こんにちは、阿久津です。まずは、2011年東北地方太平洋沖地震の被害に遭われた方へ、心よりお見舞い申し上げます。筆者は東京に住んでいますので、直接的被害はまったくと言ってよいほどありませんが、度重なる余震と福島第一原子力発電所事故で、メランコリックな気分に陥ってしまいました。その一方で我々の生活に欠かせない電力。停電ともなれば目の前で使っているコンピュータはただの箱に成り下がってしまいます。

筆者の住む都市は、3月22日時点で計画停電に含まれていませんが、今後対象になることに備えると同時に、微力ながら節電に協力しようと、使用頻度の低いNASやHDDボックスをシャットダウン。原稿データはノートコンピュータに移動させました。普段からローカルディスクにデータを残さないスタイルで使っている筆者にとって、ネットワークがない環境はやはり使いづらく、電力のありがたさを改めて認識した次第です。

さて、話は変わりますが、Windows 7になってから電源管理も比較的安定化したため、スリープモードを活用する方も増えているのではないでしょうか。かく言う筆者はメインマシンで使用中の、とあるデバイスが邪魔をし、スリープ復帰後に誤動作するようになってしまい、省電力設定を施してから、HDDおよびディスプレイの電源オフ設定だけ有効にしています。

こうなってしまいますと、スタートメニューに並ぶ電源ボタンは無用の長物。ここに並ぶ<スリープ>や<シャットダウン>といった項目を誤って選択してしまうことを防ぐため、今回は電源ボタンに並ぶ<ロック>以外の項目を削除するチューニングをお届けします。

1.[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力してから<OK>ボタンをクリックします。
2.レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Policies \ Explorerまでキーをたどって開きます。
3.右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックします。名前を「NoClose」に変更してください。
4.DWORD値「NoClose」をダブルクリックし、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします。
5.ステップ03~04の手順を参考にDWORD値「StartMenuLogoff」を作成し、値のデータを「1」に変更します。
6.次にルートからHKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Policies \ Systemまでキーをたどって開きます。
7.ステップ03~04の手順を参考にDWORD値「HideFastUserSwitching」を作成し、値のデータを「1」に変更します。
8.レジストリエディターを終了させ、コンピュータを再起動します。

これでチューニングが終了しました(図01~14)。

図01: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図02: レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Policies \ Explorerまでキーをたどって開きます

図03: 右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックします

図04: 値名「新しい値 #1」から「NoClose」に変更します

図05: DWORD値「NoClose」をダブルクリックし、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図06: 右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックします

図07: 値名「新しい値 #1」から「StartMenuLogoff」に変更します

図08: DWORD値「StartMenuLogoff」をダブルクリックし、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図09: 次にルートからHKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Policies \ Systemまでキーをたどって開きます

図10: 右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックします

図11: 値名「新しい値 #1」から「HideFastUserSwitching」に変更します

図12: DWORD値「HideFastUserSwitching」をダブルクリックし、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図13: 作業を終えたら<×>ボタンをクリックしてレジストリエディターを終了してください

図14: 設定を有効にするため、<スタート>メニューの電源ボタンから<再起動>を選択して、コンピューターを再起動します

早速、結果を確認してみましょう。スタートメニューの電源ボタンを開きますと、<シャットダウン><再起動><スリープ>、環境によっては<休止状態>が削除されています。しかし、<ログオフ>だけは残されたままです。これは、電源ボタンの優先アクションが<ログオフ>だったために発生した現象です(図15~16)。

図15: チューニング前の状態。通常の電源ボタンと変わりません

図16: チューニング後の状態。各項目が削除されましたが、<ログオフ>のみ残っています

スタートメニューの何もないところを右クリックし、メニューから<プロパティ>をクリックすると起動する「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」ダイアログの<[スタート]メニュー>タブにあるドロップダウンリストから、<ロック>を選択して<OK>ボタンをクリックしてください。再度電源ボタンを開きますと<ロック>以外、選択できないようになりました(図17~18)。

図17: <[スタート]メニュー>タブにあるドロップダウンリストから<ロック>を選択して<OK>ボタンをクリックします

図18: 再度電源ボタンを開きますと、<ロック>以外選択できないようになりました

最後に各エントリの説明を行いましょう。<ログオフ>を無効にしているのは、DWORD値「StartMenuLogoff」。<シャットダウン>などは、DWORD値「NoClose」で削除しています。残る<ユーザーの切り替え>を無効にしているのはDWORD値「HideFastUserSwitching」。それぞれのデータ値が「1」の場合に項目が無効もしくは削除されますので、元の状態に戻す場合はデータ値を「0」に変更するか、エントリを削除してください。

なお、本チューニングはあくまでもGUI上の制限であり、シャットダウンに代表される機能を無効にできるわけではありません。管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「shutdown.exe」を操作することで、ログオフや再起動などは行えます。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)