ソフト名 | 〇号テキストエディタ | |
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作者 | 山田俊一 氏 | |
区分 | フリーウェア | |
動作確認機種(※) | W-ZERO3 W-ZERO3 [es] EM・ONE |
※:記事執筆時点における確認結果であり、これらの製品ですべての機能が確実に動作することを保証するものではありません。また、ここに挙げた以外のWindows Mobile搭載製品でも動作する場合があります。
PC版のWindowsと比較した際に、Windows Mobileに足りないものは山ほどあるが、なかでも「どうしてこのアプリケーションが搭載されていないのか理解できない」と嘆くユーザが多いのが、テキストエディタである。
へヴィユーザなら使い慣れたエディタをさっくりと導入して事なきを得るだろうが、不慣れだったり、他人の機種を借りて使うなどという場合に、エディタがないというのはなかなか困ることが多いだろう。何気なくテキストファイルをタップしたりすると、いきなり「Word Mobile」が起動してしまうのは、いささか驚かされる。PC版のWindowsと同じ感覚で「メモ帳」を探した経験を持つ人は、きっと少なくないはずだ。
「〇号テキストエディタ」は、そうしたニーズにピタリとはまる、実に軽快かつパワフルでバランスのよいテキストエディタである。「プレーンテキストならやっぱり、エディタでなくちゃ」という人はぜひ、導入を検討してみてほしい。
インストールと起動
Webサイトには、ZIP形式で圧縮されたファイルが公開されている。PCを併用しなくても、Windows Mobile上でZIPファイルを展開することができるアプリケーションは数多く配布されているので、そうしたものを利用して、デバイス単体で展開してもいいだろうが、不慣れな場合はいったんPCでダウンロードし、展開して中身を取り出すといいだろう。
ZIPファイルを展開すると、CABファイルとEXEファイルが出てくる。EXEファイルは「ActiveSync」を利用して、PCでインストールする際に利用する形式だ。Windows Mobile単体でインストールを行う場合は、ファイルエスクプローラ上でCABファイルを選んで実行すればいい。すでに旧バージョンが導入されている場合でも、自動的に削除してアップグレードしてくれる。
インストールが完了すると、「スタート」-「プログラム」メニューの中に、アイコンが作成される。まずはここから起動してみよう。
機能と特徴
まずはじめに制限事項を述べておこう。「〇号テキストエディタ」が編集可能なテキストファイルは、付属のドキュメントによれば64kバイトとのことなので、それより大きなサイズのテキストは扱えない(文字コードや文字種によっては、扱えるサイズがもう少し増える場合もあるようだが)。この制限サイズを超えるテキストファイルを扱う場合は、「Word Mobile」を使うなりする必要がある。
この点さえきちんと理解していれば、「〇号テキストエディタ」は、Windows Mobile環境において非常に強力なエディタだといえる。以下にその機能を紹介しよう。
多彩な文字コードに対応
標準で対応する文字コードは、シフトJIS / JIS / EUC / Unicode / UTF-8 / UTF-8Nと多岐にわたる。Windows Mobile単体で考えれば、シフトJISさえ扱えればさほど問題にならないが、PCとファイルをやり取りしたり、HTMLファイルを編集したり、UNIX系OSマシンとデータ交換をしたりする場合を考慮すると、多彩な文字コードへの対応は非常に強力である。
メニューから拡張子への関連付けが可能
「設定」メニューから、「〇号テキストエディタ」に関連付けしたいファイルの拡張子を設定することができる。レジストリを書き換えたり、別のツールを使ったりする必要はない点が嬉しい。とりあえず、「.TXT」だけでも「〇号テキストエディタ」に関連付けしておくといいだろう。
関連付けのないファイルも簡単に開ける
「ファイルを開く」メニューから、任意のファイルや拡張子を指定して開くことが可能。階層の深いフォルダも視覚的に構造を確認できるので、フォルダの奥深くに埋もれたファイルを開くのにも使いやすい。
使用するフォントを4パターンまで登録可能
表示に使用するフォントの種類やサイズを、最大4パターンまで設定しておくことができる。「メニュー」-「ツール」-「設定」-「フォント」のメニューから可能で、実際に表示を切り替えるには「メニュー」-「表示」を選択すればいい。
狭い画面を意識した検索/置換画面
文字の検索や置換を行う場合に、入力のダイアログを表示するのではなく、ツールバーに入力するように実装されている。おかげでエディタの画面を隠すことなく、検索や置換が可能である。また、文字列を選択してから検索や置換メニューを実行すると、選択された文字列が検索用の語句としてセットされた状態になるなど、細かい部分の使い勝手も良好である。
強力なキーボードマクロを搭載
「〇号テキストエディタ」の強力な魅力のひとつが、このキーボードマクロだ。これは「同じような操作を何度も繰り返し行いたい」ような場合などに活用できる機能で、マクロと名づけられてはいるが、PC版のExcelなどに搭載されているような高度なマクロ言語を用いるマクロとはやや趣が異なる。
同様の機能は、PC版Winodwsのエディタである「秀丸エディタ」などにも搭載されているが、要は「人間の操作内容を記録しておき、そのとおりに実行する」というものである。例えば、
- 行の先頭に移動する
- 行の先頭から数えて10桁目に移動する
- 改行を挿入する
という3つの動作を記録しておけば、再生ボタンをタップするごとに、表示されているテキストを10桁目で改行する処理が実行される、という具合である。使いこなせれば非常に便利で強力な機能なので、ぜひともチャンレンジしてみてほしい。ただし、日本語入力など、一部の機能は記録できないので、注意が必要である。
使い分けが大切
「〇号テキストエディタ」は、プレーンなテキストファイルを快適に扱うことを念頭において練り上げられたエディタである。熟練のWindows Mobileユーザならばその価値を改めて問う必要もないだろうが、モバイルシーンにおけるデータの作成とやり取りにおいて、今も昔も変わらぬ標準的な形式は、やはりテキストファイルなのである。世の中にどれだけリッチなフォーマットが流行しようとも、テキストファイルの手軽さと利便性は変わらないだろう。
まずは導入してみてほしい。そして、モバイルシーンにおけるテキストファイルの大切さを、改めて実感してほしい。その重要性を理解すればするだけ、「〇号テキストエディタ」は皆さんにとって必要不可欠なよき相棒となってくれるだろう。