ANAクラウンプラザホテルが、20代~40代のビジネスパーソン、男女1,000名を対象にして行った意識調査によると、出張する際の最大の楽しみは「食事」だそうである。食事を楽しみにする人の比率が低くはないだろうと容易に推察できるが、なんと2人に1人に近い割合(47%)というから驚かされる。いや、驚くほどのことではないか、自分も同じだから。

このほか、出張と食事については、こんな話もある。

仕事を全うするのは当然のこととしても、仕事をするうえで「食」の充実も欠かせない要素と言えそうだ。というわけで、今回は、交通機関と食事の話について。

鉄道の「食」事情~都市圏編

なにしろ日本の鉄道には「食堂車」というものがほとんどなくなってしまったので、駅で食事を調達する必要がある。すると、真っ先に思いつくのは駅弁である。以前と比べると入手可能な駅は減っているものの、地元の特産品などを活用した駅弁は依然として、各地の主要駅であれば有力な選択肢である。

大抵の場合、駅弁専門の販売ブースを構内に設けている。ちなみに東京駅については、こんな記事が掲載されたことがある。

「短時間でベストな選択を! 東京駅お弁当購入指南」で紹介している「E5系はやぶさ弁当」

出張時の楽しみと位置付けると、コンビニ弁当ではちょっと寂しい。新幹線や特急列車であれば車内販売で駅弁を入手できることが多いが、商品の数が限られていたり、売り切れになっていたりということもある。どうしても食べたいものがある場合は、事前に確保しておきたい。列車によっては、車内で駅弁の予約を取りに来ることもある。

幸いにも、駅構内のコンビニや駅弁販売店といった「基本」に加えて、大都市圏の主要駅ではいわゆる「駅ナカ」の充実度が著しいので、これも食事調達ルートの選択肢に加えることができる。そういえば昔、「東京から夜行寝台特急に乗る際に、"通" は東京駅に隣接するデパートの地下で食事を調達する」なんて話があった。

実のところ、駅ナカ商業施設の多くは「デパ地下が駅の構内に引っ越してきたようなもの」といえるのではないか。店舗の顔ぶれに、デパ地下などで見かけるメジャーブランドが多いせいだろうか。馴染みのブランドであれば外れをひくことは少ないし、お値段も極端に高くはない。その代わり、掘り出し物を発見する楽しみは乏しくなるが。

なお、首都圏の駅ナカ・駅ビルに関する情報は、「駅パラ」で把握できるので、ショップリストなどを調べたい場面で活用したい。

駅ナカの充実は「食」の選択肢を広げたが、見ようによってはデパ地下が引っ越してきたようなものといえるかも知れない(上野駅で)

このほか、大抵の鉄道事業者は内輪で飲食担当の子会社を持っており、それが駅の構内営業を行っている。だから、東京駅だと在来線エリア(JR東日本)と東海道新幹線エリア(JR東海)では、扱っている商品が違う。ただし、名古屋駅ホームのきしめん屋みたいに、別の業者が入っている場合もある。駅弁業者も、古くから営業を続けている老舗が少なくない。

もっとも、「全国均質」の象徴みたいに思われているコンビニでも、実際には意外とローカル商品があるので侮ることはできない。JR東海の構内コンビニ「ベルマート」で「味噌カツサンド」に巡り会ったのが典型例だ(さすが名古屋!)。

なお、駅の構内営業というと「持ち帰り」だけでなく「イートイン」も存在する。ポピュラーなのは「そば・うどん」だが、駅ナカ商売の隆盛に伴ってか、バラエティが増えてきている。ただしイートインの場合、十分な時間がないと落ち着いて食事をしていられない。

発地・着地の駅で注意したいこと

駅の構内で食事を調達する時に注意したいのは、店舗が改札の中にあるか、外にあるかである。大都市圏の都区内・市内を発着地とする切符を持っている場合、発地の主要駅(東京都区内なら東京・上野・新宿・品川など)まで行ったところで食事の調達のために改札の外に出てしまうと、そこで乗車券が無効になって回収されてしまう。それを避けるには、改札の中で調達しなければならない。

着地の場合にも事情は同じである。例えば、「大阪市内」行きの乗車券を持っていて、新大阪や大阪からさらに別の駅まで移動する場合、新大阪や大阪で改札の外に出ると、そこで乗車券が無効・回収になるからだ。すると、その先の乗車券は買い直しになり、余分な費用がかかってしまう。

鉄道の「食」事情~ローカル編

ここまでは基本的に都市圏を前提にした話だが、問題はそこから外れた場合である。ヘタをすると、本当に何も調達できないことがある。

もともと無人駅ばかりのローカル線であれば、食事の調達が難しいだろうという想像はつくが、最近は「○○本線」クラスの路線であっても、時間帯によっては駅が無人だったり、コンビニもキオスクもなかったりすることがあるので油断がならない。たとえ、複数の路線が分岐する要衝の駅であってもだ。

実際、山陰本線の某駅で食べるものを調達しようと思ったら、駅そのものは無人で、あまり品揃えの良くないキオスクが辛うじて営業していただけ、なんて経験があった。この時は仕方なく、菓子パンを買って済ませた記憶がある。土産物はいくつも売っているのに、普通に食べるものがあまりなかったのだから難しい。

かと思うと、「キオスクだから大したものは置いていないだろう」とタカをくくっていたら駅弁まで扱っていた、なんてこともある。こういう僥倖に恵まれればよいが、期待しておいて空振りになった時は悲惨なので、駅に赴く前にスーパーでもコンビニでも何でもいいから、確保できるものを入手しておくのが無難だ。鉄道事業者各社のWebサイトで駅情報を調べて、食事を確保できそうな場所の有無を確認しておくのも一案である。

なお、地方の第三セクター鉄道では、駅の構内に売店を設けて地元の特産品を売っていることもある。個人的に遭遇したケースとしては、高森(南阿蘇鉄道)、中村(土佐くろしお鉄道)、甲浦(阿佐海岸鉄道)がある。そういう場面に巡り会えればラッキーだが、何を売っているかにもよる。お菓子や野菜ばかり売っていたのでは、食事の足しにならない。