ソフト名 XnView Pocket
作者 Pierre-E Gougelet氏
区分 フリーウェア
動作確認機種(※) W-ZERO3
W-ZERO3 [es]
EM・ONE
※:記事執筆時点における確認結果であり、これらの製品ですべての機能が確実に動作することを保証するものではありません。また、ここに挙げた以外のWindows Mobile搭載製品でも動作する場合があります。

現在のデジタルカメラの普及率はもはや語るまでもないだろう。携帯電話の主要な内蔵機能としても採用され、特に意識するまでもなく、日常的に持ち歩くデジタルガジェットとなっている感がある。

Windows Mobile搭載端末の多くもまた、デジタルカメラを筐体に内蔵している。代表的な機種である「W-ZERO3」シリーズや「EM・ONE」シリーズのカメラ機能は、解像度や表現力的には物足りないところもあるだろうが、メモ的なスナップを撮影するのには必要十分といっていい。ブログなどにアップするべく、このカメラ機能を愛用している人も多いだろう。

しかしながら、数多くの写真が手元にたまっていくにつれて、次第に鎌首をもたげてくるのが「この部分をもう一息、いじることができたら……」という要望である。そうした作業は大抵の場合、PCに写真のデータを読み込ませた上で、各種のレタッチソフトを使うのが通例だが、「そこまで大げさでなくとも、リサイズ程度の作業だけでもいいから、出先でちょっと触りたい」というニーズが出てくるのは必然かもしれない。

こうした要望に対して、Windows Mobile搭載端末を活用するためのアプリケーションが、今回紹介する「XnView Pocket」である。これはPC向けWindowsを筆頭に、各種OS向けに幅広くリリースされている「画像ビューア」のWindows Mobile版であり、その人気も実力も折り紙つきである。使うあてがなくとも、とりあえずインストールしておけば、「いざ」という時に何かと役立ってくれること請け合いである。

XnView Pocketの実行画面。初回はルートフォルダが表示されている

インストール

WebサイトではCAB形式のファイルと、英語版及びフランス語版のEXE形式のファイルが公開されている。EXE形式を選んだ場合はActiveSync経由でインストールが可能だが、特に理由がなければ、手間がかからないCAB形式のファイルを選ぶといいだろう。Windows Mobileデバイスに移し、「ファイルエクスプローラ」などからタップするだけで、インストールは完了する。

インストールが完了すると、XnViewは自分自身のショートカットを「スタート」メニュー直下に登録してしまう。しかし、この領域には最大で7つまでのアプリケーションしか登録できないので、元に戻したい場合は、「スタート」→「設定」→「メニュー」の画面を開き、表示したいアプリケーションを選択しなおす必要がある。

インストール直後は、図のようにXnView Pocketが自動的に登録される。不都合があれば元に戻しておこう

起動と利用

XnView Pocketを起動すると、「My Pocket PC」と表示されたルートフォルダが表示されるが、これはファイルエクスプローラでいうところの「マイ デバイス」に該当する。その下の階層を表示するには、「+」マークをタップするといい。その場合、フォルダ内にXnView Pocketが読み込み可能な画像形式のファイルがあれば、下半分の画面に画像のサムネイルが表示される。ただし、サブディレクトリの内容までは表示されない。

フォルダ内にある画像のサムネイルは、メニューの「View」→「Mode」から表示方式を変更できる。その内容は以下の通りである。

Thumbnail 上部にフォルダ、下部にサムネイルを表示(デフォルト)
List リスト表示
Details 画像の詳細情報も表示
Strip 上部にサムネイル、下部に選択した画像を表示
Image 選択した画像を画面一杯に表示
Full Screen 画像を全画面表示

「Thumbnail」表示の例。大まかな画像イメージをつかむのに適している

「Strip」表示の例。PCのエクスプローラでの表示に近く、よりディティールがつかみやすい

画像のズームについては、メニューの「View」→「Zoom up」より、150/200/300/400%の倍率変更が可能である。同じメニューの「Zoom down」では、75/50/25%の縮小表示が可能だ。

これ以外にも、「Original size」(元のサイズで表示)や「Fit to window(all)」(画像をウィンドウサイズに合わせる)、あるいは「Fit to window(Large only)」(画像に応じてウィンドウを拡大)といった機能も備えている。それぞれの画像に合わせて確認しやすい、幅広い選択肢を備えているといっていいだろう。

画像をあれこれと弄るための「Tools」機能

XnViewの備えている画像編集機能は、メニューの「Tools」に集約されている。以下、その内容を紹介していこう。

Convert(画像をほかの画像形式(JPEG/GIF/Bitmap/PNG/TGA)へ変換)

メニューから「Convert」を選択すると、画像の種類や解像度他の情報が表示される。「Format」タブから変換したいフォーマットを選択して、それぞれのフォーマットで使用する色数を指定すればいい。JPEGを選択した場合は、クオリティのレベルを変更することも可能だ。

「Convert」メニューの画面。変換したい画像のフォーマットを選び、色数やクオリティを選択すればいい

Resize(画像のサイズを自在に変更)

メニューから「Resize」を選ぶと、選択した画像の縦横のサイズを変更することができる。メニューにはあらかじめ決まったサイズのパターンがいくつか用意されているので、定型的な利用なら操作も簡単だ。

個別に詳しくサイズを指定したいなら、「User defined size」を選択することで、自由にサイズを設定できる。その際に「Keep ratio」をチェックしておけば、縦横のサイズの比率をオリジナルと同等に保つことができる。

「Resize」メニューの画面。定型的な変更なら、ドロップダウンのリストから選択するだけでいい

Adjust(色味の細かな調整)

メニューから「Adjust」を選べば、PCでレタッチソフトを使うのと同様に、「Brightness(明度)」「Contrast(コントラスト)」「Gamma(画像の輝度)」「Red(赤の量)」「Green(緑の量)」「Blue(青の量)」といった値を、任意に変更することが可能だ。

変更前と変更後の画像をサムネイルで確認できるため、変更結果を確認しながらの設定変更ができる点はありがたい。しかし、Windows Mobileの小さな液晶画面では、PCなどの画面と見え方が異なる場合があることに注意してほしい。

「Adjust」メニューの画面。明るさやコントラスト、ガンマ、RGBの色味を調整できる

他にも、画面を回転させる「Rotate」や、エッジの利き味を調整する「Shapen/Smooth」といった機能を有しており、ごく簡易な画像の操作には十分な機能を有しているといえるだろう。

ポケットに入れておくには十分すぎるほどの画像ビューア

日常的にWindows Mobile搭載端末を持ち歩く人ならば、一度や二度くらいは、その小さな液晶画面で画像を閲覧する必要に迫られることもあるだろう。そうしたときに備えて、「こんなこともあろうかと」という気持ちで入れておくと、何かと嬉しいアプリケーションである。

ストレージに余裕がなければ、メモリーカードに入れておくのもいいだろう。とにかく、もっておいて損になることはない、ピリッと特徴の際立つアプリケーションである。