こんにちは、阿久津です。海外のIT系ニュースサイト「ZDNet」に「Microsoft: We aren't going to have three different versions of Windows」という記事が掲載されました。著者はMicrosoftウォッチャーとして有名なMary Jo Foley(メアリー・ジョー・フォーリー)氏。内容を要約しますと、「異なるWindowsのバージョン数を減らして調整する計画がある」というものでした。

Foley氏はMicrosoftのデバイス&ステュディオ担当エグゼクティブ バイスプレジデントのJulie Larson-Green(ジュリー・ラーソン-グリーン)氏が、UBS Global Technology Conferenceで行った発言をもとに記事を作成。ARM上で動作するWindows RT、Windows Phoneという2つのOSを、1つに統合する計画があることをスクープしています。

Larson-Green氏は同カンファレンスで、「私たちは十分にデバイス(Surface ProやSurface RT)を区別していなかったと思う」と発言し、インタビューでは、「近い将来、ユーザーは携帯電話など複数のデバイスから、特定のシナリオに適したものが選択できるようになる」と述べ、Windows RTに関する方針転換とスマートフォン戦略の強化を明らかにしました。

筆者が述べるまでもなく、Windows RTを搭載したサードパーティー製デバイスは、あまり活発ではありません。そのため、戦略変更を求められていたMicrosoftは、ARMという同じプラットフォームを対象にしたOSを統合するという方針を選択したのでしょう。ただし、記事の内容を精査しますと、Windows RTとWindows Phoneを1つにまとめるというよりも、Windows Phoneに機能拡張を施し、Windows RTの開発を終えるとの見方が正確かも知れません。

過去のWindows OSを紐解くと、組み込みデバイス向けのWindows CEなど、表舞台から消えたOSをいくつか思い出します。Windows CEはノート型PCよりも小さいハンドヘルドPCやポケットPCといったコンシューマー向けデバイスに搭載されたため、使ったことがある方も少なくないでしょう。

現在は同種のデバイスがリリースされていないため、我々が普段目にすることはありません。しかし、そのWindows CEもバージョン6.0からはWindows Embedded CEに改称し、今年6月にはWindows Embedded Compact 2013をリリースすなど、現在もその地脈は続いています。残念ながらWindows RTはWindows CEと同じ道を歩むのではなく、Windows 9xのように、その役目を終える可能性が高そうです。

さて、多くのユーザーがWindows 8からWindows 8.1へアップデートしたと思いますが、一部のデバイスが動作しないといった問題や、意図しないトラブルを懸念して、Windows 8にとどまっている方もいるでしょう。すると、Windows 8利用中に現れるアップデートを促すメッセージが煩わしく思えてくるはずです、。そこで今週はWindows 8を対象に、Windows 8.1へのアップデートを抑制するチューニングを紹介しましょう。

1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\WindowsStoreキーを開きます(ない場合は作成します)。
3. DWORD値「DisableOSUpgrade」を作成し、値のデータを「1」に変更します。
4. レジストリエディターを終了させます。
5. コンピューターを再起動します。

これでチューニングが完了しました(図01~09)。

図01 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図02 レジストリエディターが起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoftキーまで、キーをたどって開きます

図03 Microsoftキーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>とクリックします

図04 「新しいキー #1」を「WindowsStore」に変更します

図05 WindowsStoreキーをクリックして開き、右ペインの何もないところを右クリックします。メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックしてください

図06 値名を「新しい値 #1」から、「DisableOSUpgrade」に変更します

図07 DWORD値「DisableOSUpgrade」をダブルクリックで開き、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図08 <×>ボタンをクリックして、レジストリエディターを終了させます

図09 [Win]+[I]キーを押すなどして設定チャームを開き、<電源>ボタン→<再起動>とクリックします

早速結果を確認してみましょう。スタート画面などから「ストア」を起動しますと、Windows 8.1へアップデートする「Windowsのアップデート」のタイルが小さくなりました。一見しますと、そのままアップデートできるように見えますが、タイルをクリックしても「システム管理者によってこの更新はブロックされています」というメッセージが現れます(図10~13)。

図10 スタート画面の「ストア」をクリックします

図11 こちらはチューニング前のWindowsストア。「Windowsのアップデート」が大きく表示されます

図12 こちらはチューニング後のWindowsストア。同じく「Windowsのアップデート」は提示されますが、タイルサイズは小さくなります

図13 タイルをクリックしても、Windows 8.1へのアップデートは実行できません

なお、Windows 8はOEMベンダーへの出荷が2014年10月31日で終了する予定です(プレインストール済みコンピューターの販売終了日は未定)。そのため、本チューニングは一時的処置とし、Windows 8.1対応デバイスやソフトウェアの更新を行って、Windows 8.1へ移行することをお勧めします。本チューニングを無効にする場合はDWORD値「DisableOSUpgrade」を削除し、Windows 8を再起動してください。

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus