を持ったPC版のアプリケーションも用意されている。Windows Mobileで「Eval」を使い込んでいるユーザにとっては、同じアプリケーションをデスクトップでも使用できるのは便利だろう。