こんにちは、阿久津です。当初は「Microsoft Passport Network」という名称でサービスを開始し、その後「Windows Live ID」に改称、そしてブランド戦略変更に伴い、現在の「Microsoftアカウント」に再改称されたシングルサインオンサービスは、Windows 8へのサインインなど、さまざまなサービスに利用できるようになりました。

そもそもMicrosoftアカウントを登録するには、任意の電子メールアドレスが必要。ユーザーはISP(インターネットサービスプロバイダ)などが発行する電子メールアドレスや、Microsoftが提供するドメインの電子メールアドレスを使って申請することができます。

当初は異なる支払い形態や、異なるアカウントを要求するサービスも存在しましたが、最近はMicrosoftアカウントに統一されつつあり、Windowsストアアプリの「ビデオ」で購入できる映画やドラマも同アカウント経由で支払いが可能になりました。このように重要性が増すMicrosoftアカウントですが、以前寄稿したニュース記事でも述べたように、2段階認証が導入されています。

概要は前述のリンクをご覧いただくとして、新たに申請可能になった「アカウントエイリアス」について少し述べておきましょう。同機能は既存のMicrosoftアカウントに追加できる電子メールアドレスであり、同じ受信トレイで異なる電子メールアドレスを使える機能です。作成できるアカウントエイリアスは、1年につき5個までに制限され、最大15個まで作成可能。既存のアカウントエイリアスを削除しても制限数はリセットされません。

図01 Microsoftアカウントで使用可能になった「アカウントエイリアス」

ユーザーは、outlook.jpやoutlook.com、hotmail.co.jp、live.jpといったドメインを用いる新規の電子メールアドレスか、既存の電子メールアドレスをアカウントエイリアスとして申請可能。現在筆者は独自ドメインの電子メールアドレスをMicrosoftアカウントとして登録し、Gmailに転送して閲覧・返信していますので、アカウントエイリアス向けに送信された電子メールを閲覧するには、Outlook.comにアクセスしなければなりません。

もっとも、Outlook.comでも同様の設定を行えば、プライマリアカウントとなる電子メールの送受信は可能です。日々進化しつつあるOutook.comですが、広告を非表示にするには「広告なしのOutlook.com」にアップグレードする必要があるそうです。しかし、執筆時に試したところ「Windows Live Hotmail Plus」につながり、サインインエラーとなりました。

ちなみに同サービスは2,520円/年で提供されていたことを踏まえますと、「広告なしのOutlook.com」もほぼ同等の料金で使用可能になるのでしょう。現時点のOutlook.comは、月210円を払ってまで移行したいサービスとは言えないため、今後の発展に期待したいと思います。

さて、Windows 8では「重要な更新プログラム」がインストールされた後、そのまま放置しておくと3日後にコンピューターの再起動をうながすメッセージが現れるようになりました。15分間のカウントダウン中にユーザーは編集中のファイルを保存するなど対処しなければなりません。カウントダウンを終えるとWindows 8は強制的に再起動されます。

図02 更新プログラム導入後、3日間放置すると強制再起動を実行する15分間のカウントダウンが始まります

更新プログラムの内容がソフトウェアのバグフィックスなら、数日間の放置も構いませんが、セキュリティホールに起因する更新プログラムの場合、その間コンピューターは攻撃に無防備な状態となるため、セキュリティリスクを負うことになりかねません。また、コンピューターがロック状態の場合、カウントダウンが行われないため、さらにセキュリティリスクは高まります。

そのため、Microsoftは4月に配布した「KB2822241」で、新たな設定を用意しました。それが重要な更新プログラム導入後に自動再起動を強制する、というものです。今週はこのチューニング方法を紹介しましょう。

1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate\AUキーを開きます(ない場合は作成します)。
3. AUキーを開いて、DWORD値「AlwaysAutoRebootAtScheduledTime」を作成し、値のデータを「1」に変更します。
4. [F5]キーを押してから レジストリエディターを終了させます。

これでチューニングが完了しました(図03~10)。

図03 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図04 レジストリエディターを起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windowsまでキーをたどって開きます

図05 「Windows」キーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>とクリックします

図06 キー名を「新しいキー #1」から「Windows Update」に変更します

図07 Windows Updateキーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>とクリックします

図08 キー名を「新しいキー #1」から「AU」に変更します

図09 「AU」キーの右ペインを右クリックし、<新規>→<DWORD値>とクリックします

図10 値名を「新しい値 #1」から「AlwaysAutoRebootAtScheduledTime」に変更します

図11 DWORD値「AlwaysAutoRebootAtScheduledTime」をダブルクリックし、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図12 [F5]キーを押して変更内容をシステムに反映させてから、<×>ボタンをクリックしてレジストリエディターを終了させます

それでは結果を確認してみましょう……といきたいところですが、2013年5月の更新プログラムはまだ配布されていないため、検証はこれからのお楽しみとなります。前述した「KB2822241」に含まれる「KB2835627」の説明によりますと、3日間の猶予に変わりありません。

しかし、DWORD値「AlwaysAutoRebootAtScheduledTime」のデータを「1」にすることで、コンピューターがロックされている状態でも、15分間のカウントダウンが始まり、強制的に再起動が実行されるようになります。なお、以前の状態に戻すには、DWORD値「AlwaysAutoRebootAtScheduledTime」のデータを「0」にするか、DWORD値自体を削除してください。

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus