複数のPCをお使いであれば、Windowsの共有フォルダー設定は便利な機能だ。今回は共有フォルダーに関する事前設定を見ていこう。任意のフォルダーを共有したり、共有フォルダーへアクセスするときのTipsは、次回以降で解説する。

「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。

ファイル管理に便利な共有フォルダー

PCのLANポートにケーブルを接続する有線LAN、または無線LAN(Wi-Fi)接続によって、ルーターやハブを介して複数のPCでネットワークを構築している場合、共有フォルダーを設定してPC同士でファイルをやりとりするユーザーは少なくない。Windows XPからは「共有ウィザード」という設定方法が加わるなど、使い方が大きく変化している。だが、古くからWindowsをお使いのユーザーは、当初から存在していた「詳細な共有」を使っているのではないだろうか。

古いWindowsは共有フォルダーを設定するとき、「詳細な共有」を利用するのが一般的だった(コマンドラインからの設定も可能)

そこで今回は、共有フォルダーを初めて利用するユーザーも含め、共有設定や機能を簡単に説明する。ハードウェア面の設定は完了していることを前提とするため、事前のPCのマニュアルなどを参考に、有線LANや無線LANの設定を終えてほしい。また、Windows 7から実装したホームグループに関しては、今後の記事で紹介する予定だ。

共有フォルダーの前準備

共有フォルダーを作成する前に、いくつか確認する設定項目がある。まずはコンピューター名。通常はWindows 8.1のセットアップ時に設定するが、改めて編集する場合は「システムのプロパティ」ダイアログから再設定する。

「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「sysdm.cpl」と入力して「OK」ボタンをクリック/タップする

「システムのプロパティ」ダイアログが起動したら、「コンピューター名」タブの「変更」ボタンをクリック/タップ。「コンピューター名」のテキストボックスに英数字でコンピューター名を入力し、「OK」→「OK」とボタンをクリック/タップする

コンピューター名を再設定するとOSの再起動を求められるので、画面の指示に従って再起動を実行してほしい。また、本来であればワークグループ名の共通化も必要だが、現在はネットワーク内にWindows XPマシンが残っている場合に限られるため、今回は割愛することにした。

はじめに、コントロールパネルの「ネットワークとインターネット」-「ネットワーク状態とタスクの表示」から、「ネットワーク共有センター」を開く。続いて、「ネットワークと共有センター」の画面左にある「共有の詳細設定の変更」を参照しよう。ここには共有フォルダーに関する設定項目が用意されている。

「共有の詳細設定の管理」は、Windows 8.1の検索機能を使ってもすばやく呼び出せる。「Win」+「W」キーを押すなどして検索チャームを開き、テキストボックスに「共有の」と入力すると現れる「共有の詳細設定の管理」をクリック/タップ

ネットワークプレース(場所)によってカテゴリ分けされているが、自宅内のネットワークに接続しているPCなら、「プライベート(現在のプロファイル)」となっているはずだ。「プライベート」でチェックすべきは、「ネットワーク探索を有効にする」「ファイルとプリンターの共有を有効にする」の2つ。

「ネットワーク探索を有効にする」と「ファイルとプリンターの共有を有効にする」をクリック/タップする

「ネットワーク探索を有効にする」は、ネットワーク上のPCやデバイスを能動的に検索するための設定項目。「○○○○○を有効にする」を選択することで、検索動作や他のPCから参照可能にするためのWindowsファイアウォールが自動設定される。

「ファイルとプリンターの共有を有効にする」も、Windowsファイアウォールを自動的に設定するための項目だ。具体的には、共有フォルダーで使用するNetBIOS関係(ポート137~139)やMicrosoft-DS(ポート445)、LLMNR(ポート5355)を開くファイアウォール設定だが、こうした細かいことは気にしなくてよい。

「共有の詳細設定」でもう1つチェックすべき項目が、「すべてのネットワーク」に並ぶ「パブリックフォルダーの共有」と「パスワード保護共有」だ。

「すべてのネットワーク」をクリック/タップして展開し、「共有を有効にして~」「パブリックフォルダーの共有を~」を必要に応じて選択。また、「パスワード保護共有を有効にする」を選択し、「変更の保存」ボタンをクリック/タップする

「パブリックフォルダーの共有」は、各PC内のローカルアカウント同士でファイルを共有するための「パブリックフォルダー」を、ネットワーク上に公開する設定だ。「共有を有効にして、ネットワークアクセスがある場合はパブリックフォルダー内のファイルを読み書きできるようにする」を選択すれば、パブリックフォルダーに対する書き込み権限も付く。「パブリックフォルダーの共有を無効にする」を選択すれば、ネットワーク経由のアクセスが無効になる。

「パスワード保護共有」は、この設定を行うPCに対して、ネットワークからアクセスする際に影響を及ぼす。「パスワード保護共有を有効にする」を選択すると、PC上に作成してあるユーザーアカウントを用いてアクセス権を取得する。例えば、PC-AからPC-Bにアクセスしようとすると、ユーザー名とパスワードの入力ダイアログが表示される。PC-Aのユーザーは、PC-Bに登録してあるユーザーアカウントとパスワードを入力しないと(知らないと)、PC-Bにはアクセスできない。セキュリティを高めるうえでも、通常はこちらを選択すべきだ。詳細は次回以降で解説したい。

「パスワード保護共有を無効にする」を選択すると、既定で無効となる「Guest」アカウントが有効になり、Guestアカウントによる共有フォルダーの参照が可能になる。今回改めて確認したところ、「Windowsセキュリティ」ダイアログが現れたら、ユーザー名として「Guest」を指定し、パスワードは空の状態で接続を行うと共有フォルダーが現れる仕組みだった。

「パスワード保護共有を無効にする」の状態で、設定を行ったPCにアクセスした状態。ユーザー名として「Guest」と入力し、「OK」ボタンをクリック/タップする

こちらは共有フォルダーを設けたPC。Guestアカウントによる共有セッションが開いていることを確認できる

阿久津良和(Cactus)