こんにちは、阿久津です。いよいよWindows 8一般公開まで、残すところあと一カ月となりましたが、移行準備はお済みでしょうか。このタイミングでコンピューターを一新し、Windows 8を新規インストールする方もいれば、既存のコンピューターをWindows 8へアップグレードインストールする方、Windows 8の新しいUI(ユーザーインターフェース)に対してためらいを覚え、導入を見送る予定の方もおられるでしょう。

筆者は以前の連載記事で述べたとおり、既にWindows 8に移行し、各機能を検証していますが、GA(General Availability version:一般提供版)前ということで、いくつか困った場面に出くわすことも。例えば言語パックはすべてのエディションでサポートされる予定ですが、執筆時点ではオンライン上から言語パックをインストールできません。

その数は多くありませんが、機能名や項目名には不可解な翻訳が用いられることがあるため、筆者は表示言語を英語に切り替えることもしばしば。そのため表示言語が切り替えられない仕様には悩まされました。TechNetでは「Windows 8 Language Pack」を提供していましたので、ローカルから言語パックをインストールできますが、一度言語パックしないと表示言語を認識しません。オンラインで提供された後は、このようなトラブルに見舞われることはないと思いますが、念のため注意してください(図01)。

図01 執筆時点では、言語パックがネット上からダウンロードできないため、表示言語の切り替えにはローカルに言語パックが必要となります

もう一つはAdobe Flash Playerのセキュリティホール。Adobeは8月にAPSB12-18を公開しましたが、当初Microsoftはこの修正に対して、10月26日まで公開しない予定でした。その後もAdobe Flash Playerには同月にAPSB12-19が公開されるなど、数多くのセキュリティホールが報告されています。

この影響を受けるのはWindowsストアアプリ版Internet Explorer 10のため、サードパーティ製Webブラウザーをメインで使用する筆者には大きな問題ではありませんが、セキュリティホールが残っているのは気分が優れません。この状態を踏まえたMicrosoftは方向転換したらしく、本稿を執筆している最中に、マイクロソフト セキュリティ アドバイザリ 2755801を公開しました(図02)。

図02 「Update for Internet Explorer Flash Player for Windows 8 (KB2755399)」はWindows Update経由でも提供されます

早速ダウンロードページから修正プログラムを適用してみましたが、Windowsストアアプリ版Internet Explorer 10でAdobe Flash Playerのバージョン情報で確認しますと、11.3.372.94から11.3.374.7に更新されましたが、執筆時点での最新版は11.4.402.278。あくまでも「CVE-2012-1535」を悪用した攻撃を防ぐための措置のようです。Adobe Flash Playerの最新版をWindowsストアアプリ版Internet Explorer 10で使用できるのは、やはり来月以降となるかもしれません(図03~04)。

図03 修正プログラムを適用しますと、Adobe Flash Playerは11.3.374.7に更新されます

図04 執筆時点でのAdobe Flash Player自体の最新版は11.4.402.278でした

このように新しいWindows OSの登場初期は、いろいろなトラブルに見舞われることもありますが、これもコンピューターを使う楽しみの一つ。安定性を求めるのであれば、既存環境で様子を見ることもできますが、新しいOSで一喜一憂してみてはいかがでしょうか。

さて、Windows Vista以降はネットワーク構成を検出し、サービス品質の診断などに用いるLLTD(Link-Layer Topology Discovery)プロトコルが導入されました。Windows VistaやWindows 7で使用できるネットワークマップの生成や、トラブルシューティングで用いられますが、トラブルが発生していなければ参照する機会は多くありません。

また、Windows XP Service Pack 3には、LLTDレスポンダを公式に提供せず、Windows 8でもネットワークマップは用意されません。今後はネットワークマップを廃止する方向に進むのでしょう。そこで今週は、LLTDMサービスを停止するチューニングをお送りします(図05~07)。

図05 Windows 7の「ネットワークと共有センター」で確認できるネットワークマップ

図06 フルマップを表示する際にLLTDサービスを起動しています。また、Windows 8マシンも検出しました

図07 Windows 8の「ネットワークと共有センター」。ネットワークマップは廃止されています

1.管理者権限でコマンドプロンプトを起動します。
2.「sc stop lltdsvc」を実行します。
3.「sc config lltdsvc start= disabled」を実行します。

これでチューニングが終了しました(図08~11)。

図08 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「cmd」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図09 ユーザーアカウント制御が有効な場合、スタートメニューのクイック検索に「cmd」と入力し、列挙された同名のコマンドを右クリック。メニューから<管理者として実行>をクリックします

図10 コマンドプロンプトが起動したら、「sc stop lltdsvc」と入力して[Enter]キーを押します。これでLLTDサービスが停止しました

図11 続いて「sc config lltdsvc start= disabled」と入力して[Enter]キーを押します。これで同サービスが無効になりました。<×>ボタンをクリックしてコマンドプロンプトを終了させてください

それでは結果を確認してみましょう。「ネットワークと共有センター」からネットワークマップを確認しますと、LLTDMサービスが動作していませんのでマップは表示されません。本チューニングで不安だったのがネットワーク系トラブルシューティングツールが動作しなくなるかも知れないという点ですが、筆者が確認した限りでは特に問題ありませんでした(図12~13)。

図12 ネットワークマップを開いても表示されなくなりました

図13 「サービス」からはLLTDMサービスの停止が確認できます

なお、元の状態に戻すには「sc config lltdsvc start= demand」と実行してください。これで同サービスのスタートアップ状態が「手動」に戻り、必要に応じて起動可能になります。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)