Windows 8.1は、ファイルシステムのNTFSが持つ透過的圧縮機能と、ZIP形式を疑似フォルダーとして使用するという、2つの圧縮・展開(伸張/解凍)機能を備えている。前者はWindows NT 3.51時代から、後者はWindows XP時代からサポートしてきた。この圧縮フォルダー機能に関するTipsを紹介しよう。
圧縮(ZIPファイル)フォルダーとは
ZIP形式は複数のファイルやフォルダーをまとめるアーカイブ機能、および圧縮機能を兼備し、1989年にPhil Katz氏が開発したファイル形式である。当時流行していたパソコン通信や、その後に登場するインターネットなど、送受信データを軽減するための処理が重要視され、ZIP形式のほかにも多くの圧縮形式が登場した。
日本では奥村晴彦氏/吉崎栄泰氏が1988年に開発したLHA(LZH)形式が既に普及していたが、ウイルス対策ソフトがアーカイブ内のファイルを正しく検疫できないことが2000年代半ばに明らかにされてからは、普及もとどまり、現在は見かけることも少なくなってきている。
ZIP形式を標準機能としてサポートしたWindows XPは、圧縮・展開の概念を分かりやすくするため、擬似的なフォルダーアイコンを用いて「圧縮フォルダー」を提供している。現在のWindows 8.1もそれを踏襲し、標準的な圧縮機能として使えるようになった。
GUIから圧縮フォルダーを実行する
Windows 8.1における圧縮フォルダーの作成方法は、コンテキストメニューの「送る」か、リボン操作の2つに限られる。
注意してほしいのが、格納するファイル/フォルダーの構成だ。今回は例として「Target」フォルダーをそのまま圧縮フォルダー化しているが、「フォルダー名\格納内容~」と、圧縮フォルダー名と格納フォルダー名が重なる冗長な状態になってしまう。
これを避けるためには、まず対象フォルダーを開き、その上ですべてのファイル/フォルダーを選択してから「送る」やリボン操作を実行しよう。
なおWindows 8.1は、コマンドラインから圧縮フォルダーを制御する機能は標準搭載していない(CAB形式を作成する「makecab」はある)。次期WindowsのWindows 10が搭載するであろうPowerShell v5は、「Compress-Archive」や「Expand-Archive」といったコマンドレットがサポートされる予定だ。
GUIから圧縮フォルダーを展開する
ZIPファイルを展開するときも、複数の手段を選択できる。もっとも簡単なのは、圧縮フォルダーを通常の「フォルダー」として扱う以下の方法だ。疑似フォルダー内には格納したファイルやフォルダーが並ぶため、そこから必要なものだけをデスクトップなどにドラッグ&ドロップで展開する。
コンテキストメニューの「すべて展開」からは、ウィザード形式で展開先のパス選択が可能になる。前述したドラッグ&ドロップ操作と比べると圧縮フォルダー内から一部のファイルだけを展開するといった操作ができないため、必要に応じて選択してほしい。
最後は圧縮フォルダー選択時のみ現れる「展開」タブからの操作だ。ギャラリーから展開先を選択できるが、コンテキストメニューと同じ理由で筆者はドラッグ&ドロップ操作をおすすめしたい。
圧縮フォルダーに関して注意したいのが、パスワードの付与だ。Windows Vista以降、パスワード付き圧縮フォルダーの作成機能は省略されているため、展開には「7-Zip」など他のアプリケーションが必要となる。セキュリティ的な理由でパスワードを付与する場合は、別の手段を選択するとよい。
阿久津良和(Cactus)