こんにちは、阿久津です。正式な発表ではありませんが、米国のウォール・ストリート・ジャーナルが掲載した記事によりますと、ASUSTeKは発売中のASUS VivoTab RTを最後に、Windows RT市場から撤退する可能性があることがわかりました。同社CEOであるJerry Shen(ジェリー・シェン)氏は「Windows RTはAndroidやiOSに対抗するに十分なアプリケーションが欠けている」と同記事で述べています。

Microsoftが2013年度第4四半期決算において、Surface RTの在庫調整に9億ドルの損失を計上したことは記憶に新しく、Windows RT搭載マシンが市場的に苦戦しているのは事実でしょう。

Surface RTを不良在庫化しないようにするため、日本マイクロソフトは7月に同マシンの価格を1万円値下げし、8月に入ってiPadユーザーを対象した1万円のキャッシュバックキャンペーンを実施しています。同社の事情を鑑みればこの対応は理解できますが、早期購入者の中には不満を覚える人も少なくないでしょう。Windows 8.1の新しいWindowsストアで利用可能になるストアギフトカード(iTunesギフトのようなもの)の1万円分をプレゼントしても罰は当たらないのでは、と思います。

ASUSのShen氏が述べたように、キラーコンテンツとなるWindowsストアアプリが欠落しているのは紛れもない事実。個人的に購入したSurface RTは家人に譲り渡し、筆者自身はSurface Proを使っていますが、いずれのデバイスもスタイリッシュなデザイン設計で気に入っています。

家人はライトユーザーに分類されるため、Microsoft WordやWebブラウジングで事足りるそうですが、筆者はそのMicrosoft Wordすら使う習慣がないため、使い慣れたキーアサインでテキストエディターを利用するには、Surface Proを選択しなければなりません。もっとも、そのような用途なら既存のノート型コンピューターで十分なので、現在はWindows 8.1プレビューの動作確認マシンにとどまっています。

Microsoftも手をこまねいている訳ではありません。同社の公式ブログの一つ「Microsoft Press」では、まもなく登場すると言われているWindows 8.1の開発環境や資料についてまとめた記事を公開し、Windowsストアアプリ開発者への啓蒙活動を行っています。

しかし、2011年9月にリリースされたWindows 8 Developer Previewから数えて約2年経った現在でも、キラーコンテンツとなるWindowsストアアプリは登場していません。このことでMicrosoftが「Windows RTは失敗作。諦めるべきだ」と方針転換するのは簡単ですが、デバイス&サービスカンパニーを目指す同社としては、現在開発中と噂されている第2世代Surface RTで勝負するのではないでしょうか。

さて、今週はWindows 8のスタート画面に関するカスタマイズを抑制するチューニングをお届けします。

1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\Explorerキーを開きます(ない場合は作成します)。
3. DWORD値「NoChangeStartMenu」を作成し、値のデータを「1」に変更します。
4. レジストリエディターを終了し、Windows 8へ再サインインします。

これでチューニングが完了しました(図01~09)。

図01 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図02 レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policiesまでキーをたどって開きます

図03 Policiesキーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>とクリックします

図04 キー名を「新しいキー #1」から「Explorer」に変更します

図05 Explorerキーをクリックして開き、右ペインの何もないところを右クリックします。メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックしてください

図06 値名を「新しい値 #1」から「NoChangeStartMenu」に変更します

図07 DWORD値「NoChangeStartMenu」をダブルクリックで開き、値のデータを「1」に変更して、<OK>ボタンをクリックします

図08 <×>ボタンをクリックして、レジストリエディターを終了させます

図09 スタート画面のアカウントをクリックし、メニューの<サインアウト>をクリックしてください

それでは結果を確認してみましょう。スタート画面が現れたら任意のタイルを右クリックしてください。操作に反応したことを示すようにタイルの形状は変化しますが、アプリバーが現れません。また、スタート画面右下にある<->ボタンをクリックするなどして全体表示に切り替えた際も、グループを右クリックしてもアプリバーが現れないため、グループ名を付けたり変更することはできません(図10~11)。

図10 タイルを右クリックしても、アプリバーが現れません

図11 グループ名の作成や変更も同様にできなくなります

DWORD値「NoChangeStartMenu」はWindows 2000の頃から用意され、スタートメニューのドラッグ&ドロップ操作やコンテキストメニュー操作を抑制するためのエントリでしたが、Windows 8で同エントリを有効にしますと、タイルに対するカスタマイズ操作が抑制されます。筆者が確認した限りでは以下の操作も無効になりました。

 * タイルのドラッグ&ドロップやピン留め操作
 * タイルサイズの変更
 * ライブタイルのオン/オフ
 * 複数のタイル選択
 * モダンUI上のピン留め操作
 * グループ名の作成や変更
 * Windowsストアアプリのアンインストール

なお、デスクトップから実行形式ファイルのコンテキストメニューに用意された<スタート画面にピン留めする>は有効でした。本チューニングを無効にする場合は、DWORD値「NoChangeStartMenu」の値のデータを「0」にするか、エントリ自体を削除して、Windows 8に再サインインしてください。

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus