2回にわたって共有フォルダーの作成や参照方法を紹介したが、今回はその応用例としてネットワークドライブを作成しよう。コマンドプロンプトが備える一部の機能や古いアプリケーションは、Windowsネットワークの表記方法であるUNC(Universal Naming Convention)名を処理できないが、ネットワークドライブを作成することで、それらの問題も解決できる。

共有フォルダーとネットワークドライブの違い

ネットワークドライブは必須というわけではないが、実際は必須となる場面が多い。第122回で述べたように、UNC名をエクスプローラーのアドレスバーや「ファイル名を指定して実行」などからアクセスすれば、ネットワーク上の共有フォルダーをそのまま参照できるからだ。

ただしこの操作は、別PCやNASのコンピューター名、および共有フォルダー名を把握していなければならない。ナビゲーションウィンドウから参照するといった仕組みも残されているが、深い階層(フォルダー)をたどる場合は、冗長なものとなってしまう。

エクスプローラーのナビゲーションウィンドウから「ネットワーク」を参照すれば、ツリー形式でネットワーク上のPCや共有フォルダーにアクセスできる

この欠点を補うのがネットワークドライブだ。共有フォルダーにドライブレター(文字)を割り当てることで、UNCパスを記憶していなくても、ネットワーク上のリソースへ容易にアクセスできる。UNC名を簡単におさらいしておくと、ネットワーク上の共有フォルダーを「\(コンピューター名)(共有フォルダー名)」という記述で表現する方法だ。

ネットワークドライブが備えるメリットは、アクセスの簡易化だけではない。例えばコマンドプロンプトはUNCパスを参照できるものの、カレントディレクトリ(フォルダー)として移動するのは不可能だ(回避策として「pushd」「popd」コマンドを使う方法もあるが、今回は割愛)。

例えばコマンドプロンプトの「dir」コマンドはパスとしてUNC名を指定できるが、カレントディレクトリ(フォルダー)として変更することはできない

だが、共有フォルダーをローカルPCのネットワークドライブとして割り当てれば、ローカルドライブと同じ作業が可能となる。なお、共有フォルダーおよびネットワークドライブを使用する上で注意したいのは、"削除時に「ごみ箱」を経由しない"ということだ。

下図のように、共有フォルダーやネットワークドライブ上のファイルを削除するとき、"「ごみ箱」への移動"ではなく、"完全な削除"となる。そのため、操作ミスがデータ消失に直結するため、注意が必要だ。

共有フォルダー・ネットワークドライブ上のファイルを削除する際は、"完全な削除"となるので注意が必要

ネットワークドライブを作成する

それでは共有フォルダーを作成しよう。GUIから操作する場合は、コンテキストメニューに並ぶ「ネットワークドライブの割り当て」を使用する。これで同名のウィザードが起動するので、ドライブや接続オプションを選択すればよい。

エクスプローラーなどで対象となる共有フォルダーを右クリック/長押しし、「ネットワークドライブの割り当て」をクリック/タップする

ウィザードが起動したら、割り当てドライブ文字とオプションを必要に応じて変更し、「完了」ボタンをクリック/タップする

注目する設定は、「サインイン時に再接続する」「別の資格情報を使用して接続する」の2つ。前者は、次回のサインイン時に設定を復元する際にチェックする(同じ共有フォルダーをサインイン時に自動でネットワークドライブとして割り当てる)。後者は、保持中のリモートPCの共有リソースに接続する、ユーザー(アカウント)名およびパスワードなど(=Windows資格情報)を用いるか否かの設定だ。

よく分からない場合はチェックを外したまま進んで構わない。合致する資格情報がない場合は、ユーザー名およびパスワードの入力を求められる。また、「資格情報を記憶する」はチェックを入れた状態で進めてほしい。詳しくは次回紹介する。

資格情報の入力を求められた場合は、各テキストボックスにユーザー名およびパスワードを入力し、「資格情報を記憶する」をクリック/タップしてチェックを入れてから「OK」ボタンをクリック/タップする

エクスプローラーでマウントしたネットワークドライブが開き、ドライブの一覧などにもネットワークドライブが並ぶ

阿久津良和(Cactus)