こんにちは、阿久津です。ファイル操作に欠かせないエクスプローラーですが、同ツールを使わない日はありません。Windows 8(開発コード名)では、リボンUI(ユーザーインターフェース)を採用するそうです(詳しくは筆者の記事を参照してください)。

同記事でも触れたように、新たにWindows 8からコンピューターを始めるユーザーであれば、最初から「そのようなもの」という認識になるため、大きなトラブルとはならないでしょう。その一方で、古参のWindowsユーザーには微妙な仕様変更となるのは明白です。

例えばWindows XPのエクスプローラーは、[F3]キーもしくは[Ctrl]+[F]キーを押して検索パネルを表示させていましたが、Windows Vista以降はアドレスバーに検索ボックスを設けて、直感的な操作が可能になりました。

この仕様変更はメリットだけでなく、表示する情報を減らしたいユーザーには不評につながることになりますので、必ずしも改良と言い切ることはできません。このように、より広いユーザー層を取り込むための仕様変更は"諸刃の剣"となるのです。

もっとも、Microsoft Office 2010や、Windows 7のアクセサリであるペイントなどリボンUIを搭載したソフトウェアの動作を踏まえますと、リボンUIは最小化し、従来のショートカットキーもある程度は使用できるため、操作感覚が著しく変化することはないでしょう(図01~02)。

図01: リボンUI部分を右クリックすると表示されるメニューから、<リボンの最小化>をクリックします

図02: これでリボンUIが最小化されました(画面はペイント)。また、[Alt]キーを押すことで割り当てられたショートカットキーを使用できます

さて、前述した例としてあげたエクスプローラーの検索ボックス。同箇所をクリックしますと、Webブラウザーにおけるテキストボックスの入力履歴と同じく、過去の検索結果が表示されます(図03)。

図03: 検索ボックスをクリックしますと、過去の履歴が表示されます

もちろん履歴があれば、再度同じ文字を入力する必要がないため利便性は向上しますが、多人数で同じコンピューターを使っている場合、プライバシー情報の漏えいにつながりかねません。そこで今回は、検索ボックスの履歴を削除するチューニングをお届けします。

1.管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2.HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorerまでキーをたどって開きます。
3.WordWheelQueryキーを削除します。
4.[F5]キーを押してからレジストリエディターを終了します。

これでチューニングが終了しました(図04~07)。

図04: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図05: レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorerまでキーをたどって開きます

図06: WordWheelQueryキーを右クリックし、メニューから<削除>をクリックします

図07: 確認をうながすダイアログが現れたら、<はい>ボタンをクリックします

早速結果を確認しましょう。先ほどと同じようにエクスプローラーを起動し、検索ボックスをクリックします。すると、チューニング前に表示されていた履歴が現れなくなりました(図08)。

図08: 検索ボックスをクリックしますと、それまで表示されていた履歴が消えてなくなりました

勘の良い方は本手順からわかるように、WordWheelQueryキーに格納された各バイナリ値が履歴の実体です。各値を個別に削除することも可能ですが、WordWheelQueryキーは特定のタイミングで再生成されうため、今回は削除しました。

履歴が蓄積されるたびに削除するのが面倒、とお考えの方は履歴情報の保存を抑制するチューニングをお試しください。

1.管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2.HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Policies \ Microsoft \ Windows \ Explorerキーを開きます。
3.DWORD値「DisableSearchBoxSuggestions」を作成します。
4.同値のデータ値を「1」に変更します。
5.レジストリエディターを終了し、コンピューターを再起動します。

これでチューニングが終了しました(図09~15)。

図09: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図10: レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Policies \ Microsoft \ Windows \ Explorerまでキーをたどって開きます

図11: 右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックします

図12: 「新しい値 #1」の名前を「DisableSearchBoxSuggestions」に変更します

図13: DWORD値「DisableSearchBoxSuggestions」をダブルクリックし、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図14: 操作を終えたら[F5]キーを押してから、<×>ボタンをクリックしてレジストリエディターを終了させます

図15: <スタート>メニューの電源ボタンから<再起動>を選択して、コンピューターを再起動します

コンピューター再起動後にエクスプローラーを起動し、検索ボックスを使って検索を実行してください。通常であれば、検索に使用した文字列が履歴として列挙されますが、チューニング後は列挙されなくなります。前述したように履歴情報を管理するHKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ WordWheelQueryキーにも、同情報は書き込まれていません(図16~18)。

図16: 検索ボックスによる検索を実行します。当たり前ですが、検索は正しく実行されました

図17: 再度、検索ボックスをクリックしますと、それまで表示されていた履歴は表示されません

図18: HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ WordWheelQueryキーにも、履歴情報は書き込まれていません

今回はエクスプローラーの検索履歴を削除するチューニングと、履歴情報の保存を無効にする二段階のチューニングを用意しました。お好みや使用スタイルに応じてお使いください。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)