仕事で知らない土地を訪れたときに何が困るかというと、公共交通機関の陣容である。クルマで出向くのであれば、地図やカーナビがあって目的地の住所・所在・電話番号といった情報が分かればなんとかなるが、公共交通機関では、路線と時刻表が分からないと身動きがとれない。そして、そういった情報を得る手段があるかどうかが問題になる。

大判時刻表があれば、多少はなんとかなるが…

JTB時刻表

JTBや交通新聞社から月刊でリリースしている、いわゆる「大判時刻表」には、鉄道・航空以外にも、フェリーやバスに関する情報が載っている。もちろん、ありとあらゆる路線を網羅しているわけではないが、主要な観光地や施設を結ぶ路線や、バスについては都市間バス・高速バスなら対応できる。

具体的にどういった路線をカバーしているかは、冒頭の索引地図を見れば分かる。索引地図に載っている路線は、時刻に関する情報が載っている路線である。いいかえれば、索引地図に載っていない路線のことは分からない。

それでも、大判時刻表がカバーしている対象は小型時刻表よりもずっと多いから、鉄道以外の交通手段を利用する場合には、やはり大判時刻表の方が頼りになる。旅する機会が多い人なら、自宅やオフィスに一冊備えておく方が確実だ。

とはいうものの、現実問題として、細々した路線バスの路線と時刻をフルにカバーしようとすれば、時刻表の厚みがべらぼうなことになってしまう。だから、たとえ大判時刻表といえども主要な路線しか収録していないのは致し方ないのだが、自分が利用したい路線がそういうところばかりと限らない。

だからといって、手っ取り早くタクシーに乗れば済むかというと、そうともいいきれない。費用はかかるし、そもそも路線バスと違って、タクシーをつかまえられるかどうかというと、100%の確実性がない。利用者が多くて、客待ちしているタクシーが出払ってしまうかも知れないからだ。

そもそも路線バスの場合、どこにどんな事業者があるか、という情報からして、他所の地域の人間にとっては把握が難しい。経営効率化のためにバス会社の分社化(地域別に分社化するケースが多くなっている)が進んでいる昨今では、なおさらだ。

さらに最近では、地方自治体の肝煎りでコミュニティバスを走らせるケースが増えている。コミュニティバスだから他所の土地の人間が利用してはいけない、なんてことはないのだが、そもそも存在を知らなければ利用のしようがない。

では、知らない土地を訪れて路線バスやコミュニティバスを利用しようと思った場合、どういう対処をすればよいのだろうか。

裏技 : Wikipediaをとっかかりにする

実は、筆者がJR線・民鉄線の全線乗りつぶしを企てたときに、行き止まりになっている路線の末端同士をバスでつなげないか、といって調べるケースが何回か発生した。そこであれこれと試行錯誤した結果として得た方法が、なんとWikipediaをとっかかりにする方法だった。注意したいのは、あくまで「とっかかり」という点である。

そもそも路線バスというものは、鉄道や高速バスで近くまで行った先のフィーダー輸送手段として利用することが多いと思われる。そこで、まず最寄りの駅に関する情報を調べるわけだ。bingにしろGoogleにしろ、検索サイトで「○○駅」とキーワード指定すれば、当該鉄道事業者のWebサイトか、さもなくばWikipediaのページが上位に出てくる。

そこでWikipediaの方にアクセスしてみると、多くの場合、その「○○駅から出ているバスに関する情報」に関する記述がある。ただし、時刻表まで載っているわけではないし、路線についても字面だけだから土地勘がないと分からない。

しかし、おおざっぱな概要と、なによりもどういうバス会社が路線バスを運行しているかが分かる。これがミソである。バス会社の名前さえ分かれば、今度はそのバス会社の名前で検索すればいいのだ。

すると、そのバス会社がWebサイトを開設して適切な情報更新を行っていれば、路線網についても時刻表についても情報が手に入る。コミュニティバスについても事情は似たり寄ったりだが、行き着く先がバス会社ではなく自治体のWebサイトになることが多いのが違いか。

ただ、特に規模の小さなバス会社のWebサイトになると、今でも「手作り感」が強いことが多い。また、備えている機能や使い勝手についても千差万別、玉石混淆。なにもアニメーションや音声・動画を駆使しろとはいわないが、検索性や可読性が良くないのは困る。 見てくれが「手作り感」満載なのは一向に構わないのだが、路線図などが地元の人でないと分からないような書き方になっていて余所者に不親切だったり、必要としている情報がどこにあるのかが分かりにくかったりするのも、これまた不便なものである。それでも、何も情報がないよりはずっといいのだが。

実際、香川県を訪れて「ことでん」の乗りつぶしをやったときには、この方法で地元のコミュニティバスを見つけて、志度線と長尾線の末端同士をつなぐのに活用した。それはよかったのだが、このバス、始発で乗車したのが自分だけ、途中で降りたのが自分だけ、その間はほとんど貸し切り状態だった。他所の土地でも似たような経験をしたことがあるが、こんな調子で大丈夫だろうか?

Wikipediaの長尾駅のページにある「接続する他の交通機関」