【コラム】
現在雑誌「Web Designing」にて展開されているエキソニモの連載は、HTMLのソースとそのレンダリング後の画面をセットで展開するという珍しいアート作品。レンダリング後の画面だけを見るとグラフィックデザインのようだが、HTMLソースのほうを見るとインタビュー記事が埋め込まれており、レンダリング後の画面でゲスト自体を、HTMLソースのほうでゲストとエキソニモの関係やバックグラウンドなどを知る事ができるという仕掛けになっている。
僕自身、毎回Web Designing掲載版のPDFが送られてくるたびに、本連載をわくわくしながら眺めている。PDFを見ると、『今回のターゲットは鳩山由紀夫とぐぬぬ』と書かれている。いったいこれはなんだろうか?
もし、仮に鳩山由紀夫氏にこの時期インタビューをとれていたとしたら、エキソニモはかなり名うてのジャーナリストということができるだろう。しかもWeb Designingという専門誌でのインタビューである。そもそも鳩山由紀夫氏は、Webデザインなんていう仕事があることを知っているのだろうか? それはともかく、問題はぐぬぬだ。ぐぬぬというのは、僕はあまり聞き慣れない言葉だが、鳩山由紀夫と併記されていることからもわかる通り、きっと名のある人物に違いないのだろう。とりあえず、ぐぬぬについてぐぬってみた。いや、ぐぐってみた。ぐぬぬについてぐぐってみると、いきなりぐぬぬの画像検索結果が表示され、アニメ絵のキャラが並ぶ。そいえば、誌面のPDFにも同じ画像がある。これがぐぬぬなのだろうか? 確証が持てないので、更に「ぐぬぬとは」でぐぐってみる。すると、はてなキーワードに記述が見つかった。
これを読むと、ぐぬぬというのは、何か特定のものを指すというよりは、キャラクターの特定の表情をベースにした一種の二次創作アートであったわけだ。ネットを更に掘っていくと、こんなサイトも見つかる。
ということで、今回はインタビューというわけではなく、普通のインタビュアには手が届かない鳩山由紀夫氏と、別の意味で手が届かない世界にいるぐぬぬである。この2つが一体どのような関係を持っているのか、作品を紐解いていこう。まずは、今回の作品のサイトをブラウザで開いてみよう。モダンブラウザならどれでもいいが、今回の作品はMac OSX+Google Chrome 4.0で閲覧するのが最適環境なのだそうだ。
まず、アクセスすると、鳩山由紀夫氏の所信表明演説が表示される。背景には「民衆」というキーワードでGoogle画像検索を行なった画面が表示されている。同時に民主化エラーというアラートが表示され、それと同時に所信表明演説の文章がちょっとおかしなものに代わり、ぐぬぬで画像検索された背景に切り替わる……。
一体何が起きたのかよくわからないという読者も多いと思う。順を追って説明するために、まずはソースを見てもらう必要がある。ソースを見ると、今回はいくつかのスクリプトが書かれているのがわかるだろう。前回はActionScriptで表現されていたが、今回はJavaScriptでの表現というわけだ。
「window.onload~」ではじまる一連のスクリプトは、ページを開いた時に実行されるプログラムが書かれている。この中の「var japan = 」内に書かれているものが、今までの連載で文字を小さくしたり、隠したりしていた部分にあたる。なので、じっくりと読もう。ここのテキストが、本作品の解説にもなっている。
読んでみるとわかるが、民主化エラーの後で表示される「鳩山由紀夫の所信表明エンゼルフィッシュ」なる文章は、Googleの日本語入力システムでそのまま変換していった結果なのだそうだ。ちなみにGoogleの日本語入力システムの略はGNNなので、これをぐぬぬと読んだのだろう。多くの人が利用する日本語システムの辞書がネットを通して共有できるからこそ起きる珍変換というわけである。
この解説のすぐ後に「japan.democratize(); 」という命令が実行される。日本語に訳せば、日本を民主化せよということになるが、こんな命令は存在せず、従ってエラーとなる。そこで、ぐぬぬの検索結果と変換文が表示されるという仕組みになっているのだ。
alert("民主化エラー");
document.getElementById("source").style.visibility = "hidden";
document.getElementById("Gnn").style.visibility = "visible";
document.getElementById("citizen").src = "http://images.google.com/images?q=ぐぬぬ";
つまり、この作品がいわんとしているのは、鳩山由紀夫氏が掲げた民主主義も押し進めていくとこんな風な衆愚コンテンツになってしまい、カオス度が増していくということである。ところで、「鳩山由紀夫の所信表明エンゼルフィッシュ」は本当に単なる衆愚コンテンツなのであろうか? 人間の無意識の集合体は、時にこっくりさんのような不思議な現象を引き起こす。「鳩山由紀夫の所信表明エンゼルフィッシュ」を誤変換のコンテンツとスルーせずに、まじめに向き合ってみることにする。
この「鳩山由紀夫の所信表明エンゼルフィッシュ」(以下、鳩フィッシュ)に書かれている中で最も多い語句は、「タトウ紙」、「国民宿舎みやじま杜」、「ナビゲート」である。
「タトウ紙」というのは、着物などを収納するときに使う紙であり、古来より使われてきた伝統的な品物だ。タトウが暗に意味するのは、台東区のことであると推測される。続いて「国民宿舎みやじま杜」というのは広島にある国民宿舎みやじまの杜のことであろう。この宿では、現在管理業務受託者を募集しているとのことであり、この部分は国が総理大臣の入れ替えを募集しているという暗示ととれる。そして「ナビゲート」は間違いなく、国のトップの入れ替えをスムーズに行なうための人物を指すのだろう。ここでキーとなるのが「わたしたちの田村くん」である。この田村くんというのは、TVバラエティで司会などを務めるロンドンブーツ1号2号の田村淳氏のことであろう。かねてより政治家を目指すと公言していたという点からもそれを裏付けることができる。
つまり、タトウが意味する「台東区生まれの人物こそが、田村くんによって導かれ、次の総理となる人物である」ということが鳩フィッシュに述べられているとも読み取れる。現在ナンバー2と呼ばれる人物も確か台東区の生まれだったはずなのだが、真相はいかに……。
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