最近は8型~11型クラスのWindowsタブレットが増えてきた。デスクトップPCやノートPCと同じWindows 8.1を搭載しているものは、省電力設定に関して異なる点が多い。そこでWindowsタブレットをベースに、Windows 8.1の省電力設定を見直すチェックポイントを紹介する。

「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。

コマンド「Powercfg」でシステム状態をチェック

省電力を突き詰めようとすると、PC用の電圧チェッカーなどを用いた詳細な計測が必要となる。これは現実的ではないが、ある程度までは、Windows 8.1が用意した電源設定を制御するコマンド、「Powercfg」のレポート作成機能でまかなうことが可能だ。

「Win」+「X」キー→「A」キーと押して、コマンドプロンプトを管理者権限で起動する

コマンドプロンプトに「powercfg /energy /outopu %USERPROFILE%\desktop\report.html」と入力して「Enter」キーを押す。これで分析を経て、HTMLファイルを生成する

HTMLファイルをダブルクリック/タップで開くと、Webブラウザーでレポート内容を確認できる

上図が「電源効率の診断レポート」だが、コマンド「Powercfg」が提示したように「エラー」「警告」「情報」というカテゴリ別に、分析結果を示している。

例えば「ディスプレイのタイムアウトが長く設定されています」という警告では、適切でない設定値を指摘。「CPU使用率:プロセッサ使用率のかなり高い個別プロセスです」という警告は、稼働プロセスの中にバッテリ容量を消費する存在があることを指摘しているのだ。

WindowsタブレットはUSBデバイスやBluetoothデバイスを追加して使用することが多いものの、一部のデバイスが省電力に対応した設計ではない場合、多くのエラーが発生するので注意してほしい。下図はデスクトップPCの同レポートだが、こちらでは前述したようなUSB関連のエラーが指摘されている。対処法としてはデバイスの買い換えが手っ取り早い。

デスクトップPCで作成したレポート内容。古いUSBデバイスを使用しているため、省電力に反するエラーを多数指摘された

バッテリの状態をチェックする

コマンド「Powercfg」には、Windowsタブレットが内蔵するバッテリの状態を確認するオプションが用意されている。出力結果はすべて英語ながらも、確認すべきは数値が中心となるため、大きな問題とはならないだろう。

先の手順を参考に、コマンドプロンプトに「powercfg /batteryreport /outopu %USERPROFILE%\desktop\report.html」と入力して「Enter」キーを押す。これでバッテリ状態が分かるHTMLファイルが生成された

下図が、ここ半年ほど使ったWindowsタブレットのバッテリ使用状況レポートである。正直なところ普段使いというよりも、取材先のメモマシンや外出先での原稿執筆PCとして使用している程度だが、バッテリ容量も20,906ミリワットアワーから19,973ミリワットアワーにまで低下。それでも「DESIGN CAPACITY」で示した既定容量が19,500ミリワットアワーであることを踏まえると、あと数年は使えそうだ。

Windowsタブレットでは見にくいため、デスクトップPCでHTMLファイルを開いた状態。PC名やバッテリの容量など各種情報が示される

スクロールさせるとバッテリの使用履歴も確認できる。「Battery capacity history」を見ると、充電できる最大バッテリ容量の低下も把握できる

InstantGoを診断する

前回も述べたように、InstantGo(旧名Connected Standby)に対応したマシンの場合、コマンド「Powercfg」で診断レポートを作成できる。お使いのWindowsタブレットがInstantGoに対応しているか否かは、利用可能なスリープ状態を報告するオプション「/AvailableSleepStates(/A)」で確認可能だ。

コマンドプロンプトに「powercfg /a | more」と入力して「Enter」キーを押す。InstantGo対応PCの場合、「~利用可能です」に「スタンバイ(接続されています)」というメッセージが現れる

コマンドプロンプトに「powercfg /sleepstudy /outopu %USERPROFILE%\desktop\report-IG.html」と入力して「Enter」キーを押す。これでInstantGoの状態が分かるHTMLファイルが生成された

Windowsタブレットを1日スリープ状態で運用した状態。グラフの後半部分にInstantGoが稼働するシステム状態(緑色)が見える

「Connected Standby Transitions」で示したグラフは、PCの状態を示している。InstantGoが稼働するスリープ状態の場合、「Low System Activity」という緑色の折れ線グラフが加わる仕組みだ。InstantGoは30秒に1回、インターネットへのアクセスが発生するが、Windows 8.1の場合はWindowsストアアプリのコンテンツ更新や、ライブタイルの更新に用いられる。

さらに表をクリックすると、「% LOW POWER STATE TIME」(低電源状態の期間)も動作の詳細を示すセッションにジャンプし、InstantGoの動作を確認できる。このように、お使いのタブレットに関する詳細情報を集め、より最適な省電力設定を目指してほしい

InstantGoとして処理が行われた情報を確認できる。今回の実験では約2時間の間で32秒ほどの通信が発生した

阿久津良和(Cactus)