こんにちは、阿久津です。Windows OSを長きにわたり使い続けてきたユーザーにとって、欠かせない機能のひとつに「送る」があります。改めて説明するまでもなく、ファイルやフォルダなどを右クリックすると表示されるコンテキストメニューに含まれる項目のひとつ。選択したファイルやフォルダを特定のフォルダやアプリケーションに"送る"ことで、関連付け以外の起動やファイルのコピーなどを容易にするものです。

この「送る」の実体はフォルダであり、Windows XP時代は「%USERPROFILE% \ SendTo」とユーザーフォルダ直下にありましたので、アクセスしやすかったように記憶しています。ところが、Windows Vistaでは「%appdata% \ Microsoft \ Windows \ SendTo」に移動したため、深い階層をたどらなければならなくなりました。今回は<送る>メニューに関するチューニングを行ないますので、手始めとして<送る>メニューにアクセスしやすくなるチューニングを行ないましょう。

<送る>メニューの実フォルダを環境変数に登録する

ひとつめは環境変数への登録です。前述の「%appdata% \ Microsoft \ Windows \ SendTo」をそのまま入力するのは、少々骨が折れるもの。そこで、同パスを任意のユーザー環境変数として登録することで、ファイル名を指定して実行などから簡単に参照できるようになります。もちろんコマンドラインからの操作時も「cd %sendto%」でアクセスできるため、コマンドライン派も操作しやすくなるのではないでしょうか(図1~4)。

図1: ファイル名を指定して実行などから「sysdm.cpl」を実行します

図2: 「システムのプロパティ」ダイアログの<詳細設定>タブにある<環境変数>ボタンをクリックし、次にユーザーの環境変数にある<新規>ボタンをクリックします

図3 変数名に「sendto」、変数値に「%appdata% \ Microsoft \ Windows \ SendTo」と入力します。後は<OK>ボタンを数回クリックして各ダイアログを閉じましょう

図4 ファイル名を指定して実行などから「%sendto%」を実行しますと、<送る>メニューの実フォルダが開きます

<送る>メニューに自身のショートカットアイコンを作成する

もうひとつは<送る>メニューに<送る>メニューのショートカットアイコンを作成するというもの。一見すると利便性がわかりにくいチューニングですが、アプリケーションを新規導入し、用意されたショートカットアイコンを<送る>メニューに登録するには、一度「SendTo」フォルダを開いてショートカットアイコンを移動しなければなりません。しかし、このチューニングにより、ショートカットアイコンを「SendTo」フォルダにコピーできるようになるため、<送る>メニューへの登録が容易になるというものです(図5~8)。

図5: 先のチューニングを参考に「SendTo」フォルダを開き、アドレスバーにあるフォルダアイコンを同フォルダ内にドラッグ&ドロップ。これでショートカットアイコンが作成されます

図6: アプリケーションのショートカットアイコンを右クリックし、メニューから<送る>→<SendTo - ショートカット>と選択します

図7: これでアプリケーションのショートカットアイコンが「SendTo」フォルダにコピーされました

図8: 今回の例では「メモ帳」を<送る>メニューに登録しましたので、関連付けされていないファイルを「メモ帳」で開くことができます

これで<送る>メニューの使い勝手が向上しましたので、「FAX受信者」など不要なアプリケーションのショートカットアイコンを削除するなどし、ご自身が使いやすい環境にチューニングしましょう。このチューニング時に気になるのがリムーバブルディスクの存在。Windows XPでは各リムーバブルディスクのショートカットアイコンが自動的に登録されますものの、それを解除する機能が用意されていなかったため、不便を強いられたものです。

強制的なチューニングとして、マイコンピュータからドライブを非表示にすることで取り除くこともできましたが、利便性が著しく落ちてしまい、あまりお薦めできるチューニングではありませんでした。一方、Windows Vistaではレジストリ設定により、リムーバブルディスクのショートカットアイコンを取りのぞくことが可能です。最後にこのチューニングを行ないましょう。

<送る>メニューからリムーバブルドライブを取り除く

  1. <スタート>メニュー→クイック検索に「regedit」と入力して[Enter]キーを押す。
  2. HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Policies \ Explorerまでキーをたどって開く(キーがない場合は作成する)。
  3. 右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>と選択。名前を「NoDrivesInSendToMenu」に変更する。
  4. ステップ3で作成した「NoDrivesInSendToMenu」をダブルクリックで開く。
  5. 値のデータを「1」に変更して、<OK>ボタンをクリック。
  6. レジストリエディタを終了し、Windows Vistaを再起動する。
※直接入力の際は、バックスラッシュ(\)前後のスペースを取り除いてください。

これで設定完了です。画面の例では<送る>メニューに<フロッピーディスクドライブ>が登録されていますが、チューニングを行なった後にWindows Vistaを再起動すれば、同メニューから取り除かれます。再度<送る>メニューにリムーバブルディスクアイコンを表示させるには、DWORD値「NoDrivesInSendToMenu」のデータ値を「0」に変更するか、同DWORD値を削除してからWindows Vistaを再起動してください(図9)。

図9: チューニング前(左写真)にあった<フロッピーディスクドライブ>も、チューニング後(右写真)はきれいになくなっています

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)