Windowsアプリケーションの多くは「メニューバー」と呼ばれるGUIパーツを備えてきた。一部のアプリケーションは現在でもメニューバーを多用する操作性なので、当たり前のような存在に感じる方も少なくないだろう。今週はWindows 8.1で部分的に登場するメニューバーに関する情報やTipsを紹介する。

「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。

メニューバーとは

メニューバーの歴史を紐(ひも)解くと、DOS以前……いや、パロアルト研究所の「Alto」までさかのぼる。

初代Windows(バージョン1.01)でも、すでにメニューバーが使われていた

使い慣れた存在のメニューバーも、Windows 8.1のエクスプローラーなどには、メニューバーと呼ばれる部分が存在しない。厳密に述べればリボンの上部に並ぶ「ファイル」タブ、「ホーム」タブもメニューバーの1種と言えるかもしれないが、プルダウンメニューが現れない以上、似て非なる存在だ。

Windows 8.1のエクスプローラー。「表示」タブなどの部分をクリック/タップするとリボンの内容が切り替わるため、厳密に言えばメニューバーの一種だが……

一貫性がないメニューバーの動作

「リボン上部のパーツはメニューバーではない」と述べたが、メニューバーの定義が「メニューからアクションを選択する」というモノであれば、メニューバーもタブから呼び出す仕組みも同じである。

だが、「表示」や「管理」といったタブはリボンのボタンが並ぶパネルが現れるものの、「ファイル」タブを選択した場合は従来のプルダウンメニューが現れる。そこに一貫性がないため、ユーザーの混乱を招くことになるのだ。

「ファイル」タブをクリック/タップした際は、プルダウンメニュー形式でボタンや項目が現れる

さて、「新しいウィンドウを開く」ひとつとっても、そのままクリック/タップすれば文字どおりのアクションを実行し、三角のボタンをたどればサブメニューが現れるほうが効率的だ。UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインの観点から見れば柔軟な姿勢は必要ながらも、同じパーツで結果が異なることに違和感を覚えるのは筆者だけではないだろう。

また、「Alt」キーには非表示のメニューバーを呼び出すという伝統的な役割が備わっているが、リボンを採用したアプリケーション(エクスプローラーやペイントなど)は、リボンアクションを呼び出すショートカットキーを示す仕組みに変わっている。これもWindows 7以前のユーザーが混乱する一因だ。

「Alt」キーを押すと、タブやクイックアクセスツールバーの各所に割り当てたショートカットキーが示される

ここでは使えるメニューバー

Windows 8.1でメニューバーは完全排除されたのかと言えば、答えは否である。リボンを組み込んでいない各所にメニューバーは残されているのだ。さらに、Windows 7まであったツールバーは機能的にリボンと衝突するため、Windows 8.1は「リボンのみ」か「メニュー&ツールバー」と新旧が入り乱れた状態となる。

「コントロールパネル」を起動した状態で「Alt」キーを押せばメニューバーが現れる。例えば「Alt」+「T」キーを押せば、アクセラレータキーを呼び出すため「ツール」メニューが開く仕組みだ

「ネットワーク接続」の場合、接続先をクリック/タップで選択するとツールバー領域に実行可能なアクションが並ぶ

「メモ帳」のように、最初からメニューバーのみを表示するアプリケーションも残している

この混乱を招くメニューバーは、「フォルダーオプション」ダイアログの「表示」タブに並ぶ「常にメニューを表示する」を有効にすることで、常に表示することが可能だ。Windowsの操作に不慣れなユーザーに実行できるアクションを明示するという意味で有効なTipsとなるだろう。

「Win」+「R」キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「control /name Microsoft.FolderOptions」と入力して、「OK」ボタンをクリック/タップする

「フォルダーオプション」ダイアログの「表示」タブをクリック/タップし、一覧にある「常にメニューを表示する」→「OK」ボタンと順にクリック/タップする

これで「Alt」キーを押さずとも常にメニューバーが現れる。ただし、エクスプローラーなど、メニューバーを組み込んでいないアプリケーション(および場所)では表示されない

阿久津良和(Cactus)