こんにちは、阿久津です。昨日知人たちと一緒にWindows Vistaの期待外れだった機能について話をしていたところ、数多く出たのがフリップ3Dでした。同機能はビジュアライズなタスク切り替え機能としてWindows Vistaから搭載されましたが、知人の多くは、[Alt]+[Tab]キーによるクールスイッチで十分という意見ばかり。

筆者も同意見でしたが、クールスイッチは機能面で見劣りする面もあるため、Microsoft PowerToys for XPのAlt-Tab Replacement程度の機能はWindows Vistaでも必要だったのでしょう。当時使っていた原稿執筆用XPマシンはマシンパワーも低かったため、Alt-Tab Replacementを導入すると動作が緩慢になりましたが、最近のコンピュータであれば、そのような問題も発生しません(図1)。

図1: Windows XPにAlt-Tab Replacementを導入しますと、クールスイッチにウィンドウのサムネイルが追加表示されるようになります

そもそもWindows VistaのクールスイッチはDWM(Desktop Window Manager)によってサムネイル画面に切り替わり、リアルタイムにウィンドウの変化が反映されています。確かにフリップ3Dは、マウス操作を中心にしているユーザーなら便利かもしれません。しかし、キーボード派としては使い勝手に首を傾げる場面も。確かに各ショートカットキーが用意されていますが、それらを使ってまでアクティブウィンドウを切り替えるのであれば、クールスイッチを起動した方が早いはず。Mac OS Xのよく考えられたと同時にビジュアライズなUIを意識したのでしょうが、利便性につながらないフリップ3Dは残念ながら万人向けの機能とは言えません(図2)。

図2: Windows Vistaのフリップ3D。クールスイッチに比べると視認性も低く、キーボード派には使い勝手もよくありません

今回はそのフリップ3Dをもう少し使いやすくするためのチューニングを考えてみましょう。その前にクィック起動からフリップ3Dを削除してしまった方は、ショートカットの作成ウィザードを起動し、「RunDll32 DwmApi #105」を加えるか、ホストドライブの「\ Users \ Default \ AppData \ Roaming \ Microsoft \ Internet Explorer \ Quick Launch」フォルダに残っている「ウィンドウを切り替える」アイコンを自分のクイック起動フォルダに入れてください(図3~4)。

図3: デスクトップの何もないところを右クリックし、メニューから<新規作成>→<ショートカット>と選択します。ウィザードが起動したら、テキストボックスに「RunDll32 DwmApi #105」と入力して<次へ>ボタンをクリック。次の画面でもテキストボックスに「Flip3D」と入力して<完了>ボタンをクリックすれば、フリップ3D用アイコンを作成できます

図4: もしくはファイル名を指定して実行などから、「\ Users \ Default \ AppData \ Roaming \ Microsoft \ Internet Explorer \ Quick Launch」フォルダを開き、「ウィンドウを切り替える」アイコンをコピーしてください

さて、フリップ3Dを使いやすくするチューニングですが、やはりポイントは少ないステップで実行できるかに尽きます。[Win]+[Tab]キーを押すか、マウスポインタをクイック起動に移動して、「ウィンドウを切り替える」アイコンをクリックしなければなりません。そこで後者の起動方法を変更するチューニングをお試しください。

  1. <スタート>メニュー→クイック検索に「regedit」と入力して[Enter]キーを押す。
  2. HKEY_CLASSES_ROOT \ Directory \ Background \ shellex \ ContextMenuHandlersまでキーをたどって開く。
  3. <編集>メニュー→<新規>→<キー>と選択して、新たにキーを作成。名前を「Flip3D」に変更する。
  4. ステップ3で作成したキーを開き、「既定」をダブルクリック。
  5. 値のデータを「{3080F90E-D7AD-11D9-BD98-0000947B0257}」に変更して<OK>ボタンをクリック。
  6. レジストリエディタを終了し、Windows Vistaを再起動する。
※直接入力の際は、バックスラッシュ(\)前後のスペースを取り除いてください。

これで設定完了です。デスクトップの何もないところを右クリックしますと、コンテキストメニューに<ウィンドウスイッチャ>という項目が加わり、同項目をクリックするとフリップ3Dが起動します。これならマウス派の方もすぐにフリップ3Dを起動できるため、同機能の使い勝手が向上するのではないでしょうか(図5)。

図5: チューニングを終え、Windows Vistaに再ログオンしますと、デスクトップの何もないところを右クリックして表示されるコンテキストメニューに<ウィンドウスイッチャ>が加わります

筆者のようにフリップ3D自体を不要に感じる方は、同機能を無効にするというチューニングも可能です。その際は以下の手順をお試しください。

  1. <スタート>メニュー→クイック検索に「regedit」と入力して[Enter]キーを押す。
  2. HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Policies \ Microsoft \ Windows \ DWMまでキーをたどって開く(キーがない場合は作成する)。
  3. <編集>メニュー→<新規>→<DWORD値>と選択し、名前を「DisallowFlip3d」に変更する。
  4. ステップ3で作成した「DisallowFlip3d」をダブルクリック。
  5. 値のデータを「1」に書き換えて<OK>ボタンをクリック。
  6. レジストリエディタを終了し、Windows Vistaを再起動する。

設定を終えるとフリップ3Dを起動するショートカットキーは無効になり、ショートカットアイコンによる起動はクールスイッチが起動するようになります。元の状態に戻すにはステップ3で作成した「DisallowFlip3d」を削除するか、データ値を「0」に変更してください。ちなみにステップ6の操作はコマンドプロンプトを起動し、「net stop uxsms && net start uxsms」とuxsmsサービスを再起動すれば不要です。再ログオンによるスタートアップアプリケーションの読み込みも回避できますので、是非お試しください(図6~7)。

図6: 設定を終えると[Win]+[Tab]キーは無効になり、ショートカットアイコンによる起動はクールスイッチに切り替わります

図7: uxsmsサービスを再起動すれば、Windows Vistaへの再ログオンは不要です

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)